第222話 懺悔の終わり
「全員手を挙げ地に伏せろミスティラウンがここに来た」
今にも崩れそうなスタジオで眩い光を放ちながら真琴は魔法少女に変身する、しかし周囲を取り囲んでいる男やアーケーダーは小馬鹿にするような笑い声を漏らしていた。
【おいおい、誰だと思えば最弱の魔法少女じゃねえかよ、ビビッて損した】
「ずいぶん余裕があるみたいな反応だね」
【そりゃ金色とか怪獣使いとかに比べたらお前なんて可愛いもんだろ、壁二枚作って操るだけの能力なんて最弱と言ってもいい、少なくともお前より強い・・えーっと誰だっけ・・あのルフィーのパチモンみたいなやつ】
「穂乃花ちゃんのことかい」
【そうだそうだ穂乃花だったか、あれの方がお前より強いが無様に負けたもんなあいつ、やべ、思い出すだけで笑えたぜ後ろから撃たれて、負けて無様に号泣してよぉ、本当笑えて来るぜあhhhhhhhhhhhh】
「お、お前」
「そうだね君の作品ぐらい腹の底から笑えるね」
【hhhhh、はぁ!?】
「嚙まれた人間がゾンビサメになる【シャークゾン】なんてばかばかしくて笑えてくるよ、ははははは」
【・・・なに笑ってんだ】
「思い返すだけで笑えて来るからさ、あれで本格ホラーサスペンスを謳ってるんだらから面白くて仕方ないよ、なんだっけ大道スタジオ渾身の一作?面白い冗談だよ、ジーン監督が自分でゴミだと言ってた【クラッシュゼロ】の方が普通に面白いじゃないか」
「ははは、え?渾身の一作があの映画なの、まってウケる、デビルマンを超えて日本一つまらない作品の奴だよね」
「だろ面白くて仕方ないよ、特に丸飲みされた女性が腹の中でデストロイサメゾンになって腹を突き破るシーンなんて本当に馬鹿馬鹿しい」
「ギャグで作ってないなら、マジで才能ないんじゃない」
「いやいや才能はあるんじゃないかな、B級ギャグコメディーを作る才能わさ」
【・・・す】
「ん?何か言ったかい」
【今すぐテメエら!!殺してやるよ!!】
「やってみろ」
ナイフやフォークなどの小道具が浮かび上がり、真琴に向かって飛んで来るが真琴は金色に輝く壁を作りそれを防ぐと、カードサイズの壁を作り、それを男に投げつけて壁に吹き飛ばした。
「え?」
「お、おい…」
「降伏する時間は与えたからな、ここから先は何が起きても文句は受け付けないぞ」
「所詮ハッタリだ、最弱の魔法少女1人に何ができる」
「50人も居れば余裕で勝てるぜ!!」
「ぐおおおおお」
取り囲んでいた男達が一斉に走り出す。
「はわわわ…」
「大丈夫だ、落ち着きたまえ妹よ」
「姉妹設定まじで突き通すの」
真琴は一呼吸おくと走り出し飛び蹴りを男の顔面に喰らわる。
「ぐべ!!」
男の歯がへし折れ、鼻から大量の血を吹き出す。
その男を踏み台に高くジャンプすると壁を足元に作ってそれを踏み台にさらに飛ふ。
「くっ撃ち落とせ!!」
銃を持つ男が真琴を撃ち落とそうとするが、真琴は足元に壁を作り出し弾丸を防ぐと天井にぶら下がっている照明の上に立つ。
自身を守っていた壁をカードサイズに小さくして、そのカードを操作して他の照明の吊り革を切断して地面に落とす。
「おいおい」
「不味い逃げろ」
落ちてくる照明から逃げようとする男たちの逃げる方向に壁を生成し逃げ場を無くすと、照明に押しつぶされる。
「ごつん」では済まされない音と共に、鉄の照明が骨を砕き、数名の男たちはその場に崩れ落ちた。
「「「ぐわぁぉぁぁぁ」」」
「あいつ!!」
真琴は下を見下しながら、足元に1m×1mの壁・・と言うか床を生成するとその床に乗り、床を操作して下に降りる。
【メスガキが俺のスタジオを滅茶苦茶にしやがって!!】
「メスガキなんで言葉あまり言わない方がいいぞ」
【黙れれれ!!】
アーケーダーが念力で椅子を投げ飛ばすがその椅子を掴み、壁につけられたスピーカーに投げ飛ばす。
【この!!】
「もうスタジオでも何でもないだろ、ここはもうただの廃墟だ、君が廃墟にしたんだ」
「すきだらせだぜ!!」
鞭を持った男がその鞭を振るうが真琴は振り返ることなく壁を生成して防ぎ、振り返りながら回し蹴りを顔面に喰らわせ、男を吹き飛ばす。
「あべし!!」
「あと10人か」
「くそくそ、アーケーダーめこんなのきいてないぞ」
「ただで合法ロ・・」
規制されそうな言葉を言いそうになった男の足元に1mぐらいの床を作り出すと、上に持ち上げ5mぐらいの高さまで持ち上げると床を消し男を落す。
「ぐああああああああ」
メキメキメキと明らかに2.3本では済まないような音が鳴り響き、男の断末魔がスタジオを超えてこだまする。
「こ、この餓鬼」
「てめぇ魔法少女じゃねえのかよ、下手したら死んじまうぞ」
「私は降伏する時間は与えたし、誰も死んでないさ、骨は10本ぐらい折れたかもだけど」
「こいつ」
手のひらに30㎝ぐらいのパネルを作り出すと、指先をくるりと回し、パネルをドリルのように高速回転させる。
「私は破壊不可能の死角のエネルギーを作り出すことができる、それを好きに操れる。いまサンダーみたいに高速回転してるこれを…私がどうすると思う」
「ひ、いいい」
「お、鬼にだこいつ」
「こ、降参だ、降参する」
残った男達は手を上げ降伏の意思を見せるが、真琴は気にせずゆっくりと前に進む。
「降参だって…面白い、君達は私達を犯そうとしたんだろ、もしされてる時に「やめて助けて」なんて言って君達は止めるのかい」
「お、俺たちは金でやとられただけだ」
「違法な金だろ」
「それは…そうだが…」
「命だけは、命だけはお助けを……」
真琴は高速で回転するパネルをスタジオに置かれていた木箱にパネルを当てると原型がないレベルでバラバラになり、それを見た男達は悲鳴を挙げながらスタジオから逃走する。
「「「「「「ひいいいいい!!」」」」」
「腰抜けが」
「す、凄いっすね姉さん」
「姉妹設定、本気で突き通す気なのか?」
「えーいいじゃん、姉妹配信とかすればぜってえ再生数爆上げだって、こんどやろうよ」
「やらない、さて・・」
凪はピンクの携帯を取り出す。
「何してんの」
「マジカル達に連絡をしてるんだ、こんなに暴れて来ないってことは、多分まだ試着室で着替えてるって思ってるんだよ」
よよいのよい、と言いながら連絡を送ると10秒もしないうちに、クラフトのテレポートで廃墟に全員やって来た。
「大丈夫ですかミス・・さんって」
「な、なんですかこれ、半裸の男が大量に」
「なんか遅かったみたいだね」
「やっぱり近距離で誰かがついてるのがせいかいだったな、私が連絡するまで誰も気づかないとは」
「なんかごめん」
「この感じ犯人は逃走したんですか」
「そうでもないさ、そろそろ世羅がくる」
「逃げるんじゃないの」
「ここで逃げればハントからの居場所を無くすだろうね、前回の時点で大勢の味方が捕まってる、前回は取れ高と言う成果があったけど、今回はそれすらないしメフィスを捕まえる最大のチャンスをくだらないゲームで逃した」
「なるほど」
「居場所を維持するにはこの子を手にするしかない」
真琴達の期待に応えるようにドアが勢いよくひらくと、地面に転がる男達の体と舞台のセットが宙に浮き始める。
「な、なにこれ」
「俺の体が」
「いててててて」
「体の傷がぁあ!!!!」
「ぐぁああああああああ!!!!!!!!!」
先ほど男達が逃げていった廊下から男の断末魔のような声が聞こえたかと思った次の瞬間。
雑巾のように捻じり上げられ、肉塊と化した男が、廊下の奥から弾き飛ばされるように転がってきた。
「ひ、人?人なのあれ」
開いたドアが歪んで外れ、セットの窓が全て割れる、廊下からとてつもない殺気が流れ出し、その殺気と共に宙に浮く150㎝ぐらいの小さな男が現れた。
「ほらな」
222のゾロ目ですよいいことありそうですね、作者です、ようやく私は今日からGWです、特に行くところもやる事もないんで長い休みでしかないんですけどね。