第197話 皮被りて有頂天
自然豊かが売りな公園で警官の炎二が同じ警官の赤口に拳銃を向け、それに続くように複数の警察が赤口の周りを取り囲み拳銃を向ける。
「動くな!!赤口!!」
「・・すまないがその男から離れてくれ」
「ど、どういう・・」
「ま、待ってください皆さん、なんで僕に拳銃を向けるんですか」
「言わなきゃわからないか、大人しく自首してれ」
「自首?何を言ってるんですか、こんな馬鹿な事してる場合ですか、早いところ才木を捕まえましょう、こんな事している間にも作品作りの準備をして、またどこかで暴れ始めます」
「そうかな…俺は暴れないと思ってる、お前がここにいる限り」
「ど、どういうことですか炎二さん、なんで赤口さんにじゅ・・」
凪が言葉を出す前に赤口が凪の頭を掴み地面に叩きつけ、倒れる凪の首元を踏みつける。
「な、なん・・」
「少し黙っててくれないかな」
「お前!!」
警官の疑いが確信に変わり目つきがより鋭くなる、その警官を見ながら懐から拳銃を取り出そうとして目線を下に向けた一瞬の隙を狙い、木の上に待機していたムイナが目にもとまらぬ速さで赤口に接近する。
「この!!」
それに気づいた赤口が拳銃を向けるがムイナはしゃがんで射線からはずれ、赤口の足を蹴って転ばせ、倒れ込んでくる赤口の腕を掴むと背負い投げのように投げ飛ばし、凪を抱きかかえるとすぐさま距離を離す。
「くっ!!」
「そこまでだよブラザーフェイス、お兄さんの仮面をかぶるのはもやめるんだね」
「え、待ってください・どういうことですか、赤口さんがブラザーフェイスなんて」
「もう・・言い訳はできないぞ、瀬戸 赤口!!」
倒れた拍子に落した拳銃を拾おうと伸ばす手を炎二は踏みつけ拳銃を向ける。
「酷いなぁ・・手を踏みつけるなんて、それに僕はまだ容疑者であって犯人じゃないだろぉ」
「凄いねまだ言い逃れできると思ってる」
「その・・ごめんなさいどういうことなんですか、なんで赤口さんがブラザーフェイスって事になるんですか」
「何を馬鹿なことを・・証拠も何一つない僕をフェイスだって決めつけた証拠はないだろ、アレは間違いなく才木だ、能力も顔も指紋も血液も全てが一致してる、僕がフェイスな訳がない」
「見苦しいよ、君は私の罠にはまったんだから」
「罠?」
「私さ学校の作品を見た時から思ってたんだよね、下手な芸術品だって」
「下手だと」
「とても才能がある男が作ったように見えなかった、そこからある考えが頭の中にあったんだよね、アレが才木じゃなく…全くの別人なんじゃないかって」
「犯罪に走って腕が落ちただけだろ」
「かもね、でも才木の能力は泥の生成と操作、体を泥にはできない、犯人は才木の能力と泥になる能力の3つを持つ能力者になる、で君は触れた物質と同じ性質に肉体が変化する能力を持つ、泥に触れれば君の体は泥になる」
「だとしたらなんで赤口さんが才木さんの能力を使えるんですか」
「そこら辺はおいおい話すよ、で能力を聞いて私は君を犯人の候補に入れた、そこで犯人かどうかを確かめるために警察無線で自分達の配置と作戦を話した、君がそれを罠だと気づかずに攻撃した」
「じゃ最初からスーパーの戦いは奇襲されることが前提だったんですか」
「そうそう、で君が芸術品を作ることよりも私達の排除を優先した、作品を作ることが目的なら人質を取ればよかった、それをせずに排除を優先しても逃げるときに何のためらいもない姿を見て確信したんだよね、ブラザーフェイスは君でこんな事をした目的は才木の名誉を汚すことだって」
「だそうだ、まだ何か反論はあるか」
「反論だと・・あるだろ!!僕が才木の能力を使えた理由がないし、無線の情報なら他の警官だって知ってた、なのに僕だと決めつけるのか」
「確かにそこが引っかかった、どうやって才木の能力を使ったのか」
「ムイナに才木とは別の人が才木のフリをしているって言われ、昔の事件を思い出したよ、 ある警官が警察署で発泡し上層部の人間が殺された、その警官を押えつけ拘束し身体検査をすると、文字通り警官の皮を被った反社の人間だった」
「それって・・確か」
この話に聞き覚えがあった凪は数週間前の記憶が頭に浮かぶ、魔法少女のメンバーと関係者で情報整理のために集まった時のこと、暫達の魔法少女を倒したマインドレスその関係者にマルチスキンと言う犯罪者が居ることが暫の口から語られた。
触れた人間を皮のようなスーツにする、マインドレスは常にそのスーツを着て行動しており、それにより証拠が一切残らない、炎二が話している事件はそのマルチスキンがかつて引き起こした事件だ
「今回の件だけじゃない、いくつかの事件で警察の動きが分かってたみたいに行動する犯罪者が多くいた、信じたくなかったが警察内部に内通者がいると・・なあ赤口いつからマルチスキンと繋がっていた」
炎二が足をどかすと、後ろにいた警官が地面に倒れる赤口を立ち上がらせ体に触れる。
「・・・」
「何か言えよ赤口」
2人は無言で睨み合う中警官の一人がポケットの上を叩いた。
「・・ん?なんだこれ」
警官は何か違和感を感じたのか何回か触れ、ポケットの中に手を入れ中のものを取り出し目視すると警官の顔が歪み、悲鳴をあげながらしりもちをついて取り出したものを地面に落とす。
「な、ななななな!!なんだこれ」
落ちた物に誰もが視線を向け顔をしかめる。
なぜならそれは靴下のようにぐしゃぐしゃになった人の体だったからだ。
大きな人の体が布のように平べったくされポケットに入るように圧縮されぐにゃぐにゃになっている、そんな異質で気持ち悪く誰もが生理的に嫌悪感を感じるものに凪は思わず目をそらす。
「もう言い逃れはできないぞ赤口」
どうも最近謎の時間帯に目が覚める作者です、何故か起きる時間の1時間前に目が覚めるんですよね、そのくせ滅茶苦茶眠いと言う謎の現象が起きてます。
さて今回はブラザーフェイスの話をします、前々から話したかったんですが話そうと思うと正体を出さないといけないので正体が判明してからじゃないと書けなかったんですよね。
で、ブラザーフェイスなんですが実はもう少し早く登場する予定でした、予定ではクリフォトさんの前ぐらいのタイミングですね、図書館とか体育祭とかしてたそこら辺で登場する予定でした。
第2章が始まった時のまとめの話の時にマルチスキンの話が登場し、そのマルチスキンに関係する敵としてブラザーフェイスを考え、その回からあまり感覚を空けずに登場させようと考えました。
ただ魔法少女メンバー4名全員を一つの話で登場させることは私の実力的に難しく、仕方ないから1人1人ずつ主人公の凪と一緒に登場させ、クリフォト戦で全員が集まる展開にしました。
それにより最低3エピソード必要になり、図書館の話はクリフォトが大きく関わりそこまで日にちをあけたくなかったのと、あくまでマルチスキンの紹介回のためクリフォトの前に出したらクリフォトのインパクトで影が薄くなる
など色々な理由がありまして話を後ろに回しました、一応太一くんを無理矢理出すことも考えたんですが、太一くんが出ると結構簡単に話が終わるので、後に回す事にしました。
少し話が長くなったので今回はここまでにして次回に元々どう言う話だったのかを書こうと思います。