表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
215/256

第199話 眠れぬ死体

〜〜〜2年前〜〜〜


 雨が降る夜中に私服の赤口がある家のチャイムを鳴らす、雨のせいで画面がよく見えなかったのか家主がインターホン越しに


「どちら様だね」


 そう語りかけると赤口はしゃがんでインターホンのカメラに顔が見える様にしながら


「僕だよ兄さん」


 そう言いながら作り笑顔を浮かべる。


「すまない…雨だし君の背が高くて誰かわからなかった、すぐにあけるよ」


 家主はインターホンから離れると玄関に足を運びドアを開ける。


「久しぶりだな赤口と・・」


 家主は赤口の隣にいる白髪の女性に目を向ける。


「僕の友人だよ」


「初めまして、お会いできて光栄です」


 そう言うと手を差し出し家主がその手を握った瞬間。


 バタン と家主が倒れた、後ろから押されたとか段差に躓いたとか、そう言う倒れ方ではない、まるでダルマ落としのように両足がいきなり取れたかのように倒れたのだ。


「な・・・なにが・・」


 家主の頭がこんがるなか家主が足に目を向けると自分の足が布のようにペラペラになっていたのだ、足を動かそうと力をこめるが動くことはなく、足の感覚もない。


「・・どういうつもりだ」


「覚えてるか兄さん、コンクールに兄弟で作品を出した時、兄さんは1位で僕は5位だった、兄さんどころか周りの奴よりも下で才能のない凡人だって僕が言われてたこと、とても優れた最高傑作な兄さんと違って僕は劣った劣等種だ」


「違うそんなことは」


 家主の足が徐々に下半身が布のように平べったくなっていく。


 家主は必死に手を伸ばし赤口の足を掴むがその手を蹴ってはらい、その手を踏みつけながらしゃがんで顔を近づける。


「けどこれで変わる、兄さんが積み重ねた物全部壊してやるよ、これで僕は落ちぶれた芸術家よりも優れた警官になれる」


「あ・・か・・・」


 言葉を言い切るよりも前に全身が平らになり家主は布のようになった、赤口は抑えられない笑みをこぼしながらそれを拾い上げ家に入りドアを閉める。


「これでいい、完璧なオーダーメイドでしょ」


「まるで着ぐるみみたいだ」


 そう言うと胸元のボタンをはずし服を脱いで全裸になると布のようになった家主を持ち上げ、首元ぐらいに開いた穴を広げて足を入れる、家主の皮が肌に吸い付き着たところが変化していく、赤口は少年のようにワクワクしながら着ていき頭を被せると身長も顔も匂いも指の感覚も何もかもが家主のものに変化した。


「あーあー、凄いな声も同じだ」


「着心地はどう」


「気持ちが悪いなまるで自分じゃないみたいだ」


「それが私の仕事だからね、ちなみに服は脱がなくても問題ないよ」


「今言うかそれ」


 そう言いながら家主の服を着始める。


「それで・・どうする、それで何をする」



~~~数分後~~~



「やめてぇ!!パパ!!」


「あ・・・っか・・・」


 大きなベランダの食卓の上でシャンデリアの明かりに照らされながら家主の妻が家主に首を絞められ、苦しみ藻掻く、妻は白目をむきながらも娘の方を見よう首を動かす。


「に・・・げ・」


 娘は母の表情を見て涙を浮かべながら近くの椅子を持ち上げ家主に殴りかかる。


「おいおい詩歌パパに暴力を振るう娘に育てたつもりはないぞ」


 そう言いながら妻の首を絞めながら体を持ち上げ食卓に叩きつけ息の根を止める。


 不気味な笑みを浮かべながら妻の首から手を離し娘の方を見る。


「やめて・・やめてやめてパパ!!!」


 逃げようとした娘の手を握り引き寄せると地面に叩きつけ、体から泥を作り出し娘の手首を泥で抑え込むと娘の胸元に手を伸ばし上着のバタンを1つ1つ外していく、今からおこなわれることに興味を持ったのか白髪の女はカメラを手に持ち撮影し始める。


 それから1時間が経過し家主は妻と娘を泥で覆い被せ家にあった芸術作品の全てをベランダに集め1つ1つ丁寧に殺気と恨みを込めながら破壊する。


「はあ、はあ、はあ」


「どう満足した」


「とてもいい気分だ」



 ~~~1週間後~~~


 何億もするような芸術作品が粉々になり地面に散らばり、女と子供が泥で覆われた死体が食卓の上に飾られた異質な殺人事件に警察は調査を始める、赤口はただひたすらボーっと現場を見ていると炎二が肩を叩く。


「嫌なら外れてもいいんだからな」


「いえ、大丈夫です」


 そう言いながら見つめている。


 現場で作業している警官達は赤口に哀れみに満ちた表情を向け、現場検証が終わり警察署に帰ってきた後も同僚達は肩を叩いたりコーヒーをおごったりで同情する、赤口は誰もいないトイレに入ると声が漏れないように抑えながら満面の笑みを浮かべ体を震わせる。


 その日は同情した炎二によって早めに返され、家に戻ると複数人のマスコミが家の前で張り付いており、赤口を見つけると一斉に集まりマイクを向け 、事件について聞いてくる。


 その光景に驚きながらも赤口はマイクに口に近づけ


「こんな事をする奴とは思ってもみなかった」


 そう言い心にもない言葉を付けたす。


「僕はあいつを許しません、警察として必ず奴を法の下に正義の鉄槌をくらわせましょう、落ちぶれた芸術家と違う優れた警官として」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ