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第135話 わからない

「くそったれ」


 誰がどう見ても動くわけがない、そう思えるほどの大量の血と傷は明らかに動けないと告げている、しかし美穂は立上り闘志を燃やす。


「まだ立つの」


「私は負けない、勝つまで戦い続ける・・グッ」


 体の傷口がゆっくりとふさがり始める、しかし凪の様に早くなく完璧なものではない、しかも美穂は苦悶の表情を浮かべていた、完璧な再生じゃないそう思った凪はつい思っていることを口に出してしまう。


「完璧な再生じゃないんですね」


「そうよ欠陥だらけ、完全に治らないし激痛を伴い体力を消費す…グッ‥」


 美穂は苦しそうにそう応えるた瞬間口から血を吐き出す。


「や、やめましょう、もうこれ以上やっても…」


「どいつもこいつも私の邪魔をする、イラつくのよ幸せそうにヘラヘラと私から全て奪い去っておいて」


 美穂の魂からの叫びは怒った顔の奥に涙を感じさせた、美穂は体をかきむしりながら銃の引き金を引く、今まで外れることがなかった美穂の弾丸が外れあらぬ方向に飛んでいく。


「・・・やめましょう、これ以上戦っても意味が」


「アアアアアア!!!!!」


 美穂は定の鎖を取り出し剣先を鎖に変えて剣を振う、鎖は凪の体に巻きつき振るおうとするが凪の体はびくとも動かず、逆に凪は鎖を掴むと思いっきり引っ張り美穂を引き寄せる。


「もう…やめましょう」


 自分の拳が当たる距離まで美穂を引き寄せた凪は剣を握る手を蹴って剣を弾き鎖を解く、咄嗟のことで驚いた美穂だが冷静にポケットから拳銃を取り出そうとしたが凪は美穂の手を握りしめそれを阻止した。


「この!!」


 美穂はもう片方の手を握りしめると凪を何度も殴る。


「この!!私の邪魔を!!するな」


 その攻撃に凪は反撃することはなく攻撃を受け続ける。


「この!!この!!」


「やめましょう、もうこんな事」


「黙れ!!全ての魔術を消すまで私は止まらない」


「友達を殺しかけてまですることですか」


「友達なんかいない」


「だったら真琴さんは何なんですか、真琴さんは魔法少女の力がなくても貴方を止めようとした」


「止まる必要がどこにある!!」


「止まってください、貴方にも大切な人がいるでしょ、真琴さんみたいに本気で大切に思っている人も…」


「いない!!そんな奴らはいない、私の家族は全員死んだ」


「……え」


 美穂の表情は怒りと殺意が溢れたものから今にでも泣きそうだけど堪えているような表情に変わった、その変化に凪は驚きながらも、片手に握る剣から手を離し金色の強化形態を解除する。


「…私の恋人はバラバラになって死んだ、2人で買った家中の鏡の前にあの人の体の一部が散らばっていた、あれは能力なんかじゃない、私にはわかるあれは魔術だ」


「………」


「両親はこの図書館を作った組織の連中が作ったマインドレスに殺された、私の大切な人も家族も全員死んだもう私には何も残っていない、全てが魔術に奪われた、だから止まらない」


「全ての魔術を無くして、彩芽さんを殺せば止まるんですか、貴方の心は休まるんですか」


「その後のことなんて興味がない、そもそもあの時から私には未来なんてなかったんだ」


「思い直してください、確かに気持ちはわかります、だけどここは…」


「ならどうしろと、私の全てを奪った物にやっと手が届く」


 凪は落ち着かせるように美穂を抱きしめる。


「で、でも・・これはダメですよ、昔の仲とは言え彩芽さんも真琴さんも・・」


「さっきから五月蠅い、あんな奴ら友達でも何でもない、私の両親が死んだときも恋人が殺された時も黙ってた、私が魔術が原因で精神病院に入ってる時に何も言わずに彩芽は組織に入った、その挙句2年前まで黙ってた」


「い、言い出せなかったんですよ」


「真琴もそのことを知っていたのにずっと教えず黙ってた、友達ずらしておいて私のことなんて何も考えてくれなかった」


「それは・・・え、えーっと、多分知ったらこうなるのがわかってたからだと」


「もういい下手な慰めなんて必要ないし反吐がでる、何でそこまでして私を止めようとする、自分が何をしているのかわかってないんだろ」


「そんなことは・・」


「気づいたら、ただ利用されていることに、自分でも何をしているのか理解してないんだろ」


「わかんないですよ!!!」


 凪は美穂の言葉に条件反射で言葉を発する。


「わかんないですよ」


 条件反射で出た言葉に続くようにぽろぽろと言葉が溢れ出す。


「美穂さんが苦しいのは分かります、彩芽さん達が保管している物も研究物も危険なのは理解できます、でもだからって彩芽さんを殺すのは・・何か違うじゃないですか」


「甘いことを人の不幸も死も見たくないだけだろ」


「そうですよ、甘いですし見たくないですよ」


「だったら今すぐ立ち去るか私を殺せ、そんな何の覚悟もない言葉で動くほど私の覚悟は揺るがない、そんな甘い考えで人を殺そうとしていない」


「私の言葉がどれだけ軽くて責任感がないのかわかってます、だけどここで立ち去るのも殺すのも嫌です」


「なら無理矢理でも立ち去らせてやる、とっとと剣を握れ」


「拒否します」


「はあああ!!!」


「私は戦うために魔法少女になったんじゃないんです、皆を・・困ってる人を助けるためになったんです、今は彩芽さんもあなたも助けたい」


「なら私にどうしろと、今の気持ちを押し殺して生きていけと、家族を失ったこの気持ちをこの怒りも悲しみも押し殺して生きろと」


「わかりません!!」


「何がしたいんだお前は」


「わかりません、あなたが正しいのか私が間違っているのか、きっと今の私が子供で甘いから考えても正解は分からないんです」


「何を言って・・・」


「だからわかるまで待ってください、私が正解が分かるようになるまで、きっと今の私が決めたらダメなんですだから」


「ガキが生半端に口答えを」


「ガキですよ、ガキだから分からないんです、だから待ってください待ってくれるまでこの腕は離しません」


 凪は美穂は抱きしめる両腕を強く締め付ける。


「イダダダダダ!!!おい!離せ!」


「絶対に離しません」


「このクソガキ・・・っちクソが分かった、わかった」


 美穂は凪の頭をポンポンと叩きながら降参すると凪は力を弱める。


「離せよ」


「ちゃんと言ってください」


「待つ答えが出るまで、ああ~もうクソなんでこんなことに」


 凪は美穂から腕を離すと美穂は疲れたように床に座り込み、今までため込んでいた鬱憤をはらすように言葉を発する。


「なんて馬鹿馬鹿しい」

どうもおばあちゃんが亡くなりました作者です、いつ死んでもおかしくはなかったし覚悟はしていましたが少し心に来るものはありますね、ただここ最近亡くなる方が多かったらしくおばあちゃんの葬式は1週間後になります、とても悲しい延期理由ですね。

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