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第13話 舞台上の演劇者

 凪は真琴の手を握り締めながら中学校に到着した、手を繋いだまま真琴のお姉さんが居る部活に案内しようとしたが真琴は「ここまでで大丈夫です」と丁寧な口調で断り早々と職員室に向かった。


[礼儀正しい子でしたね]


「そうだね、でもなんで職員室がある校舎に行ってるんだろう」


[あの校舎には部室はないんですか]


「理科部や家庭科部とかの室内部があるけどあの校舎には先生用と来客用の入口しかないんだよね、こっそり入るなら生徒用の方がいいのに」


[許可を貰いに行ってるんでしょうか、それより早くバンドを取りに行ってください、アレがないと変身出来ないんですよ]


「分かってる、分かってるから、そんなに言わないでよ」



           ~~~~体育館エリア~~~~


 夕日中学校の体育館は用途ごとに区間が分かれており、1階には室外プールに卓球室に柔道室に剣道室に更衣室、2階には全校生徒が入る体育館がある。基本的に体育の授業や卒業式や入学式は2階の体育館が使われ1階は部活動の使用が多く授業ではほとんど使用されない。


 そのため1階はかなり匂う、更衣室からプールの廊下は少し濡れいるし、そもそも更衣室にはドアがなく、駅のトイレのように中が見えなくなっているだけ、そのため更衣室にある部員の汗が染みこんだ服の匂いとプールの塩酸の匂いが混ざり何とも言えない匂いがする。


 そのため凪は体育館エリアに来てから鼻での呼吸を抑えていた。


「・・・・」


[で、何で体育館に来てるのさ、バンドは教室だろ]


「そうなんだけど教室の鍵を持ってる先生が水泳部の顧問なの、だから取りに行かないと行けないんだ」


[なるほど所であれは?]


 クラフトは体育館の下駄箱前の廊下の突き当りを指差す。


 突き当りには水泳部の水着を乾かす為の部屋がありその部屋の前で数名の生徒が言い合いをしている。


「水泳部のみんなだ、それに蟹山先生も居る、でも部屋の前で何してるんだろう」


 先生に用事がある凪は急がずに廊下を歩く、遠くて聞こえなかった言い合いが徐々に聞こえ凪はなんとなく理解した、どうやら干していた水着が何者かに盗まれたらしい、で朝の部活終わりに干すのを忘れていた男子生徒が1限目の後に部室の鍵を借りて干したらしい。


 で今その男子生徒が盗んだんじゃないかと部員全員に責められているのが今の状況だ。


 正直言ってかなり気まずい、だが鍵を持ってる先生がその気まずい所にいるのだからいくしかない。


「あぁ~、なんか気まずいタイミングで来ちゃいましたね先生」


「ん?猿渡かすまないが今は」



「ふざけるなキモイんだよ」


「だから違うんだ僕じゃない、なあ領」


「諦めろ南」


「だから僕じゃない」


「あれ、南くんじゃん」


 現在水着どろの疑いをかけられている男子生徒は凪と同じクラスの田中 南で前期級長をしている、身長は170cmで凪と同じ無能力者、同じ小学生を卒業し小中合わせて5回同じクラスになってるためかなり仲がいい。


 南は人当たりがよくリーダーシップもあり水泳部の次期キャプテンと言われる人物で、南をよく知っている凪は南が水着を盗むようには到底思えなかった。


 だがテレビでよく流れるインタビューでこんな台詞がある「そんなことする子じゃないんですけどね」一度は聞いたことがあるだろう、所詮人間は薄っぺらい表面しか見ないのだ。


「このっ!!」


 1人の女生徒が南の胸ぐらを掴もうとし、凪は咄嗟に南の前に立った。


 なんて無駄なことをする奴だ無視して鍵を貰って帰ればいいだろうに、暇な奴だ。


「お、落ち着いてください皆さん」


「なによあんた邪魔よそこをどいて」

「そうよ部外者が話に入ってこないで」


「南くんがこんな事すると思いますか、一旦落ち着いてください皆さん」


 凪は南をかばい興奮気味の部員を何とかなだめるが南に対する空気は全く変わって居なかった、それどころか少し冷静になった事で精神的に来る言葉で南を非難する。


「ごめんな変なことに巻き込んで」


「別にいいよ、で盗んだの」


「盗んでないよ」


「絶対うそよ、あんた以外誰がいんのよ」

「そうだそうだ」

「早く吐いた方が身のためだぞ」


「だから違うって」


「南くん本当でも私は引かないよ、逆に隠す方がみっともいよ」


「え?僕がそんな事をする人間じゃないて言ってたよね」


「それは・・そうだけど」


 凪は分かりやすく目をそらした。


 当然だ薄汚い水着どろに誰が味方するだろうか、するわけがない。


「違うんだ本当に僕じゃないんだ、信じてくれよ」


「と言われても」


 なんと往生際の悪いガキだとっとと認めれば楽になれると言うことがその年にもなって理解出来ないのか。


「そんな奴放っておけ凪」


「領くん、そう言うわけには行かないでしょ同じクラスだしこんな事する人と5年間同じクラスだなんて思いたくないし」


「それが理由かよ、悪いがこいつは…」



「なぜ確信しているんだい大月 領」


  領の台詞を中断し10人ほどの部員の間を小さい体で掻い潜りながら謎のバッグを片手に持つ真琴が現れた。


「ん?小学生」

「なんで子供がこんなところに」

「誰?」


「あれ真琴ちゃんだお姉さんの部活はよかったの」


「まぁ少し用がありまして」


「おいなんで俺の名前を知ってる」


「そうですね野上 佐山さんの件で来たんですが、その前にこれを」


 そう言い謎のバッグを床に置く。


「あれこのバッグ1週間前ぐらいに無くした南くんのバッグだよね」


「あれ本当だなんで」


「さあ、なんででしょう大月くん」


 そう言いながらゆっくりとバッグのチャックを開けるするとそこには無くなったはずの水着が入っていた。

 どこかの後書きで真琴を主役にした話を何話か書いてると言ったんですが、このまま没にするのもアレなのでどこかのタイミングでその話を出したいと思っています。


 ただ…どこタイミングで出そうか、この話が終わったら出そうかな。

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