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第220話 認められる世界

  ~~~仮眠室~~~


 事件の対応などで騒がしい会社がいつもの非にならないレベルで騒がしくなっていた、その声や音は仮眠室にまで伝わりベッドで横たわっていた翼が起き上がり近くのマネージャーを尋ねる。


「どしたのなんか騒がしいけど」


「あ・・え、えーっと翼さん、その・・えーっとですね、だいだい大事件が起きてるみたいで・・」


「大事件?」


「メフィスさんが実家に帰るって発表しまして」


「へーー別によくね」


「ただ問題なのが実家がラスべニア国のドラキュラ城で、自分がそのドラキュラの孫娘だということを公開しちゃいまして」


「へーそうなんだ......え?やばくない」


「そうなんですよ!?あの子何考えてるんだか・・あ〜もう、ほんとキツい…連絡にも出ないし、どこにいるのかも分からないし…」


「位置情報交換してるから私分かるよ」


「え、本当」


「まじまじ」




  ~~~常滑・空港付近~~~


 アーケーダーを騙すため、凪達は空港近くの大型スーパーに来ていた。


 凪と太一と暫はメフィスから少し離れたところで待機しており、真琴はと言うとメフィスの一緒にゴスロリ服が多くある店に来ており、メフィスの着せ替え人形になっていた。


「お~おおお、すげえマジで何でも似合うじゃん」


「なんで私がこんな目に」


 鏡に映る鏡の国のアリスみたいな恰好をした自分の姿を見つめ、死んだ魚のような目をさせながらため息をこぼす。


「言ってたじゃん、離れた所で見ていてもいきなり捕まるかもだから、誰か近くに居た方が良いって」


「だからってなんで私なんだ」


「それは・・ほら、身長よ、ちょうど姉妹に見えそうだし」


「顔全然似てないだろ」


「でも人間って服で人を判断してるところがあるじゃん」


「まあ同じぐらいの身長で似たような服着てたら姉妹に見えなくもないが・・・今君シャツじゃん」


「シャツじゃねえよ、ちゃんとした服だろうがこれ」


「どこで売ってるんだその・・【“Totally Not Mephis.” “Definitely Not Mephis.”】って書いてある服、ファンサイトで売ってるのかい」


「3000で売ってるよ」


「やす…いのか、いや、シャツに文字書いただけで3000は………」


「買わねぇ癖に文句言うんじゃねえよ」


「所で私にこれを着せるって事は君も着るんだよな」


「あ、店員さんお会計お願いします」


「おいこら手が出るぞ私」


「いいじゃん似合ってるし」


「39歳がこれを着ている事を忘れるなよ」


「そうだったね、ごめーんね」


 と謝りながらさりげなく真琴の服が入ったかごを手に取り、それに気づいた真琴が急いでかごを引っ張る。


「・・・・」


「おい離せよ」


「ガチトーンやめてよ」


「流石にこれを着て歩くの嫌だぞ」


「同じような服着て戦ってるじゃん、と言うか着てきた探偵服もゴスロリみたいなもんじゃん、これぐらい何も変わらないじゃん」


「あれとこれは違うだろ、あと仕事の服にとやかく言うな」


「お客様困ります、お客様!!」


 店員が駆け寄ってくると、2人は無言でかごを床にそっと置いた。


 視線だけでにらみ合う2人に、奇妙な緊張が走る。


「…………」


「…………」


「じゃんけんしよ」


「はい?」


「じゃんけんで負けたらその服来てよ」


「面白い私がじゃんけんに負けるわ・・」


「最初はグー!!じゃんけん!!」


「ちょまだ準備が」


 真琴の言葉を遮りながらいきなりじゃんけんを開始し、咄嗟のことでグーを出した真琴と違い、ニヤリ顔でパーを出したメフィスが勝ち、両手を高く上げる。


「うィーい吾輩の勝ち」


「おいずるいぞ」


「じゃんけんに負けたんだし、それ着てくださーい」


「くっ仕方ない、店員さんこれもう一着この子が着るんで」


「かしこまりました」


「はあああ!!」


「人間って服で人を判断してるところがあるって君が言ったんだぞ」


「ぐぬぬ、この・・・」


「ほら店員さん持ってくるぞ」


「お、覚えておけよ」


 店員が満面の笑みを浮かべながらタグを切った服を持ってくると、真琴は逃げられないように会計をすぐさま終わられると、ビジュアル重視で着替えずらいため2人は同じ着替え室に入る。


 メフィスは着ている服を脱ぐと真琴はメフィスの裸をまじまじ見つめる。


「な、なんだよ」


「いや・・翼がすごいなって」


 メフィスの背中には蝙蝠のような黒い翼と尻らへんには先端がハートの尻尾が生えており、真琴はその翼に手を伸ばす。


「・・・何してんの」


「なんかつい、それより痛覚とかはないんだね」


「あるにはあるけど、そこまで感じないかな爪に触られてる感じ、と言うか離せよ手を」


 翼を触り続ける真琴の手を尻尾で巻き付けると、翼から手を離させる。


「そう言えば君は一応貴族とかの上級国民になるんだろ、なんで配信者をしているんだい、親の七光りで何でもできただろうに」


「それはそうだけどさぁ、凄いいずらかったんだよ、皆親の顔を見てるし私の顔は親の顔みたいなもんだろ、だから吾輩を見ない、見るのは親でそれが嫌で家出しておばあちゃんが住んでる日本に来て配信者になったんだよ」


「天馬くんもそうだけど、やはり自分を認めてほしいと言う承認欲求があるのかい」


「そりゃ・・あるでしょう、てか誰でもそうじゃん、皆誰かに認めてほしいに決まってる、アンチだって自分の居場所が欲しいんだよ、誰だって認められようと必死なんだよ」


「問題はその方法だな、アーケーダーはやり方を間違えた、必ず捕まえる」


 背中のファスナーを閉じ、背中辺りに開いた穴から翼を出し、着替えを手伝っているとぐにゃりと着替え室の鏡が歪んだ。


「ん?」


「なに…どしたの」


「いや…鏡が」


「なんかあ…」


 メフィスが振り向こうとした、その瞬間鏡から無数の手が伸び2人を掴んで鏡の中に引きずりこんだ。

どうもライバルズでゴールドに達成した作者です、とてつもなく気分がいい作者です、最強の味方と当たりまくって一気に登りましたね、本当に味方さまさまですわ。

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