第188話 消えない罪の償い方
「わかってます、待ってと言っても止まってと言っても意味がないのは分かります、だからその恨みも殺意も全て私にぶつけてください」
そう言いながら両腕を広げる、隙だらけで罠かと疑いたくなるような行動に疑問しか出ないクローシアは間抜けと思えるような声を出す。
「は?」
「同情なんてされたくないのは分かります、だけど・・私はあなたと戦うつもりはない、けど・あなたが彩芽さんを殺すのは見過ごせない、あなたと戦いたくなるようになるまで待ってくれなんて言いません」
「だから自分を殴れと、自分がサンドバッグになると」
「・・・はい」
「相当の馬鹿ね、そんな行為に意味があると思うの必死にひねり出した答えがそれなの、馬鹿じゃないの」
「・・・馬鹿ですよ、だけど私はこの道をどくつもりはありません」
「くだらない、そう言うところが気に食わないのよ、いい子ちゃんぶって反吐が出る、貴方はいい子ちゃんじゃなくて変わってる子だってこと理解した方が良いわよ」
「それは・・まあ分かってますよ」
「本当に?」
「ほ、本当ですよ、授業で死刑が賛成か反対かで話し合ったときに私だけ反対でした」
「【 それ だい じ ょ ぶなの】」
「そんなくだらないこと聞いてないのよ、戦いたくないならどきなさい」
「そんなに戦いたいなら殴ってボコボコにした方が良いですか、それであなたは止まるんですか、気持ちはおさまりますか、その恨みが膨れ上がるだけじゃないんですか」
こんなくだらないことが解決策だなんて思っていない、だけど今の凪に出せる答えはこれしかない、戦う意味もやる気も凪から出ることはない、美穂との戦いから何も変わってない、目の前の問題に正解も間違いも出せずただ空欄を残す。
そんな凪に苛立ちしか湧き起らないクローシアと凪は睨み合い、どうしようもない空気が流れる。
そんな中少し離れたところで眺めていた彩芽が恐るおそる忍び足で近づく。
「・・・・」
「・・・・」
「【・・・・】」
「・・・・」
「・・・・」
「遅いのよ忍び足で来て!?くるなら早く来なさいよ!!」
忍び足で近づこうとしていた彩芽はクローシアの怒鳴り声に体を大きく跳ね上がらせ動きを止める。
「なに・・私をおちょくってる、今にでも殺してほしいの」
「そんなんじゃないわ、ただ私は・・」
「同年代の子供を戦わせて帰る臆病者になりたくなかったかしら、死ねばいいのに」
「分かってる、私は自分の罪を否定する気も逃げるつもりもないわ、貴方に殺されても文句は言えないと思ってる」
「なら殺されてくれる」
「気持ちは痛いほど分かる、でも悪いけど死にたくないの、まだやるべきことが残ってる」
「っち」
「【 ●●●●●●●● 】」
「やめなさい、そんな言葉脳内に直接送らないで」
「貴方の言う通り最低な人間だけど一言言わせて」
「やめて何も聞きたくない」
「言わせて」
「やめて」
「私の言葉に・」
「(普通に無視した)」
「聞こえなかったやめなさい」
「貴方に言ったこと全部、命が惜しくてでた嘘でも何でもない、私の言葉に嘘偽りない全て本心よ」
「あっそそれが?なに?諦めろって、研究所で体のあちこちを改造されたりして殺されかけたことを忘れて水に流せと、もしかしてこの顔は整形か何かで治せばいいとお思いで」
「彩芽さんはそんなこと一言も・・」
「黙ってて」
「私の命は与えられない、だけどそれ以外の償いがあるなら私は全てを与える・・・常識的な範疇で」
「最後のいります」
「公開で場で全裸になれとか言われそうだからつい」
「私を何だと思ってるの」
「まぁ…隣の人を見れば……」
「私の趣味じゃないから」
「貴方達に酷くつらい道を歩かせたのは私の判断ミスのせい、今貴方達が抱いている憎しみも苦痛も私がちゃんと貴方達を見ていれば抱くことも苦しむことも無かった、今頃遅いけど言わせて」
そう言いながら彩芽は深々と頭を下げる。
「ごめんなさい」
「なによ・・今さら」
「クロー・・」
「黙ってピンク頭」
「はい」
「言っておくけどどんな謝罪も償いも私は受け入れない、貴方を殺してようやく私の人生は始まるの」
「それだけが人生の始め方じゃないと思います」
「黙ってて二度とその口開けないで」
所構わず殺気を振り撒くクローシアとは違い、意外に冷静なサイキックスはゆっくりとクローシアに近づき肩を叩く。
「【 そろそ ろ じ かん よ】」
「時間?」
「【どう す る】」
「どうするもないわ…殺そうとしてもそこのピンク頭が邪魔するんでしょ、今日は何もできないわ」
「【そ う ね】」
そう脳内に語りかけながらサイキックスは能力で次元の壁を開き、背後に拠点に戻るゲートを作り出す、クローシアは眠そうに瞼をパチパチさせながら彩芽を指さす。
「私は貴方を殺す、けして許すことはない」
そう言い残すとゲートの中へと姿を消した。
「・・帰った」
「おやすみの時間だからでしょうね」
「え?まだ5時ですよ」
「近親相姦で産まれたのと実験のせいでいろんな睡眠障害を抱えてるの、一日の半分は寝ないといけない、そんな体で産まれたのは私のせいだけど・」
「その・・何だか段々クローシアを悪く言えないようになってません」
「そうよ、所でどうして私を助けたの、助けるなって言うわけじゃないけど、私は見捨てられてもおかしくない事をした、それでも助けるのは魔法少女だから、それとも私が死ねはクリフォトが暴れると思ったから」
「私も・具体的には答えれません、ただ・・1つ言えるのはクローシアのためです」
「あの子の」
「クリフォトの戦いのとき彩芽さんは2人に捕まってたって聞きました、魔法も使えない助けも来ない殺すには絶好のチャンスです、だけど殺さなかった
今回も殺そうと思えば殺せるチャンスはいくらでもありました、実際さっきも私を5秒は拘束できたし、1人は私の相手をさせれば彩芽さんを殺しに行けました、だけどやらなかった」
「本当は殺したくないって思ったのね」
「本人は否定してましたけどあまりにも殺す機会を逃してる、ポンコツだとしても自分が殺そうとしている相手を前に何度も機会を逃さないと思いません、だから私はあの人の為にも殺させるべきじゃないって思ったんです」
「かなり具体的に言うのね」
「え、あ・・確かに、で、でも自分でもよくわからないんです、これが正しいことなのか、さっきのも私の希望的観測に過ぎなくて本当はお門違いなんじゃないかって、ただきれいごと並べて生半可な同情をしているだけなんじゃないかって」
「それは・」
「何も言わなくていいです、きっとこの答えは誰かに答えさせるものでも、大人に答えを聞くものでもない、自分が答えを出さないといけないんです」
「・・・そう、なら何も言わないし言う資格も私にはないわね、こんな時間だし帰りましょう」
そう言いながら車のキーを取出しロックを解除しドアを開けたところで凪が口を開く。
「あの聞いていいですか」
「なにを」
「あの2人のこと・本当に愛してますか、あの2人を愛せますか」
「その資格があるなら」
そう言うと車に乗り込み、凪も変身を解除して車に乗り込み家へと進む。
どうも今年中にデュエマのアイドルゼニスカードを全種集める目標を立てた作者です、ライオネルとラティオローゼスが好きすぎていつか買おうと思ってたんですが気づいたら発売から1年経っており、これ買わないと永遠に買わないなと思い買おうと決心しました。
まぁ…別に買わなくてもいいと言えばいいんですけど、仕事しても使う所がアメコミとデュエプレコラボガチャしかなく、貯金も200万貯まってるし買ってもいいかと思い買おうかと思ってます。
さて、今回でこの一連の話が終わります、正直に言ってクリフォトの後に書いたからか書いてる時かなり苦しかったです、もしかすると読者の皆様も同じかもしれませんね。
ただ必要ない話でもなく、この話はいずれは書かないといけなかったことを考えると今の段階で書けて幸せと思うべきでしょうか。