第91話 ユウキだけじゃ届かない
「俺の友達に手を出すな、ブリキやろう」
大和はビーチボールを投げビームを後ずらせる。
「大和くん何してるんです逃げましょう」
「そ、そうよ」
「逃げるだとあいつを置いていくのかよ、悪いがそんな事はしないぞ」
「いい心がけでござるな、だが死ぬ事は考えないでござるが」
「知らねえよ、けどなそいつみたいに友達がやられてるのを見て何とも思わない奴じゃない」
「なら来るでござる、だが来るなら覚悟するでござる」
「ああ」
「大和くん!!」
大和は走り出し太一の元に向かう、しかしビームはそんな事を眺めているほど心は広くない、直ぐにでも攻撃仕掛けようと空中を殴った、しかし衝撃波が出る事はなかった。
「なぜでござる、なぜ出ないでござる」
ビームは戸惑いながらリーチの方を見る。
「リ、リーチくん」
リーチの体が緑色に発光していた、それはリーチの能力が正しく機能していることを表している、それは視界内の能力者の能力を使用できない状態にする力であり能力が使えず困惑しているリーチをよそに大和は太一の元に辿り着く。
「あの幼児…」
「おい、大丈夫かいくぞ」
大和は太一の手を取り引っ張りながら逃げる、しかし
「逃す思うか」
ビームの殺気がこもった声に大和は一瞬足を止める、その止まった一瞬で大和に近づき大和を思いっきり蹴り、大和は手を離す。
「ぐ…」
能力を使用していないただの蹴りだが大人の全力の蹴りは大和を吹き飛ばされ地面を転がり、蹴られた腹をさする。
「が…くそ……イテェ」
「そこで見ているでござる」
ビームは太一の首を掴むとそのまましめ殺そうとする、例え能力がなくても人は殺せる、そんなことを証明するみたいにリーチを睨む。
【………】
「そんな、ダメめ!!」
「や、やめろぉおお」
大和は拳を握りしめるとその拳にエネルギーが集まり青色の輝きを放つ、そのエネルギーを解き放つようにビームに殴りかかる、この拳はビームの甲冑を凹ませひびを入れる。
流石の痛みにビームも太一を手から離す。
「なんだと」
「…や、大…」
「はあはあ…帰るぞ…たい……」
「この死骸にたかるハエのようなクソガキがぁあ!!」
太一は曖昧な意識の中、目を開き見る。
ビームは怒りに任せるまま大和の頭を左手で掴むと顔面に膝蹴りをくらわせ歯が折れ血を流す大和の体を思いっきり殴り風穴を開ける。
「そ、そんな…大和」
「大和くん!!!!!!」
ビームは左手を離し地面に落とすとその頭を踏みつける。
「吾輩が子供だからと言って手を抜く甘い人間だと思ったか」
「…あ……あぁ……」
ビームは大和から足を離すと拳を握りしめながら地面に倒れる太一に近づく、あちこちの骨は折れ口からは血を吐いている、誰がどう見ても立てるわけがないのは一目瞭然。
「ほう、立ち上がるか」
「くくくく ハハハハハ」
「なんだ」
立てる状態じゃなのにも関わらず太一は立ち上がった、だが様子がおかしく目が赤く光り白髪の髪が銀色の光を出すと同時に黒く禍々しいオーラのようなものが溢れ出し、それが背後の空間を歪ませ蜃気楼を作り出していた。
そんな異様な光景にビームは震える、しかしこの震えは恐怖から来るものではなかった、心が奮い立ち体がこたざまに震える武者震いだった。
「なんだこれは」
「我の怒りに触れるか」
「あ、あれ」
ビームの背後から声が聞こえ恐る恐る振り返るとそこには風穴を開けて殺したはずの大和が立ち上がりながら自分の体に触れる姿が映っていた。
「お、俺…」
「な、なんだ、なんで傷が」
太一の体の傷は既に治っていた、たがビームはそんな事は全く気にならなかっただろう、なぜなら目の前の空間が歪み水彩画のように変わっていっているのだから。
「これはふん…面白くなって来たでござるな」
〔グルルルル〕
ビームは剣を握ると倒れていたグラウストが力なくゆっくりと立ち上がり水彩画のような蜃気楼に消えていく。
「行け、グラディウス」
太一がそう呟くと同時に蜃気楼がガラスのように割れそこからグラウストに似た赤い龍が姿を表す、20mは軽く超える大きさで翼はボロボロで目には正気はなく殺意のみがあった。
殺意のこもった牙と爪に怒りを現すような炎が全身を包んでいる、その姿は龍の姿をした悪魔のようにみえた。
「なんですか…あれ」
「グラウストなの」
「グラディウス、ゲームの事でござるか?それとも岩をも砕く力を秘めた槍のことでござるか、後者だとすれば面白い冗談でござるな、吾輩が岩より脆いと」
「なぜこんなことをする」
「弱肉強食ことか世界の真理、弱者などこの世に不要で必要ないでござろう」
「古いなそんな時代は終わったよ、弱肉強食の世界だったら警察なんていないさ」
「だからどいつもこいつも弱い、戦うのが嫌だから怖いから、そんな理由で戦う道を捨てて弱くなる、だが実際はどいつも実際は戦いを求め、他人を傷つけ優劣をつける
イジメや差別で結局は何も変わらない、だからこそ弱者に価値はない、この世は所詮戦う道を捨てた武者で溢れている」
「もういい、所詮は聞くに耐えない雑音だ」
「そうだな、御託は不必要でござるな、とっととかかってこい」
空の雲が黒くなりポツリポツリと黒いインクのような雨が降り出し雷のような鬨の声がビーチ中に響き渡る。
「殺せグラディウス」
〔グオオオオオオオオオ!!〕
いたいのいたいの飛んでいけのPVを今頃見て絶句している作者です、かれこれ公開されて1ヶ月経ちオススメに何回か出てたんですがなぜ今見たのかと言うと…なんか嫌な予感がしてたからですね。
とは言え錠剤を歌ってる人と同じと言うこともあり見たんですが…見なければ良かったですね、見るたびに精神がえぐられる感覚がするのに何回も見てしまう中毒性があって時間がなくなります、暗い話を書くときにはループして聞いたらえげつない話が書けそうです。
さて、そんな話はほかっておくとして、今回出て来たグラディウスですが分かると思いますがグラウストが進化した姿です、実はこのグラディウスは少しですが前から登場?していました。
登場と行っていいのかあれですが第56話でユカイに倒されたグラウストが復活して変化するような描写がありました、まが完全に変化してませんでしたが、あの変化が完了したのがグラディウスになっています。
で、56話で復活して変化しそうになってたのがもう1人居ますよね、つまりは…そう言うことです、まあ随分後の話ですけどね。