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第190話 価値観

「自分で考えないといけないのは分かってます、だけど誰かの意見を取り入れないと分かるようにならないんじゃないかって思ったんです、だから警察官の炎二さんに話を聞きたくて」


「子供が考えるには難しい話だな」


 そう言うと胸ポケットからドクターベイプを取出し口に咥え煙を吸い、フェンスに背中を預けると空を見上げる。


「2人だけではなく、今まで戦ってきた人にも何かしら理由があって行動していて、それを何も知らない私が倒していいのかなって、知ってても私に倒す資格はあるのかなって」


「警官として言うなら彩芽は無実で子供は有罪だ、今奴らがしてることは正当防衛じゃない、それに復讐はどんなものでも有罪だし、他の件もそうだどんな過去があろうがなかろうが罪は罪だ」


「本当にそれで正しいんですか、悲しんでいる人を悪と決めつけ、その思いを踏み躙る、悲しんでいる人を助けるのが正義の味方なんじゃないんですか」


「悪いが警察は正義の味方じゃない」


「え?」


「・・俺も正義の名の下に法を執行するそれが警察だと子供の時は思ってたよ」


「違うんですか」


「今から言うのは俺一個人の意見だ、あまり真に受けるなよ、警察が捕まえた犯人を裁く裁判は正義じゃない、だからその下の警察にも正義はない」


「よくわからないです、なんで裁判に正義はないんですか」


「あくまで裁判は事実を判断する場であって正義か悪かを判別するものじゃない、よくニュースで流れるだろ明らかに犯罪者な人間が無罪だったり、そこまで悪いことしてない人間が有罪だったり

それが起きるのは裁判所が善悪を決める場所じゃなく、した事の事実を確認しているだけだからだ」


 そう言いながら口に咥えたドクダーベイプから口を離し一呼吸おいてから咥えて煙を吸う。


「どれだけ警察が捕まえても最終的なものは事実の判断であり善悪じゃない、だから警察にも正義も悪もないあくまで警察は拘束するだけだ」


「それなら法律はどうなんですか」


「法律はあくまで分かりやすい基準のようなものだ、明確な基準が無ければ誰も動けない、確かにそれを破れば悪と言うのは分かりやすいかもだが、俺は法律をただの基準であって善も悪もないと思っている」


「なら正義ってなんですか」


「俺もそうやって君のように考えることがある、ムイナのような法を無視して犯罪者を止める自警団を呼ばれる集団、彼らは法を無視しているがやっていることは正しいことだ、だか警察は彼らを捕まえないといけない、それが仕事で善悪もない」


「つまり警察には善も悪もなくて、あくまで分かりやすい基準を元に動いてるだけってことですか」


「俺はそう考えている」


「そう……ですか」


「だからこそ君はとても難しい立場に居る、分かりやすい基準がなく自分自身で善と悪を判別する、尖った思考の持ち主なら善と悪の判別は簡単だが、そうじゃないのには難しい話だ」


「やっぱり私には分からないです、何が正しくて何が悪いのか、加害者が加害者になるには理由がある、苦しみがあるんです、その苦しみを否定する事が…正しいのか」


「少し忘れてないか、加害者の前に被害者がいることを」


「それは……そうですけど私は人を助けるために魔法少女になりました、自分の手が届く人に手を伸ばしたい、もしその手が敵にも伸ばせるなら私は伸ばしたい、でも本当にそれが正しいのか、手を差し出さず見捨てるのが正しいのか・・」


「正義には明確な形はないそれぞれ個人によって形は違う、俺の正義と君の正義は大きく違う、正義を決めるのは完璧超人でも神でもなく、不完全で愚かな人類だ、正義の神はこの世に居ない」


「完璧な正義はないって事ですか」


「ああ、存在しない正義も悪も所詮はただの個人の価値観にすぎない、まぁ…これは君が求めている答えとは違うだろうな」


「はい」


「すまないな、頼ってくれてのに、俺では君の疑問を解消できなさそうだ」


「大丈夫です、自分が考えるって決めましたから」


「そうか」


 ブーブー と炎二の胸ポケットにあるスマホが震え、ドクターベイプをポケットにしまうとスマホを取り出し着信を確認すると表情を変え目を大きく開ける。


「・・すまない、そろそろ行く」


「大丈夫です私こそ時間取らせてしまって」


 炎二は誰かに連絡をかけスマホを耳に近づけ、凪は警察の話だろうし、聴いたらまずいかなと思い移動しようと足を動かそうとした…しかし…


「フェイスが出たか」


「……ん?」


 あまり関わりたくないど変態の名前が聞こえ、おもわず足を止め思わず聞き耳を立てる。


「民間人を泥だらけに…」


「(私達に飽き足らずついには民間人にまで手を出し始めたか)」


「場所は……光が丘か」


「(あの人女子校で何してんだ)」


「今すぐ向かう」


 そう言いながら扉を開けて駆け足で階段を駆け降りる。


 さっきまで自分が正しいのかどうかの話をしていたが、フェイスに関しては話が別だ、民間人まで服を溶かすスライムとか触手プレイとかし出したらまずい、今すぐ止めないと社会的に人が死んでしまう。


「ま、まずい、早くあの変態を止めないと……今から向かって…20分か……あ、いや別にこれあるからいいか」


 そう言いながらポケットからマジカルリングを取り出し指にはめる、マジカルダイナマイトを使うだけの道具とかしていたが本来は複数の魔術や魔法を使用できる便利アイテムである。


 逆に何でこのアイテムで自爆技しか使わないのかとても理解に苦しむ。


「えーっと…テレポート」


 指輪に向かってそう語りかけると指輪から魔法陣が浮かび上がり、テレポートが発動し凪を遥か上空の離れた空間に転送する。


「え?」


 アニメみたいに足をぶんぶん動かす暇もなく凪は遥か上空から落下する。


「うわァァァァァアア!!!!!!!!!無理無理、高いとこは本当にマジで!!アアアア!!」


 嫌いな上空から落下しながら街を見る。


「な、に…あれ」


 近くにある学校の一階を埋め尽くすほどの泥が道路一面に広がっており、道路の中心には5mほどの十字架が立てられ、その十字架を中心に泥に囚われた市民が一箇所に拘束されていた。


「あれって……」


 高所恐怖症の凪は恐怖で目を細めながら泥だらけの街を見ていると凪めかけて泥が飛んできた。


「まずっ」


 泥を避けようと体を動かそうとしたが間に合わず泥が激突する瞬間、何者かが凪の体を掴み泥をかわす。


 凪の脳の処理が追いつかないまま何者は持ち方をお姫様抱っこに切り替えると泥がそこまでない道路に着地する。


「う…な……なに」


「ねえねえ、空から落ちてきた君はシータ?それともイカロスかな、教会の近くだしイカロスって事にしとくミスマジカルピンクちゃん」


 ちょっとした事で泣き出しそうな凪は目を開けるとそこには黒いヘルメットに黒のゴムスーツを着て、腕にPCのような機械を装着する指名手配犯で自警団のムイナがそこに居た。

どうもデュエプレにブラックモナーク参戦が決定して滅茶苦茶嬉しい作者です、僕がデュエマに興味を持つきっかけの一つでもあるカードなのでデュエプレに参戦したのはものすごく嬉しいです。


さて、今回は久しぶりにムイナさんが登場しましたね、ムイナさんはこの作品を作るきっかけの一つでもあります。


元々ムイナさんが主人公の話を書いてましたが、話の中で登場する魔法少女を主役にした方が面白いのではないかと考え魔法少女を主軸に変えました。


あまり出番は多くないですけどかなり重要な人なんですよね。

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