第17話 低身長の名探偵 ミスティラウン
状況を伝え生徒達と避難しようとしていた真琴は大地を揺らす程の爆発に足を止め爆発が起きた地点を眺める。
「な、なにこれ」
ボトッ と爆発の残骸が校舎と校舎の間に落ちた。
[まさかダイナマイトを使ったのか、あの技は奥の手中の奥の手だと言ったのに]
「ダイナマイト?」
[自爆技さ、自分の中にあるエネルギーの全てを使い爆発する危険な技だ]
「それじゃあ猿渡さんは」
[いや、彼女なら]
爆発の残骸から腕が生えその腕から順に体が再生する、10秒もかからずに体は元通りに再生した。驚くほどの再生速度だが流石に自爆技で体力を使い果たし地面に倒れた。
「あはは、流石にキツイね」
「さ、マジカルさん」
「真琴ちゃ・・」
ぐさ
全て終わり立ち上がろうと力を入れて瞬間氷柱が凪を貫いた。
《今日は なんで俺が いっぱい⦆
最終兵器の自爆技だったが領は倒れず氷の体は修復した、だが凪と同様に体力がないのかさっきのように氷柱が凪の体を凍らせる事はなかった。地面に突っ伏している凪の頭を掴むとそのまま手洗い場に叩きつける。
「があ!!!」
蛇口が壊れ頭の傷口に大量の水がしみる、意識が飛びそうになったが何とか持ちこたえ反撃しようとするも、領はその反撃する隙も与えず手洗い場に頭を何度も何度も叩きつける。
体力を使い果たした凪もやられてばかりではない、デッドマックスのストラップを取り出しバンドにかざして元のサイズに戻すとマックスの力で木の根っこを成長させ根っこを操り領の体を持ち上げる。
「はあ、はあ」
領はすぐさま根っこを引きちぎりふらふらの凪に殴りかかる、疲れ果てた凪はその拳を何とかかわしマックスを振るうが力のこもっていない攻撃は簡単に止められ反撃に回し蹴りを喰らいアスファルトを転がる。
地味に暑いアスファルトから立ち上がろうとするが寝転がって事を良いことに今までの鬱憤を晴らすようにどがった足で何度も蹴る。
「・ぐえ・ぎょえ・ぶえ・ば・・・」
[そんなダイナマイトをもろに喰らって生きているなんて、なんて生命力だ・・・ん?ちょっと待ちたまえ]
今にでも凪の所に駆け付けそうになっている真琴の前に立つ。
[何を考えているんですか、死にますよ]
「このまま見るだけなんて耐えきれない、私がなんとか」
そうつぶやきながらおもむろに鏡を取り出す。
[正気ですかあなた]
クラフトは自分の忠告を無視して行きそうな真琴に拘束魔法を唱える準備を密かにしようとした、しかしクラフトは彼女の中に輝くものがあることに気が付いた、その輝きはクラフトだけが見ることの出来る輝きでそれは魔法少女の素質がある人間のみが持つ輝きだった。
[これは・・・初めてみた時にはなかったのに]
「ど、どうしたのいきなり」
[き、君マジカルを助けたいのかい]
「え?う、うん、もちろんよあのまま猿渡さんが死ぬ姿を見るつもりはないわ」
[なら君もならないかい魔法少女に君にはその素質がある]
「わ、私が? 噓・・を言ってる訳でもないか、わざわざそんな噓つく必要がないからね」
[嘘じゃない僕と契約すれば魔法少女になれる]
「け、契約か…」
[べ、別に変な契約じゃないさ、取って食べる訳でもないし、蟹工船に乗せるわけじゃない、ただ1つ言うことがあるとすれば運命を背負うことになるよ]
「…悪いけど運命は自分で作る、その背負う運命も作る」
[えーっと…その痛いポエムは契約成立って事でいいのかな]
「い、痛い?今の痛かった」
[だいぶ痛いし意味不明だよ]
「……………( ・_・̥̥̥ )」
[ごめん、僕が悪かったから泣かないで]
「な、泣いてないし、で契約書にサインすればいいの」
[契約書なんてないさ、とりあえず左手を出してくれ]
真琴はクラフトに言われるがまま左手を出すとクラフトは左手を両手で握る。何をする気なんだろう、そんなことを考えながらクラフトを見ているとクラフトの全身が光り輝き始める。
「ねえ、本当に私が魔法少女に慣れるの?少女じゃないけど」
[大丈夫さ、時間がないから突貫工事でいこう]
ジューウウ!!!
手にはんだごてを当てたような熱が手全体に伝わりグレイ色の煙があがり、真琴は顔を顰める、だが文句や不満を言わずにその熱を受け入れる。
熱は徐々になくなりグレイ色の煙が真琴の腕に巻き付くとその煙が黒のバンドに変化を遂げ、そのバンドから赤ふちのメガネが作り出された。
「な、何これ」
[ストラップじゃない!?あれ失敗した、いや成功してなかったら変身アイテムは作られない…よね]
「私に聞かないでよ、でもこれで変身できるんだよね」
[うん、そうだと思うよ、やり方は…]
「大丈夫もう見たから」
真琴はそう言うと作り出されたメガネをバンドにかざしそれを顔につけるとメガネから花火のような閃光を放ちそれと同時に真琴の服が変化する。
白い靴下が黒いタイツに変化し、白いシャツの上に探偵のようなブラウンのインバネスコートを纏い、白のワークキャップにストラップを付けるための輪っかがついた帽子を着用。
黒く輝いていた靴がブラウンのバレーシューズに変化し、白い手袋を着用しほんの一瞬で魔法少女に変身を遂げた。
その姿は露出度が高い凪とは正反対で露出度が低く、変身に使ったメガネがより知性を感じさせる姿だった。
窓の反射でその姿を見た真琴は少し驚きながらもどこか満足そうな顔をした。
「そう言う…ことなのね、つまりこれは……」
[せ、成功した、君…いや名前を考えないとね、えーっとどうしよう]
「そんなの言ってる時間ないし適当に決め……いやマジカルピンクって名前猿渡さんが考えた?」
[その知性とセンス輝く名前は僕さ]
「うん、自分で考えよ、見るからに探偵だし…白黒ハッキリしない霧のような曖昧な事件を解決する、ミスティ…ミスティワイト」
[ホワイトから取ったのか、けど君はホワイトと言うよりブラウンだけど]
「ならミスティラウンでいいや、それよりいきましょう」
そう呟いた瞬間真琴の両手から魔力で作られた金色の板が現れた。
戦闘シーンよりビジュアルの説明が1番嫌いな作者です、シナリオを考えてるときは服装とかどんな姿なのかとか考えないんですが小説にするとその考えていない部分を書かないといけないのが本当に嫌いですね。
特に魔法少女の変身となると変身するための姿と変身した後の格好の両方を書かないといけないんですよ、非常にめんどくさい。
もう敵味方関係なく全員全裸で戦ってくれと思う作者でした。