第175話 未来のために
ひと悶着あった彩芽と美穂の仲直りをクリフォトは反吐が出そうなほどつまらないものを見たかのように嫌な顔をする・・顔無いけどそんな感情を抱いているのはなんとなくわかる。
【なんの茶番だ、年増の仲直りなんて見せられた何が面白い】
私もそう思う。
「ほう~随分余裕だな」
【当たり前だ、我は不滅だ滅びることはない】
「とかゆうとりますけど 本当に不死身なのクラフト なんかライフ100あるとか ライフ使いきっても何だかんだで復活して森中で全裸になるとか そう言うやつなの」
[奴が不滅なのは本当さ、こいつの魂は強すぎる、そのせいで死神も地獄の閻魔でさえこいつの魂を回収できない、できなくても自然消滅するはずだが・・この次元と魂が結びついているせいで自然消滅もしない]
「つまり倒せないの」
[ああ、魂だけでもこいつは世界を創造した魔王の1人だ、誰も滅ぼせない]
「うぅ・・な、なら封印するまでよ、こんな魂だけなら簡易的なもので十分」
彩芽は涙を拭うと魔法陣を浮かべてクリフォトを封印しようとしたが凪が「ちょっと待って」と彩芽の前に立ちふさがる。
「あ、あの・・封印はやめませんか」
「話聞いてたかしら、こいつは倒せない封印するしか・・」
「そうじゃなくて、その・・封印が根本的な解決にはならないと思うんです」
「・・・何を・言っているの」
[悪いけど封印以外の選択肢は…]
「そうかも…でも、きっとクリフォトは封印してもいつかは封印を解きます、そうしたらまた美穂さんを狙います
そうじゃなくても私達が全員死んだ未来でも美穂さんの子孫を狙います、そうなったら結局意味はないです」
「確かに一理あるわね、だけどこいつは封印しないと」
そう言いながら魔術の準備をする彩芽の肩を美穂が叩き、彩芽を止める。
「な、なに…み、美穂」
「なんでそんなに震え声なのよ」
「止めないで美穂、こいつは封印しないとまた貴方が…」
「わかってる、けどこいつをここまで追い詰めたのはこの子たちよ、少しぐらい話を聞いてあげたら」
「……わ、わかったわ、話はだけは聞いてあげる」
彩芽は魔法陣を解除するとゆっくりと少しの段差に座り込む。
「ありがとうございます美穂さん」
「いいのよこれぐらい、でどうしたいの」
「…元をたどればクリフォトの次元を滅茶苦茶にした挙句、体をバラバラにして何億人の人間を殺した」
〔ひどいはなしだね〕
「けどけど だからって今の人類を滅ぶすのはどうよ と言うかなんで大昔の赤の他人の罪で殺されないといけないの」
「ランドくんの意見に賛成だな、信長だって今の時代に蘇っても明智の子孫を殺そうとしない」
【なら貴様は今の世界が滅びても怒らずにいられるというのだな】
「そ それは・・」
「怒るかもだけど、全人類を滅ぼそうとは思わない」
[確かに君の動機はよくできている、だけどすべての人類に罪はない、この次元にごみを捨てた人間の中には知らない者もいたはずだ]
【だからなんだ、知らなかったから許せと、知らなければ何をしても許されると】
「やっぱりこいつはここで封印するしか・・」
「待ってください、確かにクリフォトは危険ですけど、そうしたのは私達ですだからその責任は果たさないと」
「・・・人類を・差し出す気・・・」
「あ 喋った」
[無理しない方が良い、回復魔法である程度は治したとはいえ、まだ全開じゃない]
「・・・魔法少女が人類を差し出すのを黙って見てろと・・・」
「そう言うわけじゃありません、ただ・・その互いに妥協して和解できないかなって」
【妥協だと】
「そうしないと永遠にお互いいがみ合って争い合ってキリがない、また誰かの体を乗っ取って誰かを不幸にする、だからここで止めないと」
「お姉さんの言う通りだよ、このままブレーキがないまま進ませても事故を起こすだけだ、ここでブレーキを踏ませて止まらせないと」
【・・・よくできた福製品どもだ、似たことを言う】
「ごめん 今の発言の意味わかった人いる? 私わかんないんだけど」
【言っとくが我は妥協なぞせぬぞ】
「こいつ ナチュラルにスルーした」
「だからって封印がとけるまで待つんですか、何年?何十年?何百年?このゴミだらけの次元で1人ぼっちで勝つまで待つんですか、勝ってその先に何があるんですか」
【我の復讐を軽々と否定するな】
「そう言うつもりじゃ」
「で、結局何が言いたいの貴方の言う妥協案はなに」
「ここのゴミを片付ける、そしてちゃんとしたお墓を作る、これが私達に出来る償いだと思うんです」
【笑わせるこれで償いになるのか】
「言っとくけどあんたが私の体を乗っ取って世界を滅ぼそうが、この次元はどうにもならないわよ、永遠にゴミで溢れたままで変わらない」
【黙れ心臓、それがどうした】
「いい加減その呼び方やめて、私は貴方の心臓じゃないの城戸美穂って言う1人の人間よ」
【興味もない】
「あっそ、なら分かりやすく2択にしようか、なん100年いや…下手したら1000年かかるかもしれないし、失敗する可能性がある人類絶滅を1人で成し遂げるか
それを諦めて、人類と協力してこのゴミを綺麗さっぱり無くすか、どっちがいいの」
【・・・】
「クリフォト、貴方が墓をはるか上空に上げたのは大切だからですよね、ならその人たちが死ぬまで生きたこの場所をこのままにしてていいんですか」
【したのは貴様らだがな】
「その・・ごめんなさい、上手く言葉がでなくて」
【・・・この次元のゴミを無くす、ただそれだけで我の怒りがおさまるとでも】
[それ以上僕達になにを望む気だ]
「もう一度僕達と戦うつもりなら、受けて立つ」
〔つぎはコテンパンにしてやる〕
【……我に勝つ気か、今回のように行くと思うか】
「それはこっちの言葉だよ、次までには僕達は格段に進化する、もしかしたらグランリューズすら超える力を手にしてる」
「坊やだけじゃない、ヒーローもスカルも徹底的に貴方を対策する、貴方が勝つ時は既に文明が滅んでる時かもよ」
【・・・・】
しばしの沈黙が続き、全員の視線が鳥籠に集まる。
【我が妥協するのであれば、我の贈り物である魔力とそれに関連する物体の排除、我のバラバラにされた他の体の部位全て、そして正しい歴史を伝えることただそれだけだ】
「え、えーっとそれは、どうですかクラフトさん彩芽さん」
[かなり無茶だ、そもそも僕みたいな別次元の魔力やスカルキングを殺せと言うのかい]
「・もう少し妥協してもらうなら私も手伝う」
【これ以上の妥協か】
「魔力の関連物の排除は物によっては危険だし、そもそも歴史的に貴重な物よ、破壊は無理だし破壊するとなれば私は死ななければならない」
【なら和解は無理だな】
「けど、貴方がそれを求めたのは人類が魔術を使用してゴミを捨てるからよね、なら特定の人間以外の魔力の使用を禁止して、関連物全ては保管するだけ誰も使用も実験もできないこれならいい」
【・・・自分は許してと言いたげだな】
「少なくとも魔力がなければここのゴミは片付かないし、貴方の体の部位を捜索できない、それに魔法少女達が活動できなくなる」
【・・まあいいだろう、それぐらいの妥協はしてやろう、で具体的な話を聞こうか】
どうもキャプテン・カーターの盾を飾ったらめちゃくちゃテンションが上がった作者です。
フィギュアとか玩具とかあまり買わないんですけど久しぶり買ってテンションが上がってます、ただ持ってるだけでも楽しい走り出して投げたいです、まぁ投げたら確実に壊れますけどね。
キャプテン・アメリカの盾も8000円だったのでついでに買ったんですが届くのが楽しみな一方、あんなデカい盾2つどこに飾るんだと悩んでいる所です。
さて盾で遊んでたいので今回は早めに終わらせるんですが、今回はクリフォトが妥協した本当の理由に関して書いて終わります。
これは書きたかったけど書いたら明らかに話が伸びて読んでる人が飽きると思い省略した部分になります。
今回の話でゴミの片付けで和解しようとしてクリフォトが妥協する流れでしたが、妥協したのはゴミが理由だけではありません。
前回話したようにクリフォトは崩壊した世界の住人で、崩壊世界は今の世界とそこまで変わらないです、神の山や7大魔王やクリフォトなど存在しなかったりしますが人物や大きな出来事は変わっていません。
そのため崩壊世界にも凪達魔法少女が居てクリフォトはその凪達と仲が良かったんですね、それで今回の話し合いで今の世界でも崩壊世界でも凪の本筋は変わらず、争いよりも平和に向かおうとしており
それを見て自分が知る凪のことを思い出し、妥協する気になったと言う設定があります。
【・・・よくできた福製品どもだ、似たことを言う】はそう言う意味です、ここら辺の話を書き始めたら5話ぐらいかかるのに崩壊世界の話はこれ以降出る予定が全くないため、書くのをやめました。
まあ…別に対して物語に絡む話でもないので、深掘りはこの作品ではしなくていいなと判断しました。