第15話 ドアを開けて
星型の玩具で突然怪物に変貌を遂げた領はゆっくりと2人に近づく。
「ど、どうなってるの」
「なんで領くんが」
凪はない脳みそで必死に考えたが理解できず後ろに下がる。領は何が起こっているのか理解できない2人に右手を上げる動作を見せた、凪はその行動に殺気に近い何かを感じ少し距離を置くと真琴の足元が一瞬で凍った。
「え?」
《夢も 人生も どうだって いい》
「真琴ちゃん!」
領はゆっくりと ゆっくりと右足と左足をだし凍った真琴に近づく。
このままではまずいと凍った真琴を助けようと一歩真琴のいる方向に足を踏み出すしかし
「早く逃げてください!」
そんな言葉に足を止める。
「で、でも」
「警察に通報して校内の生徒と先生を逃げるように説明を…」
そんな事を言っている間に真琴の体は徐々に凍り始めていた、どうしようかと悩んでいる時間もなく凪はバンドがある自分の机に走り出す。
領はそんな凪に目もくれずゆっくりと真琴に近づく。
「な!何をしてるんですか、早く逃げて」
《 もう いい どうでも ⦆
「確かここの奥に…あった」
机の奥にあったバンドを取り出し腕に着けすぐさま変身しようとした、しかし突然頭の中にクラフトの声が響いてくる、【テレパシー】口を使わずに考えている事を伝える魔法でそれを使いずっと透明化してそばにいたクラフトが凪に語りかけてきた。
[【待ってください、認識変更は変身している所を直接見られたら意味がないんです、今変身したら真琴さんに正体がバレます】]
「え?」
腕につけたバンドを隠しながら真琴を見る。
一言で言えば絶体絶命と言う表現が1番合う状況だった、領と真琴の距離は机2つ分しか離れておらず真琴の下半身は凍りついていた。
誰がどう見ても後数秒もあれば真琴の全身が凍り付くのは目に見えていた、とても隠れて変身している暇などない。凪は凍りついている真琴を見ながらポケットに入ってるハートのストラップを握り締める。
[【ダメだやめろ、ここで正体を明かせば】]
「私は・・・私は魔法少女である前に猿渡 凪です!!」
ポケットからハート型のストラップを取り出し走り出しながらストラップをバンドにかざす。
「な、なにを」
「マジカル マジカル マジカルルン 私のハートもパステルピンクに輝いて」
バンドから放たれる虹色の光が凪のスカートや上着を変え一呼吸する一瞬で凪を魔法少女に変える。
「オラァ!!」
ゆっくり近づこうとしていた領を蹴る、その蹴りをまともに喰らった領はまだはまっていない窓に激突する。
「さ、猿渡さん!?」
「え、えーっと、私は魔法少女 マジカルピンク」
「いや猿渡さんだよね」
[だから言ったじゃないか、認識変更は変身を見られたら終わりなんだ]
「…人形が喋ってる」
[やあ僕は]
「クラフト真琴さんをお願い私は領くんをなんとかしてみる」
「何とかって…できるの?と言うか下半身の感覚がないんだけど」
[僕に任せてくれ]
クラフトは手のひらから赤い魔法陣を浮かべるとその魔法陣から熱波を出し凍っていた真琴の足を溶かした。
「もしかしてこれが魔法、彼女以外にも使える人がいるなんて」
[マジカル恐らくあれは彼の意識と魂と能力が肉体から分離し道具によって形作られた物だ、倒せば元の肉体に戻るはずさ、多分]
「うんわかった…ってなんで疑問形なの」
[僕だって初めて見るからさ、こんな怪物見たことがない、くれぐれも油断せず気を付けるんだ]
「わかった」
クラフトは手から魔法陣の盾を作り出しそれで真琴を守りながら教室から出ていく、凪はその姿を確認しながら窓枠に寄りかかりながら立ち上がる領を見つめる。
「領くんどうしたのそれ、なんでそんな姿に」
《どうでもいい ろくな人生じゃない 俺の人生 の 終焉が》
「そんなことないよ、ただその…1回冤罪しただけなんだし」
《誰も 誰も どうでも やりたいように》
領の台詞は素材不足なアニメの音MADみたいに継ぎ接ぎで声の音程はバラバラで文章もめちゃくちゃだ、凪はそんな領をなんとか説得しようと彼にかける言葉を考える。
目の前の怪物が話し合いで解決しなさそうなのは火を見るより明らかだ、だが凪は戦いでなく話し合いで解決しようと考えていた。
しかし凪がそうでも領は違う。
手のひらに30cm程の大きさの氷柱を作り出し隙だらけの凪に向けその氷柱を射出する。
「えーっと…うっ!」
氷柱は凪の腹に突き刺さり。突き刺さった場所から徐々に凪の体を凍らせていく。
「さむ、って凍ってる」
《所詮 プールでは 俺が1番 不戦勝》
「領くん話を…冷た!! 冷たいなんて話じゃない、何これ何かの感覚」
凪は今自分に何が起きているのかわからなかった、それも当然の話で凪の体を貫いた氷柱は溶けることもなく刺さったまま。
その刺さった氷柱は凪の体の外を凍らせると同時に体内を凍らせる、体の臓器や血液が徐々に凍っている事に凪は気づいていない。
体も凍っているだけで欠損しているわけではないため能力が発動することはなく凍る体になす術がない。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、あれ視界が」
《 夢なんて お前がいなければ 最初っから 》
視界と意識が薄くなり凪の体は一気に温度が下がった事で血行不良を引き起こし肌の健康的な赤みが失われ、皮膚が青黒く変色する。もはや温度すら感じられない体で凪は震える体でクラフトから貰った金の指輪をつけ、震える声でその指輪に語りかける。
「ヒート…ウェイブ」
その声に答えるように指輪は赤い光を放ちながら赤い指輪に変わり、その指輪をバンドにかざした瞬間凪の体は動きを止め全身が凍りついた。
そう言えばみなさん気づきましたか、この小説3人称視点の癖に感情をめちゃくちゃ出してくるなと、例えば主人公を馬鹿呼ばわりしたり宗教勧誘に反吐が出てたり。
今回も主人公を脳なしと言ってたりしているんですが、実はですねこの小説は今後登場予定のキャラクターの視点で書かれているんです。
だから第10話で作者の趣味だろうかと言うと発言をしてたんですね。
ちなみにそのキャラクター何者かと言うと秘密です、予定では第1章のラスボスを倒す予定ですね、ここで書いたからにはそこまで書かないとですね……タイバー登場まで書けるかな。