第119話 目覚める力
『な、何が起きたの』
会場が騒然とし、その光景を見ていた全員が息を呑んだ。
凪に放たれたレーザーが突然停止したかと思えば花びらに変わり辺り一面に散らばったのだ、困惑が広がり誰もが疑問に思う中凪は何もない空中に着地すると空にいる楓を見つめる。
「研究したって聞いたけど、これは研究データにあった?」
「ないな魔法か何かか」
「使いたいけどそれはほらルール違反になるじゃん、だから使ってないよ、私が使ってるのは能力だけ」
「驚いたな、再生能力の他に別の能力があったとは」
「実は元々そんな能力じゃなかったりして」
「ハッタリはよせ、どんな秘密があろうが無かろうが私の勝利に変わりはない」
楓はそう言いながらただでさえ短いスカートをめくると、そのスカートから大量の爆弾がばら撒かれ凪の元へと雨のように降り注ぐ。
『な、なんて量だ!!』
「まだ終わらん、こいつもくらえ」
さらに追撃と言わんばかりに手を伸ばして手のひらから巨大な花火を放つ。
「おいおいうそだろ」
「逃げろ逃げろ!!」
「落下花火!!」
大量にばら撒かれた爆弾が巨大な花火によって引火し空中で地上の船すら揺らすほどの大爆発を引き起こす、爆発音と共に煙が舞い、大きく船が揺れ数名の選手が脱落する。
『わ…わあーお、今の一撃で15名が脱落』
『凄い威力です!!これにはマジカル選手も一溜まりもありませ』
「……ん?」
黒い煙が空に立ち昇ると楓は勝利を確信した笑みが崩れ煙の中を見る、煙の中から何かが近づいて来ていたのが見えたからだ、楓はその近づいてくる何かに向かって花火を放つがその花火は何かに当たる寸前に消滅した。
「くっ…ずっと手を抜いてたわけか」
煙の中から勢いよく伸びてきた腕が彼女の両手首を掴む。
「捕まえた」
「ちっ」
楓は凪の姿を見て驚愕し、その腕から逃れようと暴れるも凪の力は強く全く振りほどけない。
「手を抜いてたつもりはないんだよ、ただ…その…」
ガン!!
「いった!!」
「話しすぎだ」
楓は雑談をしようとしていた凪の頭に頭突きをくらわせ両手を離させると首を掴み、空を飛ぶほど燃えている足を上にあげることで勢いよく地面に急接近し船に凪を叩きつける。
その勢いは船を真っ二つに叩き割り、大きく船を増やし観客席にまでその残骸が飛んでくる、凪をその割れた所から凪を突き落とそうとした、だがその凪と船が眩く光り輝く。
「眩しい!!」
その眩しさに驚き楓は凪から手を離し、凪は何もない空中で着地すると船が大きく震え、真っ二つになった船が元に戻り、まるで新しく作ったかのように綺麗な船に変化する。
『こ、これは…いったい』
『ふ、船が元に戻った!!コレは一体どう言うことでしょうか司会のクラフトさん』
『[そもそもマジカルの能力は再生じゃないのさ、再生は本来の能力の一部に過ぎないからね]』
『本当の能力?』
〜〜〜禁足地・神々が眠る山〜〜〜
話を少し戻そう、ここは神々の死骸で作られたと言われ現在ボブが管理している山、山に現れた密猟者ハイチュリオンを撃退したことで山に認められた凪は巻き戻しの泉に体をひたした。
「何コレ!!」
『泉が正しく機能したようです、気分はどうですか、何か変わった感覚が…』
泉と共に凪の体が光り輝く、それと同時に神殿全体が大きく震え柱に巻きついて来た蔦が消え、斜めになっていた神殿が真っ直ぐになり、割れていた床や崩壊した壁や元に戻っていく。
『これは驚きましたね』
神の生まれ変わりである黒猫は目をぱちぱちとさせながら凪を見つめる。
『何をしても直ることがなかった崩壊した神殿が元の姿を取り戻すとは』
[凄いじゃないか凪]
「え?何がって…うわぁ!!なんか綺麗になってる」
[君がしたんだろう]
「え?私が?うそ」
『かなり強力な能力を持っていたようね、目的は分かりませんが封印した理由があると感じさせますね』
「そ、そうなの?いまいちその…よくわかってないんだよね私の…その本当の能力?」
そう言いながら泉から出ようとしたがそう言えば服がないと気づいて再び潜って体を隠した。
[…その凪流石に出た方がいいんじゃないかな、よくわからない泉にずっといるのは危険だよ]
「で、でも…ほら服ないしさ、そそれより結局能力ってなんなの?元に戻すとかそういう系?」
[時間の逆転か、確かにそれならあの再生能力にも納得はいくね]
『いいえ、あなたはそれより素晴らしい力を持っている、モレキュール…ある意味現実の操作とも言えますね、あなたの能力は分子を操作している』
「……え?」
『現実のベースとなる情報を編集し整える、その力が契約を得て肉体の再生として力の一部を行使した、泉の力で今のあなたには力の最大限が使えるはずです』
「さ、最大限…か…」
『まあ、あくまでその力を持っていると言うだけです、ノコギリを持っていても10mはある木を切れるかは別の話、上手に使えないでしょうし、使えたとしても一時的なことでしょう』
「そ、そっか…」
『慌てることはありません、あなたも生まれた時から歩けたわけじゃないのです、地道にコツコツ力を使う準備をすればいいのです』
[そうさ、慌てなくてもいい、本来の能力がなくても君は既に強い、いきなり強さを求める必要はないさ]
『そうです、逆に使わないほうがいいかもしれませんね、肉体がまだ能力に追いついていませんし、コントロールも難しい今はそんな能力がある程度に頭の片隅に入れるだけでいいのです』
「わ、わかった、分子の操作か…一応今の状態でも使えるんだよね、さっき神殿を綺麗にできたし」
『はい、他の能力のように常に使えるわけではないと言うだけです、今は一時的な使用が限界でしょう、能力が使えるのは1日5分程度、それ以上は使えないと思っておいてください』
「5分か…」
〜〜〜現在〜〜〜
「…5分ね……」
楓の戦いからもう既に10分が開花し、最初に能力を使ってから5分が経っていたもう能力は使えない、そう言われたからではなく凪自身の体が使えないと伝えていた。
黒猫から教えられた分子の操作、それに頼ることはできない、だが凪の顔は自信に満ちたような表情をしており、手を振って目の前の楓を挑発する。
「まだ私は落ちてないよ」
「ふん、なら今から落としてやろう」
どうも追越車線で50キロ走ってる車が嫌いな作者です、最近通勤で道はなぜか毎回渋滞なんですよ、しかも大体その原因が先頭が50キロで走ってるからなんですよね、別に1車線目はギリわかりますけど、なぜ追越車線にまできてずっと50キロで走る、それなら1車線目にいとけよ。
そのせいで救急車が路駐している時に追い越すのに時間がかかるんですよね、なぜわざわざ追越車線に来てまで50キロで走るんだよ免許取り直してこい、とまあ愛知県ではわりかしあるあると言うかよく見る普通の光景ですね、全員教習所いけよ。
さて、今回では凪さんの能力が判明しましたね、後付けだろと思われるかもしれませんが投稿前から既に設定してはいたんですね、まあ伏線という伏線は少ないんですけどね。
一応凪さんが初めて変身した時に自分の名前が思い出せなくてアツカマーシとか言っていたんですがそれが伏線だったりしています、アツカマーシと言うのは宇宙忍者ゴームズと言うmarvelの日本翻訳版があって、そのキャラクターは原作だとモレキュールマンと言う名前なんですよね、そのキャラクターは分子を操作する能力を持っていて、凪さんの能力はそれだと言う匂わせになっていたんですよ。
まあ誰がわかるんだよと思うかと思いますがそれが伏線になっています、他にも探せばちょくちょく出てくるかもしれませんね、さりげなく海回かどこかで他者の傷を治してたのも伏線の一部ですね。
実は能力に関してはまだ隠している話があるのですが、眠いのでそこら辺は次回の後書きに書きますね。