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第百三十六話 終わらない戦い

 激しい戦いの結末で美穂と凪は互いに疲れたように地面に座り込み、何とか出来たと満足している凪とは違って納得していない美穂の2人は互いに気まずそうに顔を合わせる。


 そんな気まずい時間が5分ぐらい続いていると廊下から彩芽が現れ2人に見つからないようにこっそり見ていた。


「いや見えてるから、そんなコソコソしてないでこいよ」


「そ、そう」


「大丈夫です彩芽さんちゃんと和解したんで」


「してない」


「しましたよ」


 彩芽は恐る恐る廊下から離れ傷だらけの美穂に近づく。


「ごめんなさい」


「だまれ何も聞きたくない」


「こんな事したくなかったし、させたくなかった」


「今頃善人ぶりやがって、こんな組織に入っておいて」


「ごめんなさい」


 気まずい時間がやっと終わると思っていた凪だが彩芽が来た事でより気まずくなり重く口を閉ざす。


「・・・何で黙ってたの私が精神病院に入院してたの知ってたよね」


「言い出せなかった」


「何で組織に入った、身近に不幸になった人間を見たでしょ」


「・・・・」


「何とか言えよ」


「み、美穂さんそんな脅す感じに言わなくて」


「黙れ軽々しく名前を呼ぶな」


「子供のためよ」


「え?子供って」


「どの子供の事、数が多すぎてどの子供か分からないわよ」


「貴方には教えてない顎門って名前の子よ、覚えてる頭のねじが外れた科学者が神を作ろうとした実験、貴方立ち会ったでしょ」


「・・・多分それ私じゃない」


「あったのよそんな実験が、その実験で私の遺伝子と複製した能力を材料に作り出されたのがその子供、クローンやホムンクルスに近いわね、ただ実験は失敗、失敗作の子供は処分されそうになった」


「顎門さんにそんな過去が、と言うか酷いですね人の命をなんだと思っているんですか」


「知り合い?」


「真琴の探偵事務所で助手をしてるのよ」


「私の知らない事だらだな、友達のふりして隠し事ばかり」


「それで処分されそうになったから私が組織に入る変わりに処分はやめてくださいって頼み込んだのよ、当時の時点で魔力を生み出せる力を得ていたから組織としては丁度組織に欲しかったのよ、と言うよそれを脅しに入れさせるつもりだったのよ」


「なんでそれを言わなかったの」


「私個人の話だし、でもいつか話そうとは思ってたの、だけど貴方は魔術の影響で精神病院に入院したり、恋人が死んだり両親が死んだりして、とても言い出せなかった」


「最低、最低だよ貴方それで私のお見舞いとか葬式とか来て、後でそれを知った私の気持ちを一度でも考えたことあった」


「だから言い出せなかった、今ごろ言っても遅いのは分かっているだから・・」


「もういいよ」


 美穂の一言に少し感情的になっていた2人の熱が冷め、再び沈黙が続いた。


 その沈黙を破るように彩芽が口を開く。


「これだけは言わせて、組織に入ったのは貴方の為でもあったの」


「・・・・」


「組織がしてきたことを償わせる為に入った所もあるの、少しずつだけどこの組織も変わっているの、貴方のような人間を作らない為に、そして救うために、この施設はそのための施設なのもう二度と悲劇を繰り返さない為に」


「・・・もう遅いんじゃない」


 美穂はそう言うとゆっくりと立ち上がる。


「遅かったのよ、何もかも、組織は自分達が作り出した怪物を野に放ってそのまんま、貴方が変えようとしても上は変わらない、今頃動いても遅いのよ」


「美穂」


「気安く呼ばないで、何もかも遅いのよ、今頃あれこれ言われても私の心は動かないし、死にたくないから言い訳しているようにしか聞こえない」


「ごめんなさい」


「言っておくけど私は貴方の友達でも何でもない、次会うときは殺すときよ」


 美穂はそう言うと体から煙を放ちどこかに消えた。


「大丈夫ですか」


「ええ大丈夫よ、もっと酷いことを言われるのを覚悟してたから、でも・・実際に言われると少し・・来るものがあるわね」


「追わなくていいんですか、それに警察に通報とか…」


「いいわ、きっと追いつかないし警察に通報すれば全てを明かさないといけない、だから無理よ」


 彩芽は普段と変わらないようにため息交じりに淡々と語るが顔は少し下を向き、隣にいる凪に今の表情を見せないようにしていた。


「その・・えーっと」


「何も言わないで、美穂とは私が一方的に友人だと思ってただけで、美穂が言う通り友達でも何でもなかったのよ」


「しつこく言われた気がします」


「他に何か言ってた」


「・・・言われましたお前は分かってないって、聞いていいですか」


「なにを」


「美穂さんが正しいのか彩芽さんが正しいのか、時間が経って成長すればどっちが正しいのかわかる時が来るんですか」


「それはあなた次第でしょ、私は何も言えない」


「でも少し思うんです、分からないままの方が幸せなんじゃないかって、分からないままなら2人とも傷つかなくて済む」


「それは解決じゃない、答えから逃げているだけ、そういうものは時間が経てば経つほどしんどくなるものよ」


「そう・・ですよね」


 凪は俯き考えにふける、彩芽はそんな凪の頭をポンポンと叩きながら口を開く。


「そんなに考えなくても貴方ならいずれわかるわ」


「そうですか」


 凪は顔を上げ前を向く、いつか本当に答えを見つけ出せるのか、そんなもの今考えても分からない、死んでないとはいえ真琴を撃ったり、彩芽を本気で殺そうとしたり、だけどそうする理由はあった父親を失った凪だから親を失うことの辛さも分かる、美穂は凪が想像できないほど辛くて苦しい日々を送っている事。


 今保管されている物が危険で行われている実験は非人道的なものだと、だけど美穂の行動が正しいとも思えないしあながち間違っているとも思えない、とにかく今はどれだけ考えても分からないそれが凪の考えだ、だがいつかは答えを出さなければならない。


 いつかは必ず。

どうもおばあちゃんが亡くなった次の日が母親の誕生日だった作者です、とてつもなく気まずいケーキを用意するとか言う空気ではない。


さて今回特に話すことはないんですが、2回連続暗めの話題なので明るい話題を捻り出さないといけないので無理やり捻り出したエスプクリプスの名前の由来を書いて終わりますね。


私が仕事に押し潰されたせいで投稿頻度が滅茶苦茶下がったせいでかなり前の話になってしまったのですが、バトルシップと言う話で出た大城 楓さんを覚えていますでしょうか。


その楓さんが変身した際の名前がエスプクリプスと言う名前ですがエクスプロージョンとアポカリプスをくっつけた名前になっています、どうしてそんな名前になったのかと言うと……特に理由はありません能力が爆発系の能力なのでエクスプロージョンを名前に出したかったのと、アポカリプスに関しては不吉な未来が待ってることを暗示したいなと思いそれにしました。

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