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第235話 2つの選択

「それって...どういうことっすか」


「普通なら緩やかに傾くんだ、君の場合はいきなり傾いた、しかもまだまだ傾く傾向がある」


「1:9よりも」


「ああ、だいたい第二次成長期は男子が11歳6か月~16歳前後で遅くても大体18歳までには終わると言われている」


 ちなみに第三次成長期と言う言葉は医学的には存在していない、しかし脳や精神的な成熟、トレーニングによる身体の成長などを比喩的に第三次成長期と呼ぶことがある。


 あくまで比喩の表現で使われるため、大真面目に第三次成長期で成長したなんてことは言わないでおこう。バカだと思われるぞ。


「本来能力には成長限界と呼ばれる物が存在する、その限界がスーツの力で魂と能力が融合した影響で外れてしまっている、しかも成長期真っ只中でそれが起ってしまった」


「え、えーっと・・・つまりその肉体の成長バランスがマイナスに到達するのか」


「少し違うけど、分かりやすく言うならそうなるね。えーっと…そうだな、今からいうのは分かるようにするためのたとえ話だから、直球に受け取らないでくれよ」


「わ、わかりました」


「能力が寄生虫だと思ってくれ、その寄生虫が10:0の成長性を食べで成長することで9:1になる、だけど寄生虫には成長の限界があるだから5:5ぐらいで落ち着く

だけど君に寄生している虫はその限界がない、だから0:10まで喰らい尽くした後も他のエネルギーを食べて成長し続ける」


「他のエネルギーって」


「体力や日々体を動かすためのエネルギーそう言った物を取り込み始める、体力の低下は肉体の変化と同時にそれも理由の1つになってる

急激な肉体の変化に体が追いつけず、その追いつくためのエネルギーが虫に食べられている。それが今の君に起こってることさ」


「待ってください、それって下手したら領くんは・・」


 凪の問いにボブは一瞬瞳を閉じて呼吸を挟んで答える。


「ありとあらゆるエネルギーを虫に食べられ続けて死ぬ可能性がある」


「死ぬ・・俺が・」


「そんな」


「いやあくまで可能性の1つさ、死にはしないけど骨と皮だけのガリガリの状態で大量の点滴を体に打ち込んで何とか生きる可能性があるし

それに能力も肉体がないと消滅するわけだから、日々の生活に不自由がないレベルでエネルギーを食べる可能性もある、この場合は筆箱を持つのもやっとな可能性もあるけど・・」


「可能性って、どうなるのかわからないのかよ」


「如何せんこの症状になったのは世界で君だけだ、病気の症状がわかるのは過去にその症状になった人間がいるからだよ、憶測はできるけど確信はできない」


「・・・今の話を聞いてるとさ、生きるか死ぬか分からないけど少なくとも運動できない体になるんだよな」


「それは確定事項だ」


 下を向く領に凪は静かに近づきそっと肩に手を置く。以前とは違いそこには温かさはなく、氷のような冷たさだけが伝わってくる。


「・・・」


「治るのか・・これ」


「解決法は2つある」


「え?あるの」


「あるんだ」


「1つはバランスを整える方法だ」


「1:9のバランスを5:5に戻すって方法か」


「ああ、だけどこれに関しては新しい治療法を確立しないといけない、それに整えても能力はエネルギーを求め続ける、だから整えたところで疲れやすかったり体力の減少は変わらない」


「でも死にはしないんだろ」


「この方法はあくまで症状を和らげるだけだと言ってもいい、能力の進行スピードを遅くするだけ、根本的な解決にはならない」


「もう一つの方法は」


「能力を完全に除去する方法だ」


「h?え能力の完全除去だって、そんなことできるわけが・」


「いや可能だし、こう言う結果になると思ってその薬を持ってきている」


 そう言いながらボブはポケットから飴玉サイズの錠剤が入ったケースを取り出した。


「私の山で取れる資源を元に作った薬だ、既に犯罪者などで試して結果は出てる」


「ならそれを使えば・・」


「ただ副作用がある、この薬が消すのは能力だけだ、さっき言ったように能力の使用するために肉体が適用すると言ったね、この薬では変化した肉体は戻らない、翼が生えてる人間に使用したら翼はそのままで翼が動かなくなった」


「でも死ぬよりいいですよね」


「だよな、肉体の変化っても暑さを感じないだけだろ、夏の日とか逆にプラスだ」


「君に使用した場合は訳が違うんだ、能力が食べたエネルギーは消滅するし、さっき成長のバランスが1:9だと言ったけど、薬を使った場合は1:0になってしまう」


「元に戻らないのかよ」


「あくまで能力がそのまま消滅するだけ、えーっと簡単に言えば能力のない能力者になるんだ」


「能力のない能力者って……それって……ただの空っぽの器ってこと?」


「そうだね、穴の空いたバケツと言ってもいい、君の成長するための力の大多数がその穴の空いたバケツに吸い込まれる」


「そ、そうか・・」


「で、でもこのままずっと放置するよりましだよ」


「進行を遅くする1番の方法も早死にする可能性が高い、長生きしたいなら2番の方法をオススメしよう、荒治療だが問題は解決する」


 そう言いながら薬が入ったケースを領に手渡す。


「これ飲めば能力が消えるのか」


「それは約束できる」


 領は手を震わせながらケースを開けようとしたが途中で止めてポケットに入れる。


「え?」


「も、もう少し考えさせて欲しい・・です」


「構わないよ。この薬は君に託す、覚悟が決まったら彼女に知らせてくれ、私は1番の治療法を考えておく、能力を消すか消さないかは君に任せよう」


 領は静かに首を縦に振ると梯子の方向に向かい歩いて行った、凪は内心なんで薬を使わないんだろうと思いながらその姿を見つめる。

どうもエナドリ飲んだらお腹壊した挙句、昼の休憩時間に眠れず頭が痛い状態で仕事をした作者です、そのせいか今すごい眠いんですよね、どうしても寝たらダメな状況でクソ眠かったので仕方なかったですね。


さて今回はスーツについて少し書きます、魂と能力が融合して新たな肉体を作り出すと言うアイテムなんですが…実はその魂と融合する設定ってなかったんですよね。


最初はただの怪人化の道具だったんですよ、ただ…使用者の領くんと戦う話を書いてる時、怪人の体とは言えクラスメイトを殴ったり自爆に巻き込んだりするのヤバくないかと思ったんですよ。


ただクラスメイトだからと言って手を抜きながら戦うのはインパクトに欠けるなと思い、最初らへんの戦闘シーンだし地味なやつよりも激しい方がいいよなと考えました。


そこで肉体から分離した新たな体なら手加減なくボコボコにできるし、元に戻すために新たな体を破壊する必要があるならクラスメイトを攻撃するのにも違和感がないと思い肉体と分離する設定を付け足しました。


変身シーンを予約投稿した後に分離シーンは付け足したので本当に予定にない設定でしたが、今後の展開で必要な設定になったので結果オーライですね。

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