表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
230/256

第214話 誰も認めない

「選択肢を与えよう、私のもとに来るか、このまま死ぬか」


 そう言いながら天馬に手を伸ばす。


「な、何を言って」


「私が君が望む世界へと連れて行こう」


「殺人鬼の仲間になれって」


「実力を認めてほしいんだろ、私のもとに来れば誰もが君を認める場所へと案内しよう、自由に歌えて他人の顔色を見ずに幸せにできる場所へ」


「無理だあたいには・・」


「君は何者だ、響か・・いや違うだろ君は天野 天馬じゃないのかい、偽りの仮面を被らず、君が君らしく居られる場所へ案内しよう」


 そんな問いに天馬は震える右手を差し出そうとした、だが痛みに悶える穂乃花がその痛みをこらえながら声を上げる。


「ダメだよ!! ビーちゃんは皆を笑顔にしたいんでしょ ここで行ったらファンの人が悲しむよ!!」


「それは・・」


「自分を押し殺してでも居るべき場所か、正体が暴かれてもなお君のファンは笑顔で楽しんでくれるかな」


「楽しむよ!! だってビーちゃんが好きで皆来てるんだよ!!」


「笑わせるのと笑われるのは違う、きっとファンは君を見て笑うだろし、好きなのは響で君じゃないさ」


「ち 違うよそれは・・」


「・・穂乃花・君ならわかるだろ、どれだけ頑張って苦しんでも認められないんだよ」


 天馬は下を向き涙を押し殺しながらクローシアの手を握る。


「いい子だ」


「だ ダメだよ そんなの・・」


「やめたいと口癖のように言ってた君に否定する資格はないさ、それとも君も連れて行こうか、辞めたいんだろ私がその手助けをしよう」


 地べたで倒れ込む穂乃花にしゃがんで手を差し出す。穂乃花は手を伸ばすがその手を軽くはじく。


「私は いかない・・行ったら私の大切な人が悲しむ」


「そうかならいいさ」


 立ち上がり穂乃花の糸を回収する。


「案内しよう、君の望むものがここにある」


 クローシアは何もない空間に糸を伸ばし、それを次第にゲートへと変形させる


「なんであたいを殺さないんだ、ハンターなんだろ」


「気まぐれさ、それにこれで君は死んだことになる、カメラもなく目撃者も魔法少女だけ、私が適当な死体を見せ、彼女が黙っていれば世間は君が死んだと思うだろう」


「私 が・・言わないとでも・」


「言えば彼女を傷つけるぞ、このまま死んだことにしておけば幸せだ」


「違うよ 死んで幸せなんてことあるわけないよ 皆ビーちゃんがみたいに・・」


「やめて」


「え?」


「あたいはビーちゃんじゃない、あたいは天馬だ天雷 響はもう死んだ」


「ダメだよ 行かないで!!」


 天馬はほんの一瞬、穂乃花を振り返りそうになったが、そのまま目を閉じて歩みを止めなかった。


「いやあああああああああ!!」


 穂乃花の叫びは天馬の耳に届くことはない、穂乃花は水たまりができそうなほどの大量の涙を流しながら手を伸ばすがクローシアがその手を蹴り、自身もゲートをくぐるとゲートが閉じ、消滅した。


「・あ…あ・・アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」


 能力がコントロールできず、声や顔が数秒ごとに切り替わり、それにより異質な叫び声が街中にこだまする。


 クローシアが言っていた、穂乃花は「ガラスのような心に崩壊寸前な精神を天馬を守ると言う目的で支えている」天馬と言う支えがなくなり、押し殺していた恐怖が崩壊したダムのように溢れ出す。


 恐怖と友達を失った喪失感、足の激痛。自分でも制御できない感情が暴れ出し、ただひたすらに声を上げ、涙を流し続ける。


その声はもはや人間のものではなかった。


 そんな叫び声にアーケーダーのカメラと殺人鬼がぞろぞろと集まる。


【あ~もうクソが、肝心なところ撮れなかったのかよ、クソクソクソ!】


「酷い叫び声だ」


「バケモンみたいな声だなぁ、きっと断末魔はもっと凄い声だろうぜぇぇ、きへへへへ」


 有象無象の殺人鬼が穂乃花に近づき、武器を振るおうとしたその時


 キラーンと空が眩く光り輝き、ビルを突き破りながら金色の何かが穂乃花の前に落ちてくる。


「な、なんだ」


「さてお仕置きの時間だぞ」


 煙の中から凪の声が響き、黄金に輝く剣を振るい煙を吹き飛ばし、大量の殺人鬼達の前に黄金の姿を現す。


「ま、魔法少女!!」


「おいおい金メッキは聞いてねえぞ」


「ここには誰も来ねえはずだろうが」


 困惑する殺人鬼を横目に凪はしゃがんで穂乃花をお姫様抱っこで持ち上げる。


「ま マジカル・・」


「酷いけが、一体どこのどいつがこんな事を・・あいつか」


「え?ワイでゲスか」


【おいおいおいおい、どうしてここがわかった、警察すら見つけ出せない隠れ家だぞ】


[君達は僕達を舐めすぎだ]


 クラフトが仁王立ちをしながら凪の隣りにテレポートして現れる。


【なに】


[クラウンモードを解除した時、クラウンは僕のもとに来るようになってる、そのクラウンに魔法をかけて過去の記憶を見てこの居場所を突き止めた]


「趣味の悪いゲームもおしまいよ、ファンさんの足と涙の借り全部100倍で返してやる」


【それがなんだ、そこの猫は使えない、てめぇ1人でここに居る全員に勝てんのかよ】


「おいあいつを殺すことは聞いてないぞ」


【忘れたのか奴はヒーローズハントで賞金が出てる、これだけ実力者が集まった今、倒せるのはチャンスだぜ】


「そう上手くいかないよ、来たのは私だけじゃない」


[ああ、もう準備は整った]


 クラフトがそう言うと魔法陣を浮かべ、その魔法陣が光り輝くと魔法陣から大量の警察官が現れる。


「な!?」


「ゲームは終わりだ、もう逃がさない」

どうも最近お腹が痛い作者です、なぜか異様にお腹が痛いんですよね、別に変なものは食べてないんですけど…一体何が原因なのでしょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ