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第186話 私達の幸福

「しょ・処分って彩芽さん」


 凪は彩芽と目を合わせようとしたが彩芽は目を合わせない。


「生物として欠点だらけのこの子と実験の失敗作の私、表には出せず何の役にもたたない、だから組織は隠蔽のためにそれを処分しようとした」


「違うわ、それは・・・」


「何が違うのよ、私達を組織に丸投げして組織が勝手に処分しようとした、だから私は関係ないと」


「そ、それは・・」


「【だか  ら 私 は  助 けを  呼 んだ  魔 力  を 解  放 し  て】」


「その助けに答えたのがスカルだった、スカルは私達に自由と居場所をくれた、貴方が与えようともしなかった愛情も何もかもを」


「私は・」


「言い訳なんてしないでくれる、しても聞くつもりないから」


 そう言うと拳を強く握りしめる、包帯が巻かれたその拳には血が滲み地面へと滴り落ちる、その拳は小刻みに震え怒りが篭っているのが見て分かる。


「他の子みたいに普通に産まれたかった、普通に暮らしたかった、子供らしい夢を見ることも幸せになる権利も全て生まれた時からなかったのよ」


「・・・」


 彩芽は何も答えない、言えないのか言わないだけなのか凪には分からない。


 自業自得で同情するつもりはない、けどクローシアの言葉一つ一つに心を抉られるような苦しさを彩芽は感じているだろう、痛い所を突かれているからこそ何も言い返せないのだろうと凪は思った。


「【私  達 が 望 む のは  貴方 の  死】」


「例え世界が滅びようが死のうが私達は復讐する、生まれたと言う罪をくれた貴方に」


「そんなことはないわ、貴方達に罪は・」


「心にもないことを「貴方なんて産まなきゃ良かった」これが本心でしょ」


「違うわ、そんなことは・・」


「自分が捨てた子供に会いに行って罪が無くなったと思ってるの、真実を告げずに他人として接してそれで罪や責任から逃れられたと、笑わせないで貴方は自分の罪を恐れて直視しない、貴方はただのエゴの塊の罪人よ」


「・・・」


 クローシアの言葉に彩芽は無言で返す、しかし瞳には常にクローシアを映し目をそらさない、真っ直ぐクローシアを直視する。


「・彩芽さん・・」


「・・・・」


「逃げたくないんですよね、だから一般人の私じゃなくて魔法少女の私に話したんですよね、自分の罪と向き合うために、美穂さんの時とは違って逃げずに隠れずに真っ直ぐ見つめるために」


「もう何もかも遅いのよ、沼に肩までハマってから抜け出そうと考えても遅いのよ」


「遅いかもしれません、でも罪から背を向けて逃げるよりはましです、彩芽さんはどうしたいんですか、何をして何を償いたいんですか」


「私は」


「相談をするつもりじゃない懺悔のつもりだったんですよね、罪の告白をして悔い改めるために、だから私に話そうと思ったんですよね、だから子供達に会いに行った、ただのエゴで解決にはなってないけど自分なりに罪を償おうとした、この2人に対しても自分なりに罪を償おうとしている」


「どこがよ」


「彩芽さんならこの2人が近くにいることは分かってたハズです、分かってて捕まったその気になれば逃げれたハズです、それをしなかったのは2人に対して自分なりの罪の償いをしたかったから」


「黙りなさい!!罪の償いなんてこいつは・」


「彩芽さんはこの2人をどうしたいんですか、どう償いたいんですか」


 凪は彩芽の目を見る、その目は迷いわなく真っ直ぐ2人を見つめている。


「私はただ幸せでいてほしい、戦いとは無縁で自分の将来の事で悩んだり、恋したり旅したり…そんな人生を歩んで欲しい」


「…どの……」


 クローシアの拳が震え凪と彩芽の体に巻きついていた糸が突然動き出し、体全体を縛り上げる。


「うっ!!」


「どの口でほざいてるの貴方」


「…わ、私は…貴方……達を産んだからその後は組織に任せてた、私なんかが見るよりそっちの方が安全でより良い道だと思ったから、でも違った…」


「その結果が始末よ、どう言葉を変えようが口触りの良いことを言おうが、貴方は自分の子供を捨てたそのことは変わらない」


「分かってる・・だから自分の目で見るって決めたの、母親になる資格はない・・でも真っ直ぐ進めるように・さ・さえたいの、だから貴方達も・・」


「黙れ!!」


 彩芽の首に巻かれた糸が締まりその首を締め付ける。


「・・・え・い・・」


「黙れ、私の幸福はお前の死だ」


 彩芽の魔法があればこの状況をどうにでも出来るはずだ、だが彩芽はそれをしない、首を絞められながらも真っ直ぐ自分の子供を見つめる、自分の罪を認めそれから逃げずに向き合うために、これが彼女なりの罪の償いなのだろう。


「何よその目・・やめなさいよ、そんな下手な演技も下手な噓もいらない!!本当のことを言いなさいよ!!お前達なんて産まなきゃ良かった、お前らは失敗作だって!!」


「・・ち・・が・」


「違います!!」


 首を絞められ上手くしゃべれない彩芽の言葉を代弁するように凪が声を上げる。


「彩芽さんがそんなことを思ってないって本当は気づいてるんですよね」


「黙れ」


「本当に殺したいならなんでこんなに時間をかけているんですか、なんですぐに殺そうとしないんですか、本当は恨みたいけど母親を恨み切れないじゃないんですか」


「黙れ!!こいつはただの・・ただのクズだ」


「その方がうれしいんですよね、子供のことなんて興味もなくてただの失敗作としか見てない、そんな血も涙もない酷い人でいて欲しかったんですよね」


「カウンセラーごっこはやめて、何がわかるのよ私の・」


「自分も分かってないんじゃないんですか、だから殺す勇気が出てこない、自分が思ってたような最低で自分を見ようとせず、背を向けて逃げようとする人じゃなかった、だからどうしていいか分からない」


「お花畑で育った聖人気取りのクソガキが!!哀れみに満ちた顔で同情するんじゃない!!貴方は魔法少女だろなぜ罪人を庇う?」


「【 捕まっ  て ない か ら 罪人 じゃ ない 言う の?】」


「そんな事を言うつもりはありません、確かに…彩芽さんは…その……言葉を濁さないなら捕まってないだけの犯罪者です、一言で言ってクソです」


「………」


「…結構言うのね…」


「でも……その……え、えーっと…何もかも殺して解決する物じゃない、だから…その……」


「私に説教しておいて自分もわかってないじゃない、しょうもない偽善で否定しないでよ」


「私の言葉が安っぽくて覚悟がないのは…理解してます、だとしても目の前で人が死ぬのを黙って見てられません」


「【で だ か ら なに  どう するの】」


「…だから……そ、その……」


「その、なによ」


「き、来てゴッドウォーズ!!」

どうもデュエマの新弾どころか最新刊のアメコミすら売ってなくて若干気分が下がってる作者です、デュエマは仕方ないとは思ってましたが新刊が1冊もないのはかなりキツいです。


基本アメコミなんてどこのお店にもないですし、私が知っててある所は豊川か金山か名古屋なドーム前スーパーだけですからね、基本的に遠いし最新刊があるかどうかもわからない、どこもかしこも遠いし駐車料金バカみたいに高いし、もうネットで買うしかないですね。

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