第191話 美術0
「む、ムイナさん」
お姫様抱っこで持ち上げられた凪は驚き目をぱちぱちさせていると傷つかないようにゆっくりと凪を降ろす。
出番少なかったから忘れてるかもしれないがムイナと呼ばれるこの人間は自警団として街の平和を守る活動しているが、そもそも自警団自体が違法でありムイナ本人も全国指名手配犯で警察やヒーローから追われてる立場の人間である。
物体を引き寄せたり引き寄せさせたりする能力を持っている。
「うん皆んなの指名手配ムイナだよ、君が来るとは思ってなかったから驚いたよ、泥団子ぐらいしか用意してないよ」
「それよりこれって…どう言う状況ですか、フェイスが暴れてるって聞いてきましたけど、3mぐらいの高さまで泥があるなんて」
「これはねブラザーフェイスって言う犯罪者のせいだよ」
「犯罪者ってテメェが言うかムイナぁ」
ベトベト と体の泥を落としながら、泥だらけで汚らしい男が2人の前に現れる。
「ようぉピンク頭の魔法少女、警察どころかテメェも釣れるとは思わなかったぜぇ…テメェも俺の芸術作品にしてやるよ」
「……え?あれが…フェイス」
「そうそうブラザーフェイスって言う泥を操る能力者」
「………待ってください、それじゃ…えーっと…つまりフェイスって言うダサい名前の犯罪者が2人もいるんですか」
「おいテメェこら何がダセェだコラァ」
「だって顔だよ、ラヴァ…ナナャャ…ナスに……なんとかフェイスですらダサいのに、兄弟顔ってなにコードネームにしてもダサいよ」
「そうだよね、泥田坊とかデイマンとか他にいいのあったよね」
「所詮は凡人だな、この芸術性が理解できぬとはな、と言うよりマジカルピンクに言われたくはないな」
「私がつけたんじゃないもんそれ」
「だとしてもセンスのかけらもない、そんな貴様らを俺が美術品に変えてやるよ」
ブラザーはそう言いながら周囲の泥を吸収して筋肉質な自身の肉体を作り出し、肩に泥で作ったランチャーを乗せ、両腕を圧縮した泥で作り出した剣に変え2人に遅いかかる。
「ねえセンスないって私は違うよね」
「PC腕につけてる馬鹿がセンスを語るでない!!」
腕の剣でムイナに切り掛かるがそれを容易く回避すると軽くジャンプして頭に回し蹴りをくらわせる、しかし足が顔に当たる瞬間にブラザーの顔が泥になり足が通りすり抜けた。
「おっと」
わかりやすく驚いているとブラザーの腹から泥でできた腕が伸びムイナの足を掴むと投げつけ木に衝突する。
「ぐべ」
「ふははは、ざまぁないな」
「きてスペルコード」
凪はストラップサイズの剣を元のサイズに戻すとブラザーの腕に斬りかかると剣は泥でできた腕を軽く切り落とし地面に切断された腕がポタリと落ちる。
「……え、きれた」
「切っといてそれ言うかテメェコラァ!!」
ブラザーはすぐさま腕を再生させると再生させた腕を振い凪を吹き飛ばし、肩の砲台から泥の弾丸を放つ。
「ぐっ…」
泥が命中し凪の全身に纏わりつき泥が口を覆い被され、泥でできた無数の手が凪の体をがっしりと掴み体を動かさない。
「う!!………うううう」
「ハハハ、そのまま泥人形にして…」
「ねえそこの三流芸術家さん」
「アァン!!!」
ムイナの挑発に乗るように振り返ると高速で投げ飛ばされたマンホールの蓋が上半身と下半身を切断し、上半身が地面に落ち、ムイナは能力でその上半身を手元に引き寄せマンホールに上半身を投げ捨てる。
「うわぁぁぁぁ!!!」
「おっとテケテケみたいになっちゃった、名前もテケテケブラザーに変えたら子供から人気が…」
残された下半身が泥でできた足を振るうと足が伸び、ムイナに襲いかかるが地面を蹴って高く飛び攻撃を回避する。
「おっとびっくりした、それ前見えてるそれとも感で攻撃してるのかな、まぁ感だよね見えてたらこの攻撃はかわせるもんね」
そう言いながらブラザーの背後に突き刺さったマンホールの蓋を引き寄せ、蓋の前で突っ立っているブラザーを左右真っ二つに切断する。
ブラザーの体が形を維持できず泥に変わり地面に崩れる、その間に凪の元に向かうとへばりついていた泥を引き剥がす。
「はぁ、はぁ、はぁ…し、死ぬかと思った」
「あまり言いたくないけど金色の剣使えば良かったんじゃない」
「その……あまり使いたくなくて、今の私に使う資格なんてないから」
「なんか…悩み事?」
「悩み事などただの凡人であることの証明だな」
マンホールの穴から声が響き、噴火するように穴から泥が溢れ出す。
「え?ごめん声が響いてるせいで何も聞き取れなかった、もう一回言って」
「ただの凡人の小娘ごときがこの私の芸術を否定するなどおこがましいぞ」
溢れ出した泥が人の形を形成し、ブラザーを作り出す。
「そんなこと言ってた?ねえ絶対に言ってないよね」
「人の言葉を一回で聞き取れぬ愚か者にわざわざ同じことを言う必要性などねぇ」
「にしても君は不死身か何か?かなり念入りにバラバラにしたのに無傷だけど…もしかして本体が別の場所にいたりして」
「わざわざ能力のタネを明かすと思うか」
「貴様らに俺は攻略不可能よ」
「えーっと体が泥でできてて、泥を操作して無限に生み出せると…確かに攻略不能だねうん、帰ろっか」
「帰れ帰れ芸術の理解できない凡人に芸術を語る資格などない」
「肉体が破壊できないなら…来てワンデイ」
凪はピンクの弓を元のサイズに戻すブラザーに向けて糸を引く。ワンデイは物理的な破壊もそうだが、魂の直接的な攻撃を可能にする魔法の弓である、これならブラザーがどうな能力を持っていようが攻撃が可能である。
「…な、なんだその芸術的な弓は」
「え?うそ、これが芸術的?ニチアサでよく見る弓じゃん」
ワンデイの力を最大限まで貯めブラザーを狙うが糸を引く手が震え、糸を離す直前に目をつぶってしまい放たれた矢がブラザーから外れ木に命中してしまう。
「よっしゃぁぁ…あれ?外れた」
「そんな…」
「……一瞬躊躇ったな小娘」
「ま、まだ…」
「そうだよ、頑張れ頑張れ一回外れたからってなんだもう一回やれば」
「やめとけ」
体を震わせながら再度糸を引こうとしたがブラザーは十字架を指差す。
どうも後書きのネタが本当にない作者です、今回のメイン敵となるブラザーフェイスさんですが、既にフェイスと言うキャラクターが出てるのになんで同じ単語のフェイスを持つキャラクターを出したのかと言うと…偶然です。
キャラクター設定とシナリオを考えてそれに合うブラザーフェイスと言う名前を付けたんですが、フェイスさんの事を思いっきり忘れていたんですね、名前が一致したのは本当に偶然で同じなのには特に理由はないです。
強いて言うならネーミングセンスが全く変わってないと言う事ですね。