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第185話 永遠に続く美しい鈴の歌

 逆さづりで縛られている凪と彩芽の前に、全身に包帯を纏うクローシアとほぼ何も着ず猿ぐつわと目隠しをつけるサイキックスが2人の前に立ち互い睨み合う。


 この2人は研究によって産まれた2人でその研究をした組織の復讐を目的に活動している2人だ、その組織が彩芽の組織だからこの場に現れたのだろう、このままでは彩芽の命が危ない、早いところ糸から抜け出して倒したいところだが凪は先程の発言が引っかかっていた。


 クローシアが彩芽をお母様と呼んだこと、ただの冗談なのか皮肉なのかそれとも本当なのか、そのことがずっと引っかかっていた。


「あ、あの……頭に血が昇るから逆さ吊りはやめてくれません」


「久しぶりねピンク頭、貴方はビーチで会ったこと覚えてるわよね」


「忘れませんよまだ1ヶ月も経ってないのに、と言うか逆さ吊りやめて」


「【 ふ つう は そうね】」


「全然話聞いてくれないこの人達、と言うより組織の復讐をしたのは分かりますけど、彩芽さんは組織を変えようとしてます・・たぶん」


「「なんで疑問形なのよ」」


「そんな彩芽さんを殺せば組織はまた酷い実験をやります、だから殺したら次の被害者が…」


「言っとくけど、こいつと組織うんぬんは関係ないのよ、組織が滅びようが非人道的な実験を続けようがどうでもいいのよ、これはただの私怨よ」


「私怨って、確かに組織は酷いですけど、良い人もい…」


「・やめて永歌えいか


「え?本名知ってるの彩芽さん」


「今頃その名前で呼ばないでくれる、それに懺悔の時間だって言ったでしょ、ねえお母様」


「……まさか…」


 この2人の何とも言えないギクシャクした雰囲気で凪はこの2人の関係が何となく理解でき、ただの考察が確信に変わった、この2人は親子だと


「子供って28人じゃあ」


「それは今日見に行った子供の数で正確な数は30人」


「待ってください、じゃあ残りの2人って」


「【 わ た し 達よ】」


「ふ、2人って姉妹だったんだ、恋人みたいにくっついてるから運命な意図的なもので繋がった2人だと思ってた」


「【お   もし ろい こと  い う わね 私達 は  恋人よ:】」


「え、えーーっとそれって近親相・」


「違うから、私達はそう言う関係じゃないし、今はそんな話をしに来たんじゃないの、あなたのせいで私達の人生は滅茶苦茶よ」


「あの・捨てられて恨むのは分かりますけど、でも彩芽さんは子供のことを大切に思ってます・・たぶん」


「「なんで疑問形なのよ」」


「今日だって子供達1人1人会いに行った、きっとあなた達のことも大切に・」


「大切?笑わせないでくれる」


「【はははははは】」


「貴方は笑わなくていいのよ、本当に大切に思っているなら私達を産むべきじゃなかった、私のこの顔は永遠に消えないんだから」


 そう言いながらクローシアは顔の包帯を外しその顔をあらわにする。


「うっ」


 その顔を見た凪は一瞬吐き気に襲われ何とも言えない表情を浮かべてる。


 クローシアの顔は・・・その・何と言えばいいか、第一印象を一言でいうなら人面カメムシを初めて見た時と同じ、嫌悪感と気持ち悪さが同時に襲ってくるようなそんな顔。


 とても女性の顔を見て言う感想じゃないなこれ。


 パーツ一つを取って見るなら可愛い顔だが全体を見るととても酷い。


 具体的に言うのであれば系統が違う美人女性を20人集めて、その20人から右目や左目や口とかのパーツを切り取って組み立てたような、そんな異質な顔をしている、右目は宝塚みたいで二重なのに、左目は蛇のように細く一重、右耳は小さいのに左耳は福耳だったりで顔のパーツ一つ一つがあっていない。


 もはやその顔の気持ち悪さは芸術の域に達している。


「酷い顔でしょ」


「作るのに失敗したMiiみたい」


「【失敗 して  も こう ならない わね】」


「言い過ぎよ私泣くわよ」


「ご、ごめんなさい」


「どれもこれもあんたのせいよ、精子バンクにあった木口 佐久間の精子を使って・・」


「え、まって、待ってください、佐久間さんって・・弟さんですよね」


「・・・・」


「あ、彩芽さん」


 縛られ宙吊りになりながらも必死に体を動かし彩芽の方を向くと、彩芽はすました顔をしながら汗を大量に流していた。


「そそそそそ、そんなことどどどど、どうでもいいじゃない」


「よくないよ!!え、待ってクローシアって弟さんとの近親相・」


「【そ こ まで よ】」


「そのせいで私は劣等遺伝を引き継ぎ、クローシス実験の被検体にされて遺伝子がより不安定になった、そのせいでどれだけ苦労したか」


「(ヤバイ、なんか言いたいけどヤバすぎて何も言えない、この糸も頑張れば引きちぎれるけど、その気が起きない)」


「・佐久間に関しては手違いよ、それに実験に関しても私には知らされなかった、魔力の適性があるからしばらく調べる必要があると言われて・・・」


「言い訳しないでくれる、私は偶然の産物かもしれないけどこの子は違うでしょ」


「【え え わ ざと よね】」


「まさか・・お父さんの」


「違うしもう死んでる」


「そうね、貴方の遺伝子を元に作った人工精子よね」


「・・・・はい?」


「と、当時クローン技術の一環で人工的に精子を作る実験があったの、その実験の一環で同一人物の子供はどうなるかって言う実験を・・」


「自分の精子で・・子供を・その・・えっと・倫理観はどこに」


「ないでしょ」


「【あ る わけ  な い でしょ】」


「この子はより劣等遺伝を引き継ぎ、しかも魔力の影響で人類に似た全く別の新種として生まれた、目は見えないし喋れないし歩けない、知能にも問題があり複数の障害を持ち、生殖機能もなく乳首も性器もない、魔力を持つ新種の生命体よ」


「・・・・・」


「【 わ  た しは  人として う まれ  な かった】」


「嬉しかったでしょうね、失敗ばかり重ねてようやく魔力を持ち、魔術を使う子供を産めたけど、生物として欠点ばかりの新種が産まれてさぞがっかりしたでしょうね」


「そんなことは・・」


「(いや絶対あるって)」


「ないって言いたいの、私達を処分しようとしたくせに」

どうもデジモン新作が物凄く楽しみな作者です、最初はそんなに期待してなかったんですよ、どうせ50体ぐらいのメジャーどころしか出ないんだろとか思ってたら400体出ると聞いて驚きました。

個人的に好きなミレニアムモンとシャウトモンの登場が確定してるみたいで、ミレニアムが来るということはキメラモンの登場が確定してるのが本当に嬉しいです。

400体だからいつもみたいな寿命型じゃなくてハカメモみたいに進化と退化を何度も繰り返す感じになりそうでハカメモが好きだったのでめちゃくちゃ楽しみです。


さて、今回はクローシアさんに関する話をして終わります、実は初登場時点ではサイキックスが彩芽さんの子供と言う設定はありましたがクローシアさんにはなかったです。


理由としてはこの2人は恋人のような関係性で描こうと思っており、同じ母親から産まれた子供が付き合うのは倫理的生物的にどうなんだと思い、子供と言う設定は流石にまずいかと思いましたが

 ……よくよく考えるとそっちの方が業が深いし、倫理を犯している禁忌的な雰囲気が出ると考え子供と言う設定を追加しました。


 別々の人間を恨んでいるより同じ人間を恨んでいる方が話としてわかりやすいですし、常識から外れてこその敵ですからね。

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