第187話 薄っぺらい正義
クローシアの問いを誤魔化すような凪の叫びに稲妻が落ち、2人を縛っていた糸が燃やされ、煙の中からゴッドウォーズを握りしめる凪と頭から落下して地面に激突した彩芽が現れた。
「ガッ‥あ、頭が・・」
「そこまでです、これ以上はさせません」
「口論で負けそうだからって実力行使?流石は正義の味方様ね、私達はただの悪役で話す価値もないと」
「時にこぶしを時には花をです」
「【こ ぶ し じ ゃな く て 剣よね】」
「それより私達とやる気、貰い物の力でイキリ散らかしているクソガキが幹部である私に勝てるとでも」
「…………」
「【言葉 も で な いよ う ね】」
「……いや…幹部って…スカルとビームの2強でそれ以外は弱いんじゃ…」
「わかった、そこのクソの前にあなたを殺してあげる」
そう言い放った瞬間凪の足とが突然吹き飛ばされ、凪の体が宙に浮く。
「……え?」
驚くのも追いつかず、クローシアの手から放たれた糸が凪の胸元に引っ付き、クローシアはその糸を引っ張り凪を引き寄せ拳を握る。
猛スピードで引っ張られる凪に殴りかかるが凪はすぐさま足を再生させ拳が当たるよりも先にクローシアの顔面を蹴り、ひるんでいる隙に糸を切り離すと距離を置いて少し腰を落とし距離を測る。
「すううう・・はあああ・・よし」
「よくもやってくれ・」
凪は大きな呼吸を挟むとクローシアに向かって走り出す。
その凪に糸を放つがタイミングを見計らってジャンプし糸を回避しクローシアに向かって飛び掛かり、胸元にキックをくらわせクローシアを後方に吹き飛ばしす、がすぐさま後方に糸を張りプロレスのロープみたいにすると、ロープをバネにして凪に突撃する。
「そう来るなら」
凪も右腕を伸ばしカウンターラリアットの態勢に入る。そう来るのが読めていたのか速度を緩めて二の腕と首をつかみ、目にもとまらぬ速さで両足を肩の位置まで上げ凪の左腕の肩と脇を足で挟み、そのまま凪を押し倒す。
「え?」
「隙だらけよ」
そのまま凪の肘を太ももでがっしりと固定し、肘関節に対して本来曲がる方向とは逆方向に圧をかける、いわゆる飛びつき腕十字固めである。
腕を挟んでいる足の先を組み外れにくくし、組んだ足で凪の肩甲骨を自身の体に引き寄せ密着させ腕を深く固定し、両手で抱えていた凪の腕を左手で抱え、右手で凪の足を掴みに行き凪が起き上がるのを防ぐ。
「うっ・・こ、この・・」
完璧な形できまった飛びつき腕十字固めに逃げようともがくが、足を掴まれているため宇野逃げが出来ず、強く絞められている状態では逃げれない。
「い、いだダダダダダダ!!」
「どう?逃げれないでしょ、どの口が幹部は2人しか居ないって言ったのかしらね」
「い、言ってなDDDDDDDDDD!!!!」
剣はどうにかしようとするがサイキックスがエネルギーフィールドを作りその中に剣を閉じ込め拘束する。
「【ず る は よく な い わ ね】」
「これが貴方と私の覚悟の違いよ、薄っぺらい偽善に満ちた自己満足の覚悟なんかで私に勝てるとでも」
「ち、が・・」
「そんな薄っぺらい覚悟でよく私達を否定できたものね、貴方にわかる・・白衣着た大人たちに陰でこそこそ処分だなとか言われる気持ち、どれだけ時間が経っても忘れることなんてない、その全てを否定する覚悟も資格もないもない」
「・・ち・・・」
「こんな覚悟も信念も何もない貰い物の力でしか戦えない貴方に私が負けるわけがない」
「・・・・」
結局そうだ、凪は薄れゆく意識の中で思った、人を助けたい、力がない時から考えていた思いが力を手に入れて叶えられると思ってた、だけどそれは偽善に満ちた自己満足でしかない。
自分がやってきた事はそんな偽善だらけの綺麗事を並び立て主観で悪だと決めつけ殴ってるだけ、殴られている側のことを考えているようで考えてなかった、相手の人生も思いも何もかもを・薄っぺらい思いで否定する。
いつか出すべき答えからも逃げて、守れてた物だけを数えてそれ以外に目を向けない。
「私は・・ただ・」
凪はそう言いながら剣の力を解除し金の姿からピンクも姿に戻る。
ゴッドウォーズは莫大な力を与え服装だけではなく、肉体に変化を与える、あまり描写されることはないが身長と筋肉量も変化を与える。
それにより少し小さくなった事でクローシアの拘束が緩まり、凪は腕を抜き取りクローシアの拘束から抜け、そのまま立ち上がりクローシアに蹴りかかる。
「しまっ・・」
凪の足がクローシアの頭に当たる寸前、クローシアは目をつぶり怯えるような表情を浮かべ、その顔に思わず凪は当たる寸前で足を止める。
「・・うぅ・・・・」
クローシアは震える瞼を恐る恐る開ける。
「な、何してんの」
「いや・・これは・・その・・・」
「【 ど いて】」
気まずく見つめあってる凪に向かって魔法陣が描かれた光の槍が飛んで来る、凪は足を下げ槍をかわし2人から距離を離す。
「はあ、はあ、はあ」
「【息切 れ 激 し いけ ど ぶ じ】」
「ええ大丈夫よ、にしても少し大きくなったように見えたのは目の錯覚じゃなかったのね」
「【で どう する の 再び 剣 を 手に とる】」
サイキックスが作り出したフィールドを突き破り、剣は凪のもとにやって来る、自分を握れと言っているように金色に発光する剣に手を伸ばそうとしたが手に取る寸前にその手を止め、少し考えたあと手を元の位置に戻す。
「なに?」
「・・いや、ごめん今日は私だけにやらせて」
凪の気持ちにこたえるように剣は空に向かって飛んでいき姿を消した。
「なんのつもり、私達なんて剣が無くても勝てるって挑発」
「貴方の言う通りだからです」
「なにが」
「私はこんな貰い物の力でしか戦えないし、全てにおいて薄ぺっらい、だから貴方達とどう向き合えばいいのか、どう接すればいいのかわからない」
「【同 情 の つ もり】」
「はい、全てにおいて薄ぺっらいから貴方達を倒すのも殴る事もやりたくない」
「戦う気がないならそこをどきなさい」
「嫌です、確かに彩芽さんが悪いです、親と言う責任から逃げ貴方達を捨てた、そのせいで貴方達は殺されかけた、その恨みは分かります私が想像も出来ない苦しみなんでしょう、だけど・彩芽さんの命を奪うのは違う」
「どうしろと・・私達に」
歪んが顔から放たれる殺気は人すら殺せそうなものだった、そんな鋭く禍々しい殺気を前に凪は表情を変えることもなく思いを口にする。
「貴方は死刑反対派かしら、目の前にいる犯罪者3人に罪ではなく慈愛を与えてるつもり」
「貴方達に刑務所に居てほしくも、人も殺して欲しくない、それが私と・・彩芽さんの思いです」
「今頃手遅れよ、私がどれだけ人を殺したと、私の手は血で汚れてる・・そんなことをしたのはあのクソを殺すためよ、どうでもいいのよ貴方達の思いだなんてくだらない!!この怒りも恨みもそんな生半可な同情で・・・」
「わかってます、待ってと言っても止まってと言っても意味がないのは分かります、だからその恨みも殺意も全て私にぶつけてください」
そう言いながら両腕を広げる。
どうも三角絞めの文章を書いてたけどフェイスが使ってたことを思い出して急いで腕十字に変えた作者です、動画を細かく見てながら書いたんですが一度誰かに喰らわせてからの方がもう少し上手に書けたかもしれませんね。
さて、今回はクローシアさんの話を細かく書こうかと思います、元々幹部はドロップスとフェイスしか居ませんでしたがシナリオを考えていくともう少し必要だと考え数を増やしました。
で、クローシアさんは私が大好きな【魔法少女にあこがて】と言う作品を元にしていて、その主人公であるうてなと真反対なキャラクターとして作りました。
普通?の女の子から総帥になるとは逆に、幹部から普通の女の子になる話だったり、かなり露出度が高くむちむちしているのとは逆に一切露出がなくすらっとしていたりで様々な要素を逆にしたキャラクターになってます。
能力が糸なのはうてな様が糸を多用する所と、私が投稿する予定の作品でダルベーニャと言う糸を使用するキャラクターがおり、そのキャラとの関係性を匂わせる要素としての能力を糸にしました。
顔が醜いという設定はダルベーニャがスパイダーマンを元にしていて、スパイダーマンのクローンのケインを元ネタに取り入れているからです、少し精神が不安定と言うのもケインから来てますね。