第219話 静かな部屋
~~~仮眠室~~~
事件の後、被害者である各メンバーは取り調べやメンタルケアが行われた後、彩香は会社が用意しているアパートに行き、翼と七海は持病の件もあり本社内にある仮眠室に泊まっていた。
真琴は聞き込みの為に本社に訪れ、身バレ防止の為なのか変身した状態で仮眠室の扉を開ける。
「………あ、ラウンちゃんじゃん、おひさ」
「久しぶり、こうやって会うのは栄ぶりだね」
仮眠室に入った真琴は、わずかに眉をひそめながらざっと見渡した後、真琴は警戒を解き、翼の隣の椅子に腰を下ろした。
「警戒してるの?」
「待機室に隠しカメラが仕掛けられてたからな、ここにもあるんじゃないかって」
「うそマジゲ、隠しラメカなんてあったの」
「それで君達を監視してたみたいだ、所で…心臓は大丈夫かい」
「大丈夫だって何の問題ナッシング、別に今回の奴で動いたりしてないしね、所で・・なんで変身してるの」
「諸事情あってね、それよりいくつか聞きたいことがあるんだ、出来れば滝川さんにも話を聞きたいんだけど・・」
真琴は向かい側のベットで眠るお相撲・・いやぶ・・大きな体をしている滝川に目線を向けるが、滝川はぐっすり眠っており起きる気配はない。
「しばらくそっとしてあげて、カワーさ過食症とかの病気でストレスがたまると目についたものを口に入れようとするんだよね、だから睡眠薬でスヤスヤしてしてんの」
「だからあの体系なのか」
翼はちらりと隣のベッドで寝息を立てる滝川を見やり、声をひそめる。
「しばらくそっとしてあげて――前職がブラック企業で過労のストレスでああなったんだって、うでうウチにで何を聞きたいの、とゆうか何故故変身してるの」
「だから諸事情あるんだよ、1つ聞きたいのは事件が起こる前に誰に会ってどんな話をしたのか教えて欲しい」
「えーっと……前ってどれぐらい前まで」
「栄の後でいいよ、おそらくアーケーダーは栄の後で君達の情報を手にしたと思うからね」
「なんでそう言いきれるの」
「奴は他人から認められたいと言う承認欲求の塊だ、それなら栄のイベントで注目されてる時にゲームをすればいい、それなのにしなかったと言う事は栄の後に情報を手にしたんだ」
「流石名探偵」
「まあ憶測に満たないさ、所で…関係ない話だけど喉大丈夫?」
「え?そんなに声ガサガサ」
「なんか少しかされてる」
「ジーマで、後でマネちゃんにのど飴持って来させよ」
「で・・栄の後に誰と会ってどんな会話をした」
「うーんとね、事件の後2日間は心臓病のあれで眠ってて、病院の人とマネージャーと話したかな、病気の事とか体の事とか?で検査の結果特に問題なかったから復帰して
テレビの取材でいろんな人と話したかな、でもアイドル時代の話とか配信者の苦悩とかの話で個人情報の話してしてないよ、そもそも話した話は記事になってるしね」
「他の配信者とかには会わなかった、メフィス君とか……他の配信者とか」
「……いや今回のメンバー以外は特にあってないよ」
「なるほど」
「これってリークした人を探してる?」
「まあね、今の所私は依頼してきたゲーム会社が怪しいと考えてる、その……ゲーム会社の社員と何か話した」
「趣味とかいろいろ話したかな、会社も個人情報渡してるからリークしたのはゲーム会社だと思うよ」
「うんそうだね、誘拐された時の事覚えてる」
真琴の問いに翼は首を横に振って答える。
「全然?いきなり煙が出てたと思ったら、目覚めたらあの廃墟、ほんとわけわかめ」
「ないだろうけど……アーケーダーに関して心当たりとかある」
「こころあたりか・・実際にあってないし一方的に文句言われた感じ」
「君の主観から見てどんな男に見えた」
「主観って言われてもな、うーん・陰キャが想像してる陽キャって感じ? そんな陰キャが自分を陽キャだと思い込んでる、そんな痛々しい感じに見えたかな」
「だから陰キャなんだよと言いたくなるような感想だな」
「だってそんな感想しかないよ、人が死ぬかもしれないときにそれを茶化してふざけるなんて」
「ネット開けばそんな奴ばかりだ、栄の事件で別会社の配信者が死んだときも酷かったしな、「また転生」とか「絵なのに死ぬのか」とかな」
「そう言う人たちみたいな感じ」
「自分の正しさを証明したくて仕方ない、そして自分以外の誰かを認めようとしない」
「マジでそれ、本当に最悪なやつ」
「そう言えばネットにあの事件の映像公開されたけど、君達3人の姿の映像がなかったけど、なにか知ってる」
「私の能力透明化だよ」
「聞くだけ野暮だったな、所で最初らへんはカメラが君達を撮影してたはずなんだけど、そのカメラって見えた?」
「え......いや見えなかったかな」
公開されたカメラの映像はかなり変なアングルで撮影されており、隠し撮りや遠くから撮影されたようなものではなく、まるで町ロケやドラマの映像のようなアングルで撮影されており、確実に穂乃花達がカメラに気付く所から撮影されている。
しかしクローシアが打ち抜くまで誰もそのカメラに気付くことはなかったのだ。
「以前のデスゲームの映像を見たけど、壁に仕掛けられたやつか隠し撮りとかの映像だった、なんなら参加者に気づかれて破壊されてたりしていた、それなのに今回になっていきなり完璧なアングルになってる」
「なんでだろう、いきなり撮影が上手になったのかな」
「なるほど.......いろいろ参考になったよありがとう」
そう言いながら椅子から立ち上がるとおもむろにポケットから青色のスマホを取り出した。
「そう言えば連絡先交換してなかったな」
「うそ、そうだっけ友達だから交換してると思ってた」
「友達の友達だ、別に君と私は友達じゃない」
「酷いこと言うな、もう」
翼は渋々スマホを取り出し連絡先を交換する。
「ありがとう、何かあればここに連絡してくれ、できる限り早めに駆け付けるから」
「早めって何よ、マッハで来てよマッハでさ」
「私は戦闘機でもスーパーマンでもないんだ、すぐには来れないよ」
「ええええ」
「文句言うな、とにかく私は帰るからな、もう大人しくしとけよ」
「はいはい」
「言っとくがこれは警告だぞ、大人してれば何も起こらない、わかった」
真琴はそう言うと仮眠室の扉を開け部屋から出ていく。
廊下から聞こえる足音が遠くなり、足音が聞こえなくなると仮眠室が静かになる、翼は大きなため息をこぼすとベッドに横たわる。
「チッ」
どうもカレーの食べ過ぎでお腹パンパンで気分が悪い作者です、いつも食べる量をお椀に入れたんですけど、絶妙に残ってたんですよ
こんな微妙な量のカレーを鍋に入れるのもアレだし、タッパに入れるのもめんどくさいと思い、思い切ってお盆に入れたらこの始末ですよ。
さて今回の話いかがでしたでしょうか、最後の舌打ちにはなんの意味があるのでしょうかね、言ったらネタバレになるので言いませんが、後々判明することなのでお楽しみください。