第212話 スパイダーネットワーク
「なんで……言わないと……」
「気になるからだ、是非とも本人の口から聞きたい物だな」
クローシアは息が当たりそうなほど近い位置にいる天馬の顎を クイッ とあげながら体に糸を巻きつける。
「死ぬかもしれないのに喋らない、それほど話したくないことかな…」
「こ この!!」
穂乃果は体に巻き付かれた糸を引きちぎり、拳に力を込める。
「おっと…」
「くらえ最終講義クインテット……」
穂乃果の拳が虹色に輝きを放ち、その拳を振りかぶろうとした、しかし メキメキ と言う骨が歪むようなことがクローシアの背中から鳴り響き
背中から6本の黒い骨が飛び出す。
「な!?」
その骨が蜘蛛の足のような形を形成すると、その足から糸を放ち穂乃果の手首を巻きつけ、奥義を封じ込むと、その足で穂乃果を地面に叩きつける。
「ぐっ!!」
叩きつけられた穂乃果だがすぐさま回し蹴りの体勢を崩そうとしたが、クローシアは蜘蛛の足2本をを天井に食い込ませて足を浮かせる。
余った足で糸を放ち穂乃果を拘束しようとしたが穂乃果は転がって糸を避け、立ち上がる。
「はぁ はぁ な なんだよその足 今まで出してこなかったじゃん その…アイアンスパイダーのパクリみたいな足!!」
「貴方がそれを言う、何もかもが模倣の貴方が…模倣以外のオリジナリティがあるの」
「そ それは…」
「ないでしょオリジナリティも何も。貴方はコロッケどころか、他人の真似事しかできない三流モノマネ芸人ですらない」
「げ 芸人目指してるわけじゃないし」
「なら何を目指しているの、魔法少女?いいや、やめたいのよねそれ…それともプロの配信者?それとも警官?貴方は何になりたくて何をしようとしているのかしら」
「何に って…そんなの」
「答えられないの、ならどれも叶わないわよ」
クローシアは弾を込めながら天馬を天井に縛り付けると蜘蛛の足を動かしながら穂乃花に接近する。
「き 気持ち悪る!! 何その移動方法」
「そんなこと言って勝てるの」
カサカサ と嫌悪感を感じずにはいられない移動で気分を害させながらクローシアは回し蹴りを喰らわそうするが穂乃花は回避する、しかし2本の蜘蛛足が穂乃花の横腹を突き刺す。
「ぐっ!!」
痛みに動きを止めていると、両手を握ったクローシアがハンマーのように腕を振るい頭をぶん殴り、下を向いた頭に膝蹴りを喰らわせ、その後首元を掴むと蜘蛛足を引っ込め地面に着地すると同時に勢い良く地面にたたきつける。
「ぐああああああ!!」
「穂乃花!!」
銃口を頭に当て引き金を引こうとする。
他の変身ができなくなるクラウンモードでは相性が悪いと考えた穂乃花はクラウンモードを解除し、引き金が効かれると同時に頭を金属に変え弾丸を弾く。
「おっと」
そのまま頭を伸ばしてクローシアを軽く突き飛ばすと立ち上がり、全身を金属に変えながら腕を伸ばしで殴りかかる、しかし収納した蜘蛛足を再度展開し、6本足で拳を受け止め、足元の大きい瓦礫を糸で引っ張り持ち上げるとその瓦礫を投げつける。
「そんな岩でこの体が・・」
「だから弱いのよ」
クローシアは投げつけた瓦礫に銃口を向け引き金を引く。
瓦礫は周囲に煙をまき散らしながらバラバラになり、クローシアは煙に紛れるように姿を消す。
「この・・ず ずるいぞそれ まっとうに戦うのが怖いのか」
「・・・・」
前も見えない煙の中、穂乃花は周囲を見渡すと煙の中に人影を見つけた。
「そこだああああ!!」
穂乃花を腕を伸ばしてその人影に殴り掛かる、拳の勢いが煙を吹き飛ばしながら人影の正体を暴く、それは拘束されている天馬だった。
「ビーちゃん!!」
拳が当たる間一髪の所で腕を止め、クローシアを探そうとした瞬間、真上の天井から落ちながらその姿を現し、頭を掴むとそのまま地面に叩きつけ、腕と足を蜘蛛足で抑え込むと拳を握って殴り掛かる。
頭を鉄に変えて受け止めようと思ったが恐怖で拳をかわすと、クローシアの拳が地面に穴をあけた。
穂乃花は鉄骨に風穴を開けたことを思い出し、どれだけ体を硬くしても意味がないと考え、拳を振るうと同時に自身の体を鼠に変えて回避するがすぐさま糸で捕らえられ、壁に叩きつけられた元の姿に戻る。
「はあ はあ はあ」
必死に呼吸していると勢いを付けた飛び膝蹴りが喉元に炸裂し、首を押えながら地面に倒れ込むと、すかさずかかと落としが炸裂しそうになるも頭を亀のように引っ込めて回避し、腕を伸ばしてクローシアの足を掴むと転ばせる。
「あら?」
「次は私の番だ」
穂乃花は鳥に変身して高く飛ぶとクローシアの真上で全身が岩のロックレイジに変身し、300kgを超える巨体で押し潰そうとする。
クローシアは蜘蛛足ですぐさま回避し起き上がるが、穂乃花は着地すると同時に走り出しタックルを喰らわれ、壁に激突し背中の蜘蛛足がへし折れる。
「ぐっ・・この程度」
穂乃花は元の姿に戻りながら拳を握る。
クローシアも壁から背を離し歩き出す。
2人ともフラフラになりながらも見つめ合い、どちらが先に攻撃を仕掛けるか見合っているとスピーカーから声が響く。
【さーて情報公開の時間だぜ】
「な、なんでまだ10分経ってないだろ」
「はあ はあ な なんで」
【いやねぇ~そこの子蜘蛛ちゃんが気になるって言うから早出ししてやろうかと】
「子蜘蛛だと、少なくともお前より年上だぞ」
【まあまあいいじゃないの、天雷 響の超特大のスクープをよぉ】
「や、やめろ!!このクソ野郎」
【何を恐れてるんだ、なあ人気配信者さんよぉ・・凄い人気だよなぁ映画にドラマにアニメの主題歌、そしてゲームのゲスト声優、見るからに人生の成功者だ、そんなお前の特大スクープって・・なんだろなぁ】
「やめろ!!本当にこの!!」
【皆が気になってる特大スクープ、待たせてもあれだしさぁ公開しちまうか!!天雷 響 引退を宣言!!】
どうも、ランクマッチに沼ってる作者です、この間スキンがもらえるとかはまだ言ってたんですけど下がってブロンズになったせいで地獄を見てます。
全然ランクが上がらない勝っては負けては勝っては負けてはの繰り返しですよ、それに最近はヒーラーをやってくる人が多くて、慣れてないアタッカーをするんですが全然キルが取れません。
さて、今回は特に話すことがないのでクラウンについて軽く話しますね、設定集の方で書いたんですが本編ではこれと言って触れなかったんですが
クラウンモードは5人の能力を同時使用しつつ、能力が全体的に強化されます、しかしクラウンモード使用時は他の変身ができない設定があります。
なのでクラウンモードは完全強化形態ではないんですよね、真正面から戦う敵の場合はクラウンは強いんですが搦手を使う敵を相手には少し弱い形態になっています。
今回クローシアに手も足も出なかったのはそれが理由ですね。