第94話 2人で超える
「ふん、終わったな」
ビームが放った斬撃が確実に太一とグラウストに命中した、空間すら割れるほどの威力の斬撃、穴を掘るだとか空を飛ぶだとか攻撃して弾き返すだとかその程度の事で回避する事はできないし防ぐことも出来ない。
自らを最強と言っているビームが放つ最大火力の斬撃は2人に当たると同時に周囲の空間を破壊し大爆発を引き起こす。
大きな揺れと共に砂埃がビーチに舞う、叫び声や涙を浮かべていた逃げ遅れた人達はその光景に絶句し息を止める沈黙が続く、日の当たるビーチに海の流れる音とビームの声だけが響く。
「フハハハ、まさかここまで苦戦するとはな、思っても見なかったでござる、だが…所詮は怒りに飲み込まれた力よ吾輩にはおよばなかったな」
ビームはそう言うと刀を鞘にしまいその場を去ろうとした瞬間、ガサッ、と砂埃の中から音が響く。
「なんだ…」
ビームはその音に反応し刀の持ち手を握りながら後ろを振り返ると砂埃の中に青い小さな光が眩く輝いていた。
「……何者だ」
小さな光が徐々に徐々に大きくなり人型を形成する、その光は2mはある巨体で左手には50cmの悪盾をもち、右手には螺旋状の聖槍を携え、背中にはマントを羽織っていた。
その光が右手を上に掲げた瞬間光の周りに竜巻のような風が吹き砂埃を吹き飛ばしてその姿を見せる。
光の主は赤と白の聖騎士を思わせる姿をしており、黒い盾と青い槍をかがげ、緑のマントが風になびかれる。ビームはそんな主に先手必勝で斬撃を放つが主はその斬撃を後も容易く盾で塞いだ。
「その立ち姿只者ではないな」
〔私の名はグランリューズ、頭の中に刻むとよいお前を倒す者の名だ」
「倒すか…吾輩をか、舐められたものでござるな」
〔ここはひけ、私が槍を下げているうちに」
「面白い冗談でござるな、吾輩がお主に負けるとでも」
〔勝てないさお前は」
リューズの安っぽい挑発にビームは0.1秒で乗り、目にも止まらぬ速さでリューズの懐に潜り刀を振るう、その速さは肉眼でとらえられる速さでなく光を超えていた、そんなスピードにリューズは対応し刀を盾で防いだ。
「ほう」
〔もう一度聞こう、なぜこんな事をする、あと何人死ねばお前は満足するんだ」
「満足?しれたこと、吾輩は止まらない、生きている限り戦い続けるのみ」
〔哀れな」
「なに?」
〔戦うことを運命付けられた存在と言うのなら、私がその役目から解放してやろう」
「口だけは達者でござるな、その気ならば行動で示すでござる」
ビームはそう言うと一歩を踏み出しリューズに切り掛かる、ビームの刀は眩く輝きそしてとてつもなく早く複数の残像が見えてしまうほどだった、普通ならそんな攻撃を捌き切れるわけがない、だがリューズはその攻撃を一歩も動かずに全てさばききる。
流石にこのままでは埒が開かないと感じたビームは高速で刀を振るいながら背中に隠していたもう1本の刀にエネルギを集め、そして地面を切って砂埃を作り出し視界を隠すとその砂煙に体を隠す。
「……そこだ」
煙に身を隠したビームはリューズの背後に周ると使っていた刀を鞘にしまい背中の刀を抜き最大火力かつ最速の斬撃をほぼゼロ距離で放つ。
しかしリューズはいきなりバッグジャンプをしたと思うと勢いよく左腕を振り斬撃を盾で打ち消し、槍をふるいビームの刀を真っ二つに切る。
「なんと、吾輩の刀が」
刀が切られ驚いているビームの腹を蹴り5mほど吹き飛ばすと盾で身を隠すと盾に魔法陣が浮かび緑色の光を放つ。
〔チェックメイト・リーチ」
そう言うと盾から緑の光線が放たれた。
「こんなもの!叩き切ってくれる」
鞘にしまった刀を抜きその光線切ろうとした、しかし光線が刀を通り抜けビームの鎧も通り抜け鎧の中の体を直接攻撃する。
「ぐおおおおおあお」
光線をまともにくらったビームは地面に膝をつき今までに見たことないぐらい疲れている様子をみせる。
「はあ、はあ、はあ…この吾輩が」
〔お前の負けだ」
「吾輩はまだ負けておらぬ!!」
ビームはボロボロの体で刀を握りしめ走り出す、そして振るうがリューズはそれを横に避けてかわし、海がある方向にビームを蹴り少し濡れた地面に膝をつかせ首元に槍先を突きつける。
〔まだやるか」
「この命尽きるまで」
〔辞めるつもりはないんだな、なら…」
リューズは槍を引くとそのまま突き刺した。
「……な…」
しかし槍はビームの顔の横を通りあらぬところを攻撃していた、だがその攻撃が狙いを外した物ではないことをビームはわかっていた、わかっているからこそなぜ狙いを外したのが理解できなかった。
なぜ外したんだと思い後ろを見た瞬間、槍から放たれた衝撃波が後ろの海をモーセの滝のように二つに割れていたのだ。
「…なぜだ、なぜ外した」
ビームのそんな問いにリューズは何も答えずに槍をしたに下げる。
「情けのつもりか、それとも自分の手は汚したくない弱者か」
〔そうだ、この世は貴様の言う弱者で支え合いまわっている、本当の強者などいない私もお前も弱者1人で支え合う存在だ」
「くだらん…所詮は手を汚す覚悟もないだけだ」
〔ああ、私は全てを守り皆の笑顔を守る、お前を殺しても笑顔は守れない、与えるのは不安も恐怖だけだ」
「もういい弱者の言い訳など聞くに耐えん」
ビームはそう言うと立ち上がり何もない空間に向かって刀をふるい空間に亀裂を作り出すとその中に入って姿を消した。
どうも大遅刻した作者です、ここからは言い訳なんですが2日前は仕事で疲れまくりましてかけず1日前はなんと会議で家に帰って来たのは8時30分でそこからご飯やらお風呂やらをしていましたら9時30分でまともに書く時間がありませんでした。
さて、後書も書くことがないので今回は言い訳で終わります、では