第203話 友達なんかじゃない
自分は魔法少女の力を手に入れて守られる側から守る側に回ったんだとそう思っていた、だけど実際は何一つ変わっていない、今も自分は守られる側なんだと、目の前の警官が血を流しながら倒れ、自分を犠牲にしながらも私を戦いから遠ざけようとした。
警官から見れば私は共に市民を守る存在ではなく、守られる側なんだ、だから戦いから遠ざけさせた。
「こんなんじゃ魔法少女になった意味が・・」
凪は足が治っているのにもかかわらず立ち上がらず下を向き涙を流す、そんな凪に泥人形が近づく。
「・・でも」
凪は涙をぬぐい近くに落ちてた盾を掴むと立上り泥人形を睨みつける。
「資格だとか、覚悟だとか、責任だとか、なくたってやるしかない」
盾を強く握りしめると走り出し盾を構えて泥人形にタックルをくらわせる、タックルをくらった泥人形は吹き飛ばされ、後ろの泥人形にぶつかるがその泥人形と同化し体積を増やすと殴りかかる。
凪は盾を地面に向かって投げると同時に地面に倒れこみ攻撃をかわすと、手を頭の横に置き足を頭の位置に持って来て前転のような姿勢にすると手を押し出し、タイミングを合わせて勢い良く飛びあがると盾を踏みがら泥人形に蹴りをくらわせ、泥人形の体を貫通する。
そのまま着地すると同時に盾を握り直し走り出す。
「はあ、もう泥ついたし最悪」
全速力で走る凪を泥人形達が追いかけるが凪はそんな泥人形達に向かって盾を投げつけ体を真っ二つに切断する、泥人形達が体の修復に時間がかかっている内に地面に落とした弓を拾うと、小さなストラップサイズに戻しベルトに付け直す。
「なんなんだ!!どいつもこいつも、僕を見下せるほど偉くも才能もないだろ!!!」
「危ないピンクちゃん!!」
赤口は握りしめたムイナをはるか遠くに投げ飛ばすと、走って近づいてきている凪を掴み、先程風穴を開けた胸元に凪を叩きつけそのまま抵抗も出来ずに取り込まれる。
「凡人どもがあああああ!!僕の勝ちだあああああ!!」
地面が揺れるほどの赤口の叫びが公園中に響き渡る中、赤口の胸元が突然燃え始め周囲の木が燃えるほど高温が放たれながら、公園全体が激しく揺れるほどの大爆発を引き起こす。
赤口の体内で放たれたマジカルダイナマイトは泥の体を吹き飛ばし、凪は空中で体を再生させながらベルトにつけた弓を元のサイズに戻し糸を引く。
「上手くいった、さて・・本体は・」
凪は糸を引きながら矢にエネルギーを集め始める、わざと赤口に取り込まれることで赤口に近づき、超至近距離での爆発で体を木端微塵に吹き飛ばす、これが凪の作戦だ
相変わらず爆発で芸がないとは思うがとにかく凪の作戦は成功した、後は目に見えない魂を狙うだけだ。
赤口は泥を作り出すさい必ず体から出している、操作は触ってなくても遠隔ででからが、作り出すのは必ず本体から作り出す。
もし体がなくなったら本体である魂は新たな肉体を作り出す、魂が泥を出す一瞬の瞬間の隙を狙う、もちろん完全に肉体を作られては遅い、泥を出す瞬間を狙うしかない。
「・・どこだ」
凪は体を再生させたばかりで疲れてる状態で矢を握りしめて周囲を見渡す、一瞬の見逃しも出来ないそんな緊張感が胸が張り裂けそうになる。
だけどやるしかない、凪は見逃さない様に目を大きく開いて全方位見渡すと蠢く泥が目に入る。
「そこだ!!」
凪に迷うなどなく蠢く泥に向かって矢を放つ、放たれた矢は真っ直ぐ突き進みそのまま泥を打ち抜いた。
「グァァァァァ!!!!」
眩い光とともに同化していたスーツが飛び出し、空中で粉々に砕け散ると同時に黒い影があふれ出し何処かに消え去った。
周囲のばらまかれた泥や泥人形達が形を保てなくなり崩壊した。
「や、やった上手くい・・たああああああああ」
喜ぶ凪だったが自分が空中にいることを忘れており、猛スピードで落下する、急いで空を飛ぼうとしたがテンパって上手くできず地面に激突しそうになったが間一髪の所でムイナが戻ってきて凪をキャッチした。
「あ、危なかった」
「今度からは背中にパラシュートを背負いながら空で戦ったら、せっかく勝ったのにびしってしないよ」
「す、すみません、なんだかしまらなくて・・それより警官や炎二さんは」
ムイナはゆっくりと地面に着地すると、凪を下ろす。
凪は警官達が居た方を見るとボロボロだが何とか立ち上がる姿が目に入り、撃たれた警官は仲間の警官に担がれながら凪に向かって親指を立てた。
「よ、よかった・・あ、でも」
「うん、1人は死んだよ、赤口に手錠をはめようとした警官、でも仕方のないことさ、あれはどうしようもなかった」
「そう・ですよね」
落ち込む凪のもとに頭を抑えながら炎二が来た。
「かなり無茶をする子供だ」
「ごめんなさい」
「謝るのは俺の方だ、君に無茶をさせたそうさせない為の警察だと言うのに」
「炎二警部それはないんじゃない」
「なにがだ」
「もうピンクちゃんは守られたり無茶しない立場に居ない、警部と同じ無茶してでも誰かを守るヒーローだよ」
「ヒーロー」
「そうだな、さて」
炎二は胸元から手錠を取出すと地面に倒れ込む赤口を睨みつける、その手にはシワシワな才木のスキンが握られ、肩を動かすほどの激しい呼吸をしていた。
「まだだ、まだ僕は・・」
「もう無駄だ赤口」
「炎二・・さん」
「才木から手を離せ、これ以上彼の顔に泥を塗るな」
「ねえ今の聞いたうまいこと言ったよこの人」
「黙れ」
「はい」
「手錠をはめる前に謝っておく、すまなかった部下のお前をみてやれなかったこうなったのも俺のせいだ」
「いい人ぶらないでくださいよ、同情なんてして欲しくない…クソ喰らえ」
「なら大人しく捕まって罪を償うんだな…」
「うっ!!」
炎二が手錠を持って近づいた瞬間、赤口は目を見開いてお腹辺りを押さえ始める。
「待って…何か変……才木のスキンがない」
「なに?」
マイナが言う通り赤口が握っていたはずの才木のスキンが無くなっていた、炎二は赤口の胸ぐらを掴み持ち上げる。
「どこに隠した、だせ」
「あ……あ…」
「まだ才木のフリがしたいのか、それなら…」
拳を握りしめる炎二だが凪は赤口の異変に気づき炎二を止める。
「待ってください!!」
「すまないがここからは警察の」
「違います、胸から血が」
「なに?」
炎二は赤口から手を離し体を見ると、心臓の位置に刺し傷の様なものがあり、それだけではなく体の至るところに刺し傷があった。
「なんで」
「馬鹿な!!こんな傷さっきまでなかったぞ」
傷に驚いていると赤口の口が開き、その口から手榴弾が突然現れ、誰もいないのに線が独りでに抜けた。
「警部急いで離して!!!」
「この!!」
炎二は咄嗟に赤口から手を離し突き飛ばし、口にある手榴弾が爆発する、そこまで大規模な爆発ではないが赤口の歯や骨が飛び散り、凪はそれらから炎二を守るために前に出る。
「いった!!!!!」
叫び声を上げながらも苦痛を堪え後ろを振り返る、そこには頭が吹き飛び、刺し傷で血だらけな赤口の姿があった。
「な、何が起こってる」
どうも夜の8時なのにクソ眠くて気分が悪い作者です、いつもは11時ぐらいで眠くなるのに8時とか言う早めの時間で滅茶苦茶眠いです。
もしかしたら体調不良の可能性もあるので明日は投稿できないかもしれませんね。