第226話 事実と事実
「どんな詐欺だ、吾輩はメフィスだよ!!」
「え?メフィス?」
テレポートで逃げたメフィスとクラフトは安全な探偵事務所に避難していた、そんなメフィスが真琴の寝室で眠っていた穂乃花を叩き起こし、鍵のかかったドアを蹴破り薄暗い部屋の電気をつける。
穂乃果はゆっくりとベッドの裏から頭を出すと、メフィスはドタドタと部屋に入ると穂乃果は咄嗟に枕をメフィスに投げつける。
「くべ!!」
[ほ、穂乃果]
「か 帰って もう引退したの!! 魔法少女も配信者も!! このまま白骨化するまでここにいてやる!!」
[だからって投げつけることはないだろ]
「出てけよ!!次は・・えーっと本投げるぞ」
[彼女は君を慰めに・・]
「いらない!!」
「い、痛いぞ!!なにするんだこの引きこもり」
「うるさいうるさい もう私に関わらないでよ このまま化石になってやるからな!!」
そう言いながら布団を引っ張り、布団にくるまる。
[ほら、言っただろ、今はそっとしておくしか......ん?」
メフィスがゆっくり近づき穂乃花に近づくと、その布団を掴んで無理矢理引き剥がそうとする。
「な なにをするだー!!離せよ バーカ 虐待反対!!外に出たくない子供を無理矢理外に出したらダメなんだぞ!!」
[や、やめたげてよ、今はそっとしてあげ・・]
「悲しいのはわかるけど、だからってずっとそうしてる気かよ」
「そうだよ!! 馬鹿 もう何もしないからな ばか したって何の意味もないんだ!! バカ だからここで死んでやる!! バーカ」
「バカって言った方がバカなんだぞ、このバーカ!!もうそろそろ前見て立ち上がれよバカ」
「馬鹿でいいもん どうせ馬鹿にされるしか価値ないんだもん」
「この引きこもり陰キャ それマジで言ってんのかよ、今までの自分の行動全てが意味がないって本気で行ってる」
「何度も言わせるなよ 誰も私なんて求めてないんだ 私なんていらないって本気で思ってんだ!!」
「違う!!」
メフィスが大きな声で叫び、その声に驚いて穂乃花が手を止めた隙に布団を取り上げる。
「わ 私の布団!!」
「真夏でわざわざクーラーかけて布団なんて被るなよ、寒いなら温度下げろ」
それはそう。
「なんなのさっきから もう私の出番は終わったんだよ このまま誰にも知られず枯葉のように朽ちて死んでやる と言うかなんで慰めに来るんだよ 私なんて浮気してる夫が思う妻みたいにどうでもいいんだろ」
なんだその例え。
「気持ち悪い例え出すなよ、お前が消えたら...その....吾輩寂しいんだよ」
「覇?」
「だから寂しいんだよ、今まで顔見せながら話したことないけど一緒に笑って遊んで楽しめる、そんな友達が居なくなったら寂しいんだよ」
「知らないよ どうせ友達なんてカードゲームの主人公の切り札ぐらいいるんだろ 私なんて言うスタートダッシュブラスターなんて無視して ドギラゴンと仲良くしとけよ」
「は?意味わかんないこと言うなよ、とにかく立てよ!!吾輩の為に復帰しろよ」
「やだ!!」
「だったら私も引退するぞ」
「すればいいじゃん勝手に どうせ個人情報とかバレてないんだし 給料日に引退ライブして何か月後に似たイラストで転生すればいいんだし」
「公開したよ」
「・・はい?」
「本名も顔も実家も全部」
「・・・は?なんで ごめんマジで何で なんでゲーム関係ないところで中の人の情報ばらしたの え
頭悪いんじゃ」
「ふん!?」
穂乃花の煽りにメフィスは布団を全力で投げつけて答える。
「痛いなこのちび!!」
「黙れこの・・えーっとバカ!!」
「自分から個人情報公開する方がバカですバーカアーホバーカ バカのハンバーガー350円」
[やめるんだ穂乃花、と言うか子供みたい言い合いをするな。彼女はアーケーダーを捕まえるために自分を囮にしたんだ]
「なんで? なんでそんなことしたの 自分が危険を冒す必要なんてないじゃん」
「お前のためだよ」
「私?」
「あいつはお前の人生を壊した、その償いと謝罪をさせたかった、そうしたらお前が少しでも前に進めるって思ったんだよ。まあ単純にイラついたのもあるけど」
「ばかじゃん」
「どこかだよ」
「何もかも全部だよ あいつが逮捕されて何になるんだよ 時間は戻るのか 批判コメントは消えるのか そんなことはないだろ 意味がないんだよあいつが消えたところで批判は止まらない」
「全員が全員そんなこと思ってない。お前批判しか見ようとしてないだろ、お前の何100万人のファンの言葉を見たのか」
「それは・・」
目をそらす穂乃花にメフィスは携帯を取り出して応援コメントを見せる、大量の批判に匹敵する応援のコメントがどれだけスクロールしても画面に表示される。
「ちゃんと見ろよ、吾輩だけじゃない、みんなお前を待ってる」
「し 知らないよ 10の声援よりも1の批判に心はえぐれるんだ それに魔法少女に私なんて必要ないだろ そもそもマジカル1人でわりとやれてるし 5人もいらないだろスーパー戦隊みたいに大量の戦闘員が敵じゃないんだし」
「勝手に決めつけんなよ、必要ないって言うなら・・」
メフィスは携帯を操作してアーケーダーが生配信をしている動画を見せる、その動画には太陽のような姿をしたアーケーダーに魔法少女達が苦戦している姿だった。
「・・・」
「友達が命をかけて戦ってる、手がかりのためもあるかもだけど、お前の為にあいつを捕まえようとしている、これ見ても自分は必要ないなんて言うのか、なんで魔法少女になろうと思ったんだよ」
「それは...」
「少し前のコラボ配信で言ってたよな、父親みたいに人を守りたいって、お前は誰かから称賛が欲しくて魔法少女になったのか」
「ち ちがうよ…称賛が欲しかったわけじゃない でも批判されたいわけでもないもん 見返りなんて求めてないけど…石を投げらたら嫌に決まってる」
「だからってずっと石を投げられたら続けるのかよ、ザッコなんか言い返せよ」
「無理だよ 言い返したら調子に乗ってまた批判してくるし」
「ファンはさどうしたいの」
「どうしたいって言われても」
「引退したいの?続けたいの」
「つ 続けたいよ けど批判されたくないし 欲を言うなら…やっぱり誰かに認めてもらいたいし」
「なら…」
そう言いながらメフィスは両腕を広げた。
「ん」
「は?」
「だから…ほらこいって、褒められたいなら吾輩が褒めてやるから」
「いいって そう言うの恥ずかし」
「遠慮するなって…もうほらほら」
嫌がる穂乃果をメフィスは抱きしめ、頭を撫でる。
「よしよしよし、えらいねぇ…」
「犬かよ!!もう離して…もういいから」
「よしよしよし」
「は な せ!!」
穂乃果はメフィスから頭を離し、メフィスの顔を見て自然と笑みが溢れた。
「落ち着いたか」
「どうだろう」
「引退なんてするなよ、引退を望んでいる奴以上に望んでない奴の方が多い。吾輩がそのうちの1人だ。だから立てよリードファンエスタ、配信者として魔法少女として」
メフィスはそう言いながら手を伸ばす。
「・・え 普通にやだ もうやる気ないし やっても意味な・・」
「このがき!!」
穂乃花の胸ぐらをつかみ持ち上げる。
[え、ちょっと2人とも、今いい感じだったのに]
「吾輩がなんかそれっぽいこと言ったのに」
「いたいいたい 冗談だって まああながち冗談でもないけど と とにかく離してよ」
「まったく」
手を離すと穂乃花はゆっくりと立ち上がる。
「正直に言って やりたくないよ・・どれだけ応援されても批判もされるんだから でも私が魔法少女になったのは認められたいからじゃない パパみたいに皆を・・いろんな人を助けたいから」
[無理しなくていいんだよ、やりたくないならそれで]
「でもここで逃げたくない 逃げててもダメって事は自分でもわかってる だから怖くても嫌でも私はやる」
「気は晴れたみたいだなファン」
「穂乃花でいいよ もう全部バレたし名前を隠す必要もなくなったしさ だから・・そのメフィスの名前も教えてよ」
「え?吾輩はメフィスだぞ」
「・・・は?」
「いや吾輩は本名もメフィスだし、なんならフルネームも配信者名と同じだぞ」
「・・・ごめん・・えっと・・本当に馬鹿じゃないの」
どうも小腹が空いたからお菓子を食べたらなぜかゲップが止まらなくなった作者です、正確に言うとゲップが出そうで出ない感覚がすごい続いてるんですよね、そしてたまに出ると。
最近気づいたんですが私は胃が弱いみたいなんですよね、食べ過ぎたり少しでも変なものを食べるとどこか体に不調が起きるみたいです、なのに太ってるのはなぜなのでしょうかね。多分答えは運動してないからですね。