第189話 変革の準備
クリフォトの戦いから1週間が経過した、戦場と化した栄と大須は全面的に封鎖され、スカルが開けた穴により付近の地下鉄も崩壊。
さらにクリフォトが作り出した正体不明の怪物が街中のありとあらゆる鏡から現れ現在判明しているだけでも1万人以上の死亡者が出ている。
この件に関して、復興の監督指示を担当しているアント・ヘンリーが大量のマスコミを前に現れ記者会見を開いていた。
「………現在栄を中心として被害が確認されています、特に被害が酷いのは栄と大須、名古屋城はヒーローイベントの会場だったためそこまでの被害はなく、金山熱田も被害はなく……」
ヘンリーが事件の被害を淡々と話す中マスコミの1人が声を上げる。
「復興にはどれほど時間がかかるのでしょうか」
その声をかわきりに他のマスコミも声を上げ、一瞬にして老人の1人語りが騒がしいものへと変わる、そんな中でもヘンリーは顔色を変える事なく落ち着いて淡々と語る。
「復興の目処は経っておりません、真犯人に関しては既に我々が拘束済みですが身元の公開に関してはできかねます」
「できないってどう言う事だよ」
「魔法少女がいなければもっと悲惨なことになってたと言う意見もありますがそこに関してどう考えてますか」
「資格も実績も足りてない少女達に負けてるプロヒーローと言う意見もありますが…」
「ヒーローはだらけてたんじゃないのか、この件をどう・・」
「待て待て待て、今言った記者はどこの誰だ、引っ張り出せ」
ヘンリーはマイクを強く握りしめ、落ち着いた口調ながらもどこか怒りを感じ取れる声に記者が静かになり、警備員が少し戸惑いながらも数名の記者に近づく。
「彼女達の働きには頭が上がらないよ、だがそれ以外の人間がだらけていたわけでも実力がなかったわけじゃない
全員がやれることをやった、確かに死亡者は多いし現場は酷いもので勝利とは言えないが、誰1人ふざけてた者はいない」
警備員が記者を捕え出口まで連れ出す、ヘンリーは1度深呼吸をし机に置かれた水に手をかけると1人の記者が声を上げる。
「フリーサイズマンを引退されると会社のホームページで公表されてましたが、引退は本当のことなのでしょうか」
「事実です」
「引退の理由などは書かれていませんでしたが、一部では責任逃れと言う意見もありますがどの様にお考えでしょうか」
「・・もう私は79歳だ今回の戦いで肋骨が折れたし肺には穴が開いた、それでもヒーローとして活動はできなくはないが、私の偽物が町で暴れ子供の目の前で天使を握り潰しその死骸を投げつけた、あの少女は酷いトラウマを追っただろうね
私が作った希望を与えるフリーサイズを言うヒーローが市民に絶望と恐怖を与えた、今回の事件で私は死ななかったがフリーサイズのヒーロー像は完全に死んだ、まだ活動したい気持ちはあるがもう無理だと判断した」
「名前を変えて活動するつもりなどは・」
「いや、もう私はヒーローして活動する気はないよ」
「つまりヒーローからは完全に引退し、今後は復興に力を入れると言うことでしょうか」
「そうさ、私は今後の人生を復興に捧げることになる、あくまでこの引退は責任から逃げてるわけではないんだ、私が生きている間には必ず復興させることを確約する」
テレビとネットで同時放送されてる記者会見はネットでは少し荒れており批判的なコメントが流れるなかスマホでこの光景を見ていた凪はスマホを閉じ警察官の屋上でため息をこぼす。
「・・・」
ピンク色の魔法少女の服が風に揺れ、39度を超える真夏の外で汗を流しながら、フェンスに体を押し付けながらただひたすらボーっと街を眺める。
屋上の扉が開き、穂乃花の父で警察官である四宮炎二が屋上に現れ凪の隣に立つ。
「・・3週間ぶりに君とあったが、まるで別人とあってるみたいだ」
「そう・・ですか、私は何だか7カ月ぶりに会う気がしますよ」
「君だけ時間が何倍にも遅く流れてるのか」
そんなことを言いながら持ってきたジュースを渡すが凪は蓋を開けることはなく無理に作ったような表情を浮かべる。
「ここは立ち入り禁止で滅多に人は来ない、話したいことがあるなら何でも言え俺は誰にも話さない、だが・・1つ聞かせてくれ、俺じゃなくても穂乃花や真琴でも良かったんじゃないのか」
「なんだか話しづらくて、その穂乃果ちゃんは…その…」
「頼りにならないか」
「いや、まぁ…はい」
「真琴は逆に頼りになりすぎるのか」
「その……あまり言いづらいんですけど真琴さんは自分の行動や思想は完璧だと思ってるきがして」
「言えてるな、それで何を話したいんだ」
ジュースを強く握りながら下を向き語り始める。
「真琴さんから彩芽さんのことどれだけ聞いてます」
「真琴が知ってることは全部聞いた、MSC所属の魔術師で連続図書館襲撃犯の犯人と暮らしてるらしいな」
「お子さんのことは聞いてますか」
「真琴の助手のことか、かなり特殊な関係だったな、後天的に遺伝子を結合したとかで」
「あ、そっちじゃなくて彩芽さん本人がお腹を痛めて産んだお子さんのことです」
「初耳だな、実の子供に関しては何も聞いてない」
「研究の一環で産んだみたいなんです、それで・・組織の人がその子供は失敗作として処分しようとして…」
「あの組織がやりそうな事だ、それがどうした」
「その子供は処分される前に逃げたみたいなんです、その子供が・・クローシアとサイキックスみたいなんですよ」
「・・・なるほど」
炎二は何かを察したのか下を向いた。
「それで彩芽さんを殺しに来て私が止めたんです、ただ・・それが本当に正しいことなのかわからなくて」
「君は犯罪者から命を守った、ただそれだけのことだ」
「でも、あの2人の怒りは当然のことで間違ってないんじゃないかって、同情の余地はあると思うんです」
「なくはないが、人を殺す事を許容するのかい」
「もちろん人を殺すのはよくないですよ、だけど殺されても仕方ないんじゃないかなって、そう思ったんです」
「人殺しはいけない事なのかと言う話になってくるな」
「自分で考えないといけないのは分かってます、だけど誰かの意見を取り入れないと分かるようにならないんじゃないかって思ったんです、だから警察官の炎二さんに話を聞きたくて」
どうも仕事が早く終わったのに全体会議でしかも会議が2時間もあって家に帰って来れたのが9時な作者です、ドチャクソに眠い。
さて、今回は眠いとのネタがないので後書きは特にないです、一応質問とかあれば気軽にバシバシ送ってください、まぁ…送ってくれるほど見てる人はいなんですけどね。