第164話 家族会議
~~~大型スーパー ネクサスノア・パンプキン1号店前~~~
色んな所で同時進行的に様々な出来事が起こっていた。
凪と穂乃花は自身の偽物と戦い、太一とムーンは主犯のクリフォトを拘束し、暫はクリフォトが作り出した偽物のフリーサイズマンを打ち倒す、他には鏡から現れた怪物達をヒーローが倒していた。
そんな事件が多発している中真琴はテレポートを利用して彩芽を探していた、しかし彩芽はどこにもおらず、さらにテレポートした場所の鏡から怪物が現れ、真琴と彩芽の遭遇させまいと妨害していた。
クリフォトが真琴の魔力を探知してそこの近くの鏡を使って襲わせているのだ。
「くっ・・皆さん逃げて」
真琴は現れた怪物を壁で押しつぶしながら鏡を破壊する。
「もうどこにいるの彩芽、図書館にも職場にも自宅にもいないし」
少しイラつきながらもスーパーのテレビに栄の悲惨な状況を映し出し、それを目にする。
「は、早く急がないと」
「ふふふ、お困りみたいね」
「【さ が し もの かしら】」
真琴はすぐさま自身の背中と正面に壁を生成し、声が聞こえた方向を振り返る、するとそこには全身包帯巻きの幹部クローシアとその愛人のサイキックスがそこにいた。
「クローシアにサイキックス」
「お久しぶり、ビーチ以来ね」
「・・・・え?ビーチであったけ」
「この酔っ払いが」
「【へろ へ ろ だった もの ね】」
「わ、悪いけど貴方達と遊んでいる場合じゃないの、急がないと人命が・・」
「その探し物はこれかしら」
そう言いながら指を鳴らすと、クローシアの背後のポータルから目隠しに猿ぐつわをつけ、亀甲縛りで哀れもない姿で拘束されている彩芽の姿があった。
「・・・あ、彩芽!!」
「フグぅ・・フグぅ・・・・」
「私達から逃れようなんて無駄な話なのよ」
「【じ ぶ ん の罪 から にげ ようだなんて 酷い女】」
「今すぐ彩芽を離しなさい」
「いやよ、私達がどれだけ探してたか、あのいかれた女のおかげで、ようやく尻尾を掴めたのよ、これを逃したらいつ捕まえられるか」
「美穂の戦いで居場所がバレたのか」
「【賢い こ ね この女 と 違って】」
「貴方達がどんな気持ちで彩芽を捕まえたのは分かってる、けど今は非常事態なの彩芽を離して」
「いやよ」
「あの・・男?い、いやクリフォトが暴れればこの世界がどうなるか」
「滅んでくれて結構」
「貴方達も殺されるよ」
「そもそも、スカルとマックスがなんで別次元に住処を作ったと思ってるの、捕まらない最高の秘密基地を作るため?」
「そうじゃないのかな」
「こういう事態を考えてのことよ」
「【わ た し 達の 基地は 避 難 場 所 また 世界 が滅ん だ 時の ための ね】」
「待て、え?滅んだ何を言って」
「ともかくこの事態は想定内よ、私達は安全な次元でこの世の崩壊を見届けるわ、その前にケジメはちゃんと取らないとね」
「ダメだやめろ」
「【じゃ ま する気】」
「するさ、避難場所とか関係ない」
「なら奪い取ってみなさいよ、貴方1人で出来るなら」
真琴とクローシアは互いに睨み合う、2人は過去に戦った事がある、だがその戦いは真琴の惨敗で終わっている、しかもそれはクローシア1人だけの戦いで今回はサイキックスもいる、正直に言って真琴が勝てる余地は何一つない。
だが真琴の目には敗北の二文字はなかった。
そのことにクローシアは気づいていた。
「お仲間は居ないわよ」
「そもそも私がなんでスーパーに来たと思う」
「なに」
「こんな場所に彩芽が居ない事なんて分かってた、だけどここに来た」
「【なに か 秘策 が ある ようね】」
「君たちが来るのは想定外だった、けどここには彩芽を探すのを手伝って貰うために来た」
「それは残念ねこのメス豚は私達の巣にハマった」
「無理矢理にでも奪い取るさ」
「どうやって」
「ここはパンプキンの前さ、知ってるかヒーローが全滅した時代に1人でこの国を守ったヒーローを」
「それが、なん・・」
バン!! とクローシアの隣にあるメイド喫茶パンプキンから銃弾が放たれ彩芽を口に付けられた猿ぐつわに命中し猿ぐつわを外す。
「なに?」
「【こ れ は まず】」
「テレポート!!」
「させない」
口が自由になった彩芽が魔術を唱えようとしたが、クローシアはそれを許さずすぐさま糸で拘束しようとする、しかしクローシアと彩芽の間の空間が崩壊し、崩壊した空間の中から麻央が現れ糸を掴んで破壊した。
「くっ・・愛川 麻央」
バトルシップを覚えているだろうか、船の上で能力者同士が戦い合う大会で凪と楓が戦ったのもこの大会だ、そこで最後の敵として現れゴッドウォーズを持った凪を圧倒していたのがこの愛川 麻央だ
「彩芽!!」
麻央のおかげでテレポートを成功させた彩芽は空中に現れ、下に居た真琴が彩芽をキャッチした。
「危なかった」
「すみません愛川さん、この2人をお願いします」
「全然いいよ、常連客の頼みだしね、さて反抗期の子供達大人しくしてくれるかな」
「黙りなさい、貴方の時代なんて当の昔に終わったのよ」
糸を一か所に固め巨大な拳を作り出し殴りかかる、さらにサイキックスが念力で麻央の体を拘束するしかしその拘束を軽く破壊し巨大な拳をぶん殴り吹き飛ばす。
「いろいろ緊急事態なのクリフォトが美穂を乗っ取ったの」
「そんなバカな、あれにそんな力があるはずが」
「全部仕込んでいたんだ、話したいことは山積みだけどとにかく戻るよ」
真琴がテレポートを使いその場から離れる。
「くっ逃がした」
「【こ れ は おえ ないわね】」
「まったくお母さんを困らせたらダメでしょ」
「黙りなさいあんなの母親でもなんでもない」
どうも、前回の話で少し燃え尽きた感じのする作者です、ずっとあのシーンを書きたくて仕方なかったです、そもそもクラウンは前回の回で初めて登場する予定だったんですよ。
なので穂乃果さんが使うのは実は後付け設定だったんですが、今思うと強化形態の予定がない穂乃果さんの強化形態になりつつ、クラウンの説明が事前に出来たのは良かったなと思っています。
さて今回久しぶりに登場したクローシアとサイキックスですが、どうしてこの2人が彩芽さんを狙ったのか、なぜ恨んでいるような感じだったのか、それはクリフォトの話がひと段落した次の回で明らかにしようと思います。
伏線はある程度撒き散らしたので、この3人がどのような関係性なのかは察せられると思います、ヒントを残すとするなら彩芽さんの関係者の共通点として傷があるのと、サイキックスは魔術を使い、クローシアは彩芽さんのお兄さんと同じ能力を持っている点です。
とりあえず今回のクリフォトの話は2週間ぐらい続きそうですが、関係性が明かされるのをお楽しみにしてください。