第223話 真の脅威
まるで空間が歪んだように見えるほど、ドア周辺の壁と床が歪み、その歪みの中心に小さな男がいた。
「よくもやってくれたなクソ野郎ども」
「姿を見せたな…せ……」
「ちっちや、え、めっちゃち…」
挑発とかじゃない単純な侮辱をしそうになったメフィスの口を真琴を塞ぐ。
「…………」
「………や、やはり逃げな…」
「おいこら待てや、なにさっきの発言をなかったことにしようとしてんだ、と言うかテメェよりでけえだろうか、ボケナスチビ」
「なんだとこのやろう!!」
「落ち着いて」
「もう作は尽きたろ、大人しく降参しろ」
「勝ったつもりでいるのか、俺はここに負けるために来たわけじゃないぞ」
「負け惜しみを」
「ガキがよく考えろよ」
そう言いながらアーケーダーが手を挙げると、地面に倒れる男達の腕が勝手に動き出し、手を振るわせながら首を締め始める。
「な!が!!」
「こいつ…」
「俺の力を甘くみてないかなぁ、やろうと思えばテメェの首を絞める事だって出来ることを忘れるなよ」
手を下ろすと同時に男達の手は自由になり、大きか呼吸をする。
「はあはあはあし、死ぬかと思った」
「仲間を脅しに使うなんて」
「いや…奴は仲間だなんて思ってないさ、ただ金で雇った役者にすぎない」
「俺を知ってるみたいに言うな」
「探偵なもんでね、事件が始まるたび私が考えることはなぜ犯人はこんな事をしたのかだ、そこから犯人を理解する事を始める」
「面白い冗談だ、俺を理解したのか」
「そうだ」
真琴はクラフトに合図を出すとテレポートでメフィスを遠くの場所に運ばせる。
「え?」
目的であるはずのメフィスを逃してもアーケーダーは慌てる様子はなく、地面に倒れている男を殺すこともなかった、そんな異質な状況に凪は思わず声を漏らす。
「意外だったか俺が殺さなかったの」
「え?だってメフィスさんを狙いに来たんですよね」
「そうだよ、それなのに逃げられて、怒らないなんておかしいよ」
「別におかしなことじゃないさ、メフィスなら私達を倒した後でも回収できると踏んでいる」
「そんなの無理に…」
「そうかぁ?俺は余裕だと思うぜ、えーっと…なんだっけ、そこの紫のメス」
「私がなに」
「マインドレスに捕まった時あのけむくじゃら逃げたよな、同じ過ちを繰り返すものかなぁ、必ず助けに来るだろうね」
「自分が勝てる事を前提にしているわね」
「ハハハ、余裕だろ、俺がただ映像を撮影してハントの関係者になったと思ってんのか」
念力で鉄製のドアを引きちぎるとそれを螺旋状に曲げると思いっきり投げつける、全員が回避行動を取るなか真琴は壁を再生して防ぐ…が
その壁を念力で持ち上げ、ドアだったものが真琴の頬を通り過ぎ、壁に突き刺さる。
「このまま俺とやるか、それとも降参するか」
「………一ついいかい」
「なんだぁ」
「お前誰かを認めた事ないだろ」
「なにをいきなり」
「お前は他人を認めた事がない、つねに他人を見下し、下を探し続けた、あいつよりマシだ、あいつより優れていると思い込んでいる、だけど実際はお前の方が下だ」
「知った口を…」
「ジーン監督の映画…お前はつまらない凡作だと思っただろ、ただ気持ちの悪い怪物が暴れているだけ、そんな才能のないゴミだって」
「………」
「なんであいつが認められて俺が認められない、俺のほうが優れている優秀だと、なのになぜ認めないのか理解できない」
「ふん!!」
「ミスさん!!」
真琴を念力で持ち上げる。
「当たり前だろ、俺は天才だ企画力も実行力も唯一無二!!誰も真似できない、なのにどいつもこいつも嫉妬で認めやしない、俺の力を…」
「正直に言ってあげよう、君が認められないのは嫉妬なんかじゃない、君が誰も認めようとしないからだよ」
「は?」
「誰も認めない奴が誰かに認めてもらおうだなんて、おこがましいと言っているんだよ」
「ハハハハは」
アーケーダーが不気味に笑い始めると手を思いっきり振り下ろし真琴を地面に叩きつける。
それと凪と暫が走り出し殴りかかるが床を念力で剥がし、2人の拳を受け止める。
「なに?」
「格下だと思って油断したか、舐めやがってよ!!」
アーケーダーが拳を握る姿を見て暫はすぐさま動いたが、動かなかった凪の体が次第に捩れ始める。
「ぐっが……が……」
「ピンク!!」
「来てナイトマン、ピッカラ」
太一は2枚のカードを取り出し、カードに描かれた鉄の鎧を纏うナイトと天使のピッカラを呼び出す。
〔久々の再臨〕
〔・・・・〕
「ナイトマンは犯人をお願い、ピッカラ進化」
2つと鼓動が施設中にこだまし、ピッカラはキューレイスに進化を遂げ、進化と同時に生物を移動させる【アザーグランド】を使用して、地面に倒れる男達全員を移動させる。
「人質を奪ったつもりか」
〔・・・・〕
ナイトは飛びつくようにジャンプして切り掛かるが、アーケーダーはそれを軽く避けると小道具のウォーハンマーを持ち上げると、思いっきり振いナイトを吹き飛ばす。
「来て!!ゴッド…」
「させるかよ」
「え?」
胸元の紫の石が輝くと近くの鏡の中が歪み、その鏡に向かって凪を叩きつけると、凪は鏡の中に吸い寄せら、その顔をハンマーで叩き割る。
「戻ってくるのに何時間かかるかなぁ」
「来てゴブ太」
太一はカードを1枚取り出し、ナイトマンに手を向け、カードに戻すとそれを引き寄せゴブ太が描かれたカードとナイトマンのカードを融合させ、新たな存在を呼び出す。
「なんだぁ」
「いけ、ゴブリンナイト」
どうも、GWでゴロゴロしていたら遅れた作者です、やっぱり映画とか見てたいので遅れちゃうんですよね、もしかすると明日とは投稿を休むかもしれませんね。