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第195話 罠に気づかない

 ムイナとブラザーが前も見えないほど粉が舞っているスーパーの真ん中で戦いを続けていた。


 ムイナは攻撃の方法を変えることなく袋を投げ飛ばし、ブラザーは袋を体内にのみ込み体積を増やしながら飛んでくる方向に攻撃する、しかしそこにはムイナはおらず再び別の所から袋が飛んでくる。


「同じ手ばかりだな、対策済みとか言っておきながら手段が馬鹿の一つ覚えだなぁ!!流石は凡人」


「なら手段を変えてみようかな、ほら今度は水だよ」


 そう言いながら水の入ったペットボトルを投げつける。


「馬鹿丸出しだな、重い袋を投げても意味がないなに、こんな軽い物でどうにかできると思ってんのかよぉ!!」


 何十本も投げつけられるペットボトルを飲み込みながら半径50m内の地面の泥を棘のように尖らせその棘をムイナは踏んでしまい足から血を流す。


「いっ…た!!」


「そこか」


 声を頼りに腕を泥にして伸ばし攻撃を仕掛ける、ムイナは腕が当たる寸前でジャンプして回避し、急結剤と書かれた缶を投げつける、缶はブラザーに激突するが特に効果なく泥の体に取り込まれる。


「チッ…だからよぉ、いい加減理解しろよ缶に入った水なら効くと思ってんのかよぉ」


「なら何が効くの、アイスバケツなら効く?」


「余裕のふりはよせぇ、もうてめぇの作戦は分かってんだよ」


「へーそんなんだ、参考までに聞いていい」


「時間稼いでピンクの凡人が本体を見つけまでの時間稼ぎだろ」


「・・・」


「図星かぁ、テメエらの一挙手一投足丸わかりなんだよ」


 そう言った瞬間パリンとガラスが割れる音が凪の悲鳴と共にスーパー中に響き渡り、天井のガラスから真っ逆さまに凪が落下し、その衝撃で周囲の粉末を吹き飛ばし、刺だらけの地面に激突する。


「ぐっ!!」


「これでよく見える」


「私もだよデイマン」


「貴様らが本体を探すのは分かっていた、だから予め偽物を置いておいた、しかしここまで上手くいくとは思わなかったぞ、流石は凡人」

 

「ねえ大丈夫手かすよ」


 ムイナは刺を踏まないように歩きながら凪に近づき手を掴むと引っ張り上げる。


「ごめんなさい、私・・」


「大丈夫作戦通りだから」


「え?作戦って本体を見つけることですよね」


「それ噓」


「え」


「は?噓」


「あれ私みたいな凡人の作戦なんて直ぐにわかるんじゃないの、それとも君もただの凡人」


「ふん、くだらん私相手にハッタリか」


「言ったでしょ出る場所と能力が分かってれば作戦なんて幾らでも立てれるって、それに私も芸術作品を作りたくなったんだ固まる男ってタイトルの」


 なんでこんなに自信満々なんだと凪は疑問に思いながらブラザーを見ていると体からはみ出している袋が見えた、ムイナが馬鹿みたいな量を投げ込んだ袋だが文字が書いており凪はその文字を見る。


「・・ち、超速攻・・インスタントモルタル・・」


「あれ?気づいた」


「おい・・待て・・ずっと投げてたのは」


「15分で固まるインスタントモルタルと固まるのを早くする急結剤、戦って地味に時間経ってるし…そろそろ固まるかな…」


 そう言いながら腕時計をつけてないのに腕を見はじめる。


「き、貴様ぁ…」


「……さあ、どう動くの天才さん、無様に逃げるなら逃がしてあげる」


「え?逃すんですか」


「それも作戦のうちかもね、どうする…大人しく捕まるか逃げるか…」


「ハハハ…馬鹿だな貴様は、そこのピンク頭に作戦を話していれば必死の作戦もバレずに完全に固まるまで待てたと言うのに…」


「あ、その…」


「所詮は凡人止まりだなぁ!!貴様の言う通り逃げてやるさ!!ハハハハ」


 そう言うとブラザーは巨大な泥の体と本体を分離させ、本体は笑いながら逃走を図る。


「に、逃がさ…」


 すぐさま追おうとした凪をムイナが軽く止める。


「なんで、止めないとまた」


「大丈夫だよ…これであいつの正体が確信できた」


「正体?」


 ムイナは無言で炎二と繋がってる警察無線を凪に手渡し、自身はその無線に入り炎二に話す。


「あ、しもしも警部犯人逃した」


【あんなに自信満々だったのにどう言うつもりだ】


「その…私のせいです」


「いや全然違うよ最初からそう言う作戦だったんだよ」


「モルタルで体を固めて逃すのが」


「今回の戦いは奴を捕まえる事が目的じゃないんだ、奴の正体を確かめるのが作戦なんだよ」


【正体だと、奴は瀬戸才木でそれ以上もそれ以下もない】


「いや、才木ではこんなことはできない、泥を操る能力で本人自体は泥になることはできない」


「だから遠隔で操作してるって話ですよね」


「一つ聞くけど…遠隔で操作してるならわざわざ自分の顔を泥で作る必要性ある?」


「た、確かに」


「つまりアレは自分の体を泥に変えてるご本人なんだよ」


【つまり能力の覚醒かなんかか】


「そう言うわけじゃない、あれは才木とは全くの別人なんだよ」


「……はい?」


「1から話すよ、まず…ブラザーは警官の配置に屋根に居た私達の位置まで把握していた、それに私がピンクちゃんに教えた作戦を把握していた」


【少しみようだな】


「でも…本人が言うみたいに私達の考えなんてすぐに分かるぐらい頭がいいんじゃないんですか」


「ならモルタルに気づかないわけがない」


「た、確かに?」


「つまりあいつは事前に作戦も配置も知ってたんだ、それなのにわざわざこのスーパーで暴れた、少し変じゃない」


【どこが変なんだ】


「目的と一致してない…」


「そうそう、奴の目的はあくまで芸術品を作ること、ヒーローに邪魔されるのが嫌な奴なら別の場所に変えればいい、それなのにしなかった、作品よりも私達の排除を優先した」


【邪魔者を先に潰したかっただけじゃないのか】


「そうかもしれないけど奴は最後に作品作りよりも逃げることを優先した、自分は最高の芸術家で事件現場に作品を必ず作るようなプライドの持ち主が作品を作らず逃げることに何の躊躇もなかった」


「逃げたとしても少しは迷ってもいいのに、その迷いがなく直ぐに逃走を考えた」


【それがなんだ、ただ逃げただけだろ】


「こうだとしたら納得できない、奴は作品を作ることなんてどうでもいい、本当の目的は才木の名誉を汚すことだとしたら」


「才木とは別の人が才木のフリをしているって事ですか」


【それは無理だ、過去の現場に残された指紋や血は間違いなく奴の者だ、別人の…わけが……】


 炎二は何かに気づいたように言葉を詰まらせる。


「炎二さん?」


【まさか…そんな…】


「今回はただの確認、直感が正しかったことの」

どうもそろそろストックが消えそうな作者です、そろそろストックを書かないとまずいのと特に書くネタがないので今回の後書きはここで終わります。

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