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第216話 2人だけの秘密

 「死ね」「価値無し」「ゴミクズ」そんな言葉が穂乃花の頭に響き渡り誰でもない幻聴に苦しむように耳をふさぎ、治った足を押えながらうずくまり布団にくるまる、


 自分のせいで父親に迷惑をかけた、自分のせいで天馬がクローシアのもとへ行った、自分のせいで会社が炎上して他の配信者にも迷惑をかけた、自分のせいで自分のせいで自分さえいなければ、自分に存在価値なんて存在しない。


 もういっそこのまま


 穂乃花が窓を開けようとしたところで トントン と誰かが扉を叩き、穂乃果は振り向いた。


「ほ、穂乃花さん・・その・・」


 言葉を選び扉越しにもじもじしているのが伝わってくるような声を発する。


「私と話さな・・」


「引退する」


「え?」


「もう配信者も魔法少女も 何も向いてないしやっても意味なんてない」


「・・・そう、なんだ」


「何も言わないんだ」


「何も言えないよ、そもそも私が無理矢理連れて行かなかったらこうなってないもん」


「凪のせいじゃないよ」


「今回の件が穂乃花さんのせいじゃないって言われても納得する?それと同じだよ誰がどう言ってもこの思いは変わらない」


「私・・何がいけなかったのかな 私ってふざけてた? 遊んでた? 何か悪いことした」


「してないよ」


「ならなんで私は批判されてるの なんで足の痛みよりも胸が苦しいの」


「・・・・」


 わからない。穂乃花に返す言葉はそれしか浮かばない、だけどこんな言葉じゃ意味がない、羽みたいに風が吹けば飛んでいくような軽い言葉は何の支えにもならない。


 必死に別の言葉を探そうとするが頭の中が真っ黒になったみたいに、言葉を探そうとしても何も見つからない。


「あ・・その・・えーっと」


「・・もういいよ 私が悪いから・・全部私のせいだから」


「ち、違うよ穂乃花さんは」


「いいよ私のことなんて気にかけなくて まだ皆で話し合ってるんでしょ 私のことなんて忘れて話し合いに戻りなよ もう仲間でも何でもないんだし」


 穂乃花は布団に潜り込み横になる、凪は必死に言葉を探すが、かける言葉が見つからず、軽く言葉をかけてドアの前から去った。


 机に置いたスマホの着信が鳴りやまず、穂乃花は目をこすりながらスマホを見る、消せばいいアカウントを残しているせいで通知欄は批判の意見で溢れている、その通知が慰めだと言う希望を持つが見るに堪えない意見ばかりが通知にあふれている。


 自分はおろか凪達にまで批判の目を向けられており、そのことがとても情けなく、心が締め付けられる。


「もう・・マジで病む」


 トントン


 スマホから手を離そうとしているとまた扉をたたく音が聞こえ起き上がる。


 しかしその音はドアから聞こえてこない、先ほど手をかけようとした窓から聞こえてきていた。


「え なにこれ・・え 何で窓から音がすんの」


 かなりリアルの幻聴が聞こえるほど自分は追い詰められてるんだ、そろそろ引退どころか病院に入院したほうがいいのかな、と思っている間にもドンドンと窓が叩かれる音が聞こえてくる。


「・・・うん寝よう 疲れてるんだ私」


 ドンドンドンドン ドドドドドドドドド


「もう!!うるさい 幻聴にしてもうるさすぎるだろ!!」


 穂乃花は勢い良く窓をかけると、外に居た彩香が驚いた声をあげながら少し距離を離す。


「わあ、び、びっくりした」


「さ サクラ・・さん」


「彩香で良いって2人きりだし、もう名前バレてるしね」


「なんでここに と言うかなんで空飛んでんのここ2階だぞ」


「これね飛んでるわけじゃないんだ、上に落ちて下に落ちてを交互に繰り返してるんだ、それより大変だったねはいこれアイス」


 彩香はそう言いながらビニール袋からプレミアムソフトクリームを取出し穂乃花に手渡す。


「・・・大変って彩香・・さんもじゃん それに何しに来た・んですか」


「何って慰めに来たんだよ、取り敢えず上がっていい、慣れてるけどこれ地味にきついんだよね」


「え えーっと・・は はい」


 靴を脱いで窓から部屋に入った


「クーラー効いてて涼しいね、ほんと外暑すぎる」


「・・配信してましたよね」


「ん?あ~あ昨日のこと、してたよ速攻で事務所から止めてくれって怒られたけどね、そのせいで炎上ちゅうかな、ははは」


「辛くないんですか?」


「辛いけどそれよりも私のリスナーを安心させてあげたかった、私は無事で何の問題もないってさ」


「でも炎上するってわかってましたよね それなのにしたんですか なんで?」


「守銭奴って思われるかもしれないけどさ、批判する奴の言葉はタダなんだよ、批判や炎上はお金をかけずに気軽にできる娯楽、名誉とかそう言うのは何もない。

パチンコやゲームよりもずっと健全で、金もかからないそんなコスパ最強の娯楽を楽しんでいるだけ」


「・・・・」


「もし批判1回100円なら奴らは意見を言わない、それぐらいの価値しか無い物に私の人生左右されてくないんだ、まあ気にはなるけどね」


 穂乃花は下を向きながら貰ったアイスを開け、少しずつチビチビと食べる。


 アイスの冷たさが口の中に広がって、ほんの少し心が落ち着く気がした


「天馬ちゃんのこと何があったの」


「・・・クローシアについていった この世に私が望むものはないからって・・」


「そっか」


「私が・・ちゃんとしてれば 私があの時正しいことを言えてたら ビーちゃんは・・ビーちゃんは・」


「正しい言葉なんて後からしか出てこないよ、後になってどれだけ正しい言葉を探して見つけても、過去は変わらない」


「・・わかってる そんなこと」


「出来るのは、次に会うときに正解の言葉を引用して話すことだけ。今は自分なりの正解を探して次に会ったときに言えばいいんだよ」


「会えるの」


「世界は思ってるより狭いから、外に出てみれば会えるかもよ」


「明るいんですね私なんかと大違い」


「比べるものじゃないさ、それに私の場合はバレたくない秘密は守れたからまだ大丈夫って感じかな」


「住所とか名前以上の秘密って・・」


「じゃあ、特別に教えてあげる。でもこれは絶対に内緒だからね、実はね私・・・」


 彩香は満面の笑みを浮かべながらスマホを取り出し穂乃果にある画像を見せた。


 その画像を見た穂乃果は驚きのあまり目が伸び、泣きそうだった表情が明るいものに変わった。


「…え!?うそ……え まじ?」


「これがバレなくて良かったよ、まぁ…お父さんには特に…ね……」

どうもラーメン屋で爆食いして少しだけ気分が悪い作者です、仕事というか会議がですね7時まであったんですよ、それで普通よりお腹空いてたから美味しそうな奴を片っ端から頼んだら少し気分悪くなりました。


さて特に書くことがない後書きですが今日も特にありません、いかんせんネタバレになる話しかないんですよねこれは…困ったけど…そもそも後書きなんて書かなくていいよなと思うので今日は特にないです。

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