第161話 空のケース
ピッカラは再び空を飛び、向かってくるフリーに閃光弾を放ちフリーの視界を潰す。
〔くるえ〕
さらに目に再度爆弾が付いた矢じりを放とうとした、しかし目が見えなくなり手当たり次第に攻撃するフリーの薙ぎ払いをくらい隣りのビルに激突しそうになる。
〔くううううう!!こんな所で!!〕
しかし体を何と動かしてビルに激突する1歩手前で何とか止まり再び矢を放つ。
でかい胴体に当たりはするが効くことはない、このまま攻撃をしても何の意味もない、あと1分すれば奴は民間人を踏み潰す、一体どうすればと考えているときにピッカラは思い出す。
太一が能力の調査のためにヘンリーに調べてもらっているころ、ピッカラ達も検査されていた、なんかいくつかの必要の臓器がなかったり、骨が少なかったり、正確に言うと子供の知ってるような知識の人体構造をしていた、とかの話はあったがそれではない。
ピッカラが気になってヘンリーに質問したことがあった。
〔あの、貴方は無能力者なんですよね〕
「そうだとも、まあ能力があったとしても私は変わらず同じ事をしてたと思うよ」
〔大きくなったり小さくなったりするのはどうやっているのですか〕
「私が発見した分子のおかげさ、自由自在に物質のサイズを変更できる、君も見なかったかいユカイがカブトムシに使ってただろ」
〔あのでかいカブトムシはそれででかくしていたんですね〕
「私は公表してないんだけどね、一体どうやって情報を手に入れたのやら、ユカイの奴昔も今も変わらないな」
〔知り合いなのですか〕
「昔の研究仲間さ、ピーカルの研修資料を試して失敗したせいで精神がおかしくなってね、今や敵同士さ」
〔そうだったんですね、所で・・その分子はポケットの中に入ってるんですか、なんだか壊しそうですね〕
「いやいやそんな不用心な所に入れないよ、腰のベルトにそれを入れるケースがあるんだ、そのケースからスーツ全体に分子を循環させているんだ」
〔腰のベルト〕
ピッカラは腰のベルトにある分子を持ち運ぶためのケースを見つける。
〔あれを壊せば〕
ピッカラ爆弾が付いた矢を装填し糸を引く、しかしその殺気を感じ取ったのかフリーはピッカラを睨み付け足元の木を引き抜いて振るう。
〔くっ・・こいつ〕
木を避けながら狙いを定めるが暴れるフリーの腰を狙うことは出来ない。
〔もう!!どうして止まってくれないの〕
少しでも動きが止まってくれればいいのに、そう思っていると プープー と言うクラクションが鳴り響きそこに目線を向けるとそこには荷台にガソリンを乗せたトラックがあり、そのトラックの運転席にはヘンリーが居た。
〔ヘンリーさん!!ま、まさか〕
「このまま終われるものか」
〔だ、ダメそんな事〕
ヘンリーはギアを上げて車の速度を上げて暴れるフリーにむかっていく、ヘンリーは時速120kmの車から当たるギリギリの所で車から飛び降り、車は速度を落とすことなくフリーの足に激突する。
「……………」
〔や、やるしかない、このチャンス逃すわけには行かない〕
大量のガソリンを乗せた車は激突と同時に爆発しフリーは態勢を崩し膝を地面につける、その隙を逃すことなくピッカラは腰につけたケースを打ち抜く。
ドカーン
そんな爆発音と共に腰のケースが壊れ、中に入っていた空気が漏れる。
〔や、やった〕
「はあ、はあ、くそ・・そろそろ私も引退だな」
ヘンリーがそう言いながら近くの噴水にもたれかかる。
〔よくやくこれで避難に…〕
完全に勝利を確信した2人だが恐らく気づいていない、分子が入っていると思われた腰のケースには最初から何も入っていないことに
〔え?〕
爆発の中大きいままのフリーが立ち上がり空に居るピッカラを握りしめた。
〔がああああああああ!!!!〕
「そ、そんなバカな分子は砕け散ったもう奴は巨大化を維持できないはずだ、なんでサイズが変わらない」
このフリーは完璧なコピーではない、クリフォトの認知によって作り出された怪物なのだ。
クリフォトはヘンリーが自由自在に大きさを変えれるのはそういう能力であると認知した結果、その認知によって作り出せれた怪物も自由自在に大きさを変える能力を持って生まれたのだ
つまり壊したケースには何も入っていない、このフリーは分子関係なく自由自在にサイズを変えれる能力を持っている、だからケースを壊しても何の意味もない。
ケースはただの飾りなのだから。
〔がああああああ!!!!!!〕
「よせえ!!!」
フリーはピッカラの体全体を手のひらで覆いかぶせるとそのまま握りつぶした。
〔・・・・・・〕
声もなく惨たらしい音のみが響き渡り、手の隙間から血が溢れ出る、フリーはもはや原型のないピッカラを地面に投げ捨て、その死骸は女の子の目の前に転がった。
「きああああああああああああ!!!」
その女の子の絶叫と共に民間人の理性は完全に吹き飛ぶ、暴言と罵声が響く阿鼻叫喚で我先に逃げようと押し合い殴り合う。
目を閉じ現実を疑う者もいればただ足を止めることしかできないものもいる、自分たちを守った天使は死んだ、ヒーローもクトゥもレオも止めれるわけがない、魔法少女もここにはいない。
そんな絶望が民間人に伝わり、悲鳴がこだまする中スピーカーが鳴り響く。
【みんな!!落ち着いて】
その声は先程までパネルに居た猫耳アリンだ、だが舞台に立ってマイクを握るのは数年前に舞台を去ったアイドルの翼だ、緊急事態な時だったが全員が足を止め彼女を見つめる。
「おいこの声アリンじゃ」
「待て待て舞台に居るの引退した翼じゃねえかよ」
「え、うそ・アリンの中の人って」
「ちょっと先輩!!なにして」
必死に止めようとしたメフィスの静止も聞かず翼はマイクを握りしめ声高らかに叫ぶ。
【怖いのはわかる、逃げたいのもわかる、だからこそ落ち着いて動いて、助かる命が助かりません】
〔ポッポ〕
【1人1人が助け合い、進めば皆助かる】
フリーはゆっくりと足を踏み出す、それと同時にピーポッポが翼の肩に止まる。
【だから】
フリーの影が女の子にかかる。
〔ピー!!ポポポポポポ〕
【落ち着いて!!!!】
その声が響き渡ると同時にピーポッポが光り輝き5m程の金色のハトに進化をとげる、そして翼の中に入り込むと、翼の瞳が眩く輝く。
「「あの鳥中に入ったぞ」「リューターの力も借りないで自力で進化した」」
「え、先輩、え?なにが」
フリーが子供を踏み潰そうとした瞬間透明な何かがフリーの邪魔をする。
「・・あれ?」
「ど、どうなってやがる」
「なんだこの…壁は」
その透明なバリアは会場全体を包み込み、会場を守っていた。
「なにこれ」
「「すげえ」」
【絶対に誰も死なせません】
どうもライバルズで負けまくった作者です、6回試合して勝てたの1回ですからね、もうねやる気もクソもないですわ、気晴らしにXを見に行ったら地獄みたいでよりやる気を無くしました、もうエッホエッホしてる鳥だけが永遠に流れて欲しい。
もうありとあらゆるやる気が消滅したので今回は手短に終わらせますね、クリフォトは偽物を作り出していますが、その偽物は完璧なものじゃないんですね。
説明されていましたがクリフォトが思っている物が偽物として出て来るんです、本物が出来ることもクリフォトが知らなければ偽物は出来ません。
逆にクリフォトができると思えば本物ができなくても偽物はできます、フリーサイズマンは装置によって体のサイズを変えていますが、クリフォトはそのことを知らないため偽物が装置関係なくサイズを変えることができるんです。
なので偽物の中には本物よりも強い個体が存在しています。
本物よりも弱かったとしても
常にクリフォトからエネルギーを与えられているため疲れず
ある程度の傷は自然回復して
感情も痛覚もなく
クリフォトのパワーを与えられているから全ての能力が上昇する
と言うめちゃくちゃバフを受けているため基本的に本物だとしても偽物には勝てない設定になってます。
ヘンリーが負けるのも仕方ないとと言うか負けて当然の相手です。
ちなみにクリフォトは自分の偽物を作れず、偽物の偽物はつくれません、全盛期ならできるかもしれませんが今は心臓と魂だけの存在ですのでこの程度に収まっています。