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第86話 輝ける場所

 〜〜〜数年前〜〜〜


 この日は翼達の全国ライブの日だった、いつも通りの大変で疲れるけど楽しいライブになるはずだった、左右に揺れながらマイクを握り歌う、そしてくるっとアイドルらしくターンを決めたその時胸を締め付けられるような頭が翼を襲う。


「あ…あ………」


「スメル?」


 呼吸が上手くできず、歌の歌詞が脳裏から吹き飛びバランスを崩して舞台から落ちる、すぐに他のメンバーとマネージャーが駆けつけ楽しい全国ライブは終わり、永遠に開催される事はなかった。


 その後、病院での診察で心臓病が発覚し、その後手術を受けるが激しい運動は出来なくなりアイドルを引退した。普段はテンションが高い翼だったが引退を発表した日はどうしようもないぐらい落ち込んでいた。


「はぁ…最悪」


 そう言いながら缶ビールを握りつぶす。



 〜〜〜現在〜〜〜




「はぁ…最悪」


 バナナボートに乗って数秒で振るい落とされた穂乃果はため息をしながら日陰で体操座りをしながらビーチを眺める、言ったらアレだが死んだ魚のような目をしている。


 翼はそんな死んだ目をしている穂乃果の頭に冷たいジュースを乗せる。


「ジュース買って来たよ」


「…うん」


「どったのテンション爆下げじゃん」


「だって海来たくなかったし 暑いし そこまで楽しくないし」


「うそ楽しくなかった、ごめん」


「べ 楽しくないわけじゃないんだよ ただ…ゲームしてたほうが楽しいと言うか その…やっぱり外に出るのが怖いし」


「無理させちゃったかな…ごめん」


 そう言うと翼は穂乃果の隣に座る。


「前々から思ってたけどなんで翼さんは私に構うの? 同じグループの人よりも私と遊んでる時間長いじゃん」


「それは…楽しいからかな、特に理由はないし…それにリーたんが可愛いからさ」


「可愛いって 別に私は…」


 穂乃果はそう言いながら能力を使って翼に変身する。


「誰にだってなれる その可愛いは私の物じゃなくて 私が変身した人の物でしょ それに配信で使ってる姿も絵師(ママ)が書いた可愛いで私が言われてるわけじゃない」


「見た目じゃないよ、リーたんは中身が可愛いの」


「中身って…こんな引きこもりのダメ人間が」


「そんなこと誰も思ってないよ」


 穂乃果は何かを思い出したのか暗い顔をさせながら自分の姿を普段使ってる姿に戻す。


「そんなに嫌だった…外」


「ち 違うよ その…昨日やったんだよ」


「なにを?」


「エゴサ」


 よく有名人が「自分のことを他人はどう思っているのか」気にして検索することがある、調べた結果良いことを言われていることを期待するかもしれないが人というのは醜くネットはその醜さが凝縮されているもの


 人と言うのは良いことよりも悪いことに目がいく、環境保護団体がいい例だまともな活動をしている人間はいるが目に入るのはペンキをぶち撒ける集団だけ。


 穂乃果のリアルイベント参加に感じて賛否が別れている、さっき言ったように言い意見よりも悪い意見の方が目に入り心のそこに深くつき刺さる。


「絵は承認欲求が高すぎる 絵ってだけで自分可愛いアピールするのがイタくて見てられない 金の本当の使い方を知らない馬鹿しかいない日本は終わったな 養豚場の管理者もブタだな 障害者が表舞台でるなよ 被害者ぶった態度が気にいらない とっとと死ねよ 母親がいないせいで精神が未熟なんだろ」


「き、気にしないほうがいいよ」


「調べれば調べるほど そんなことしか出てこない 忘れようとしてもずっと脳裏にこびりついて離れない 自分が楽しむのもそうだけど人を楽しませようと思って配信してるけど…本当にそれって楽しませれてるのかなって」


「…そ、そうだな、えーっと…リーたんの自分が1番輝ける場所はどこ」


「か 輝ける場所」


「リーたんの事を聞いた時に炎二さんが言ってたんだ、どんな人間にも輝ける場所があって輝ける場所が必要だ、俺は警察をしている時が1番輝けるように娘にとって配信が1番輝ける場所なんだと思うって」


「パパがそんな事を」


「こんな事も言ってたかな、ある犯罪者は強盗がやめられず何度も捕まる、その犯罪者にとって強盗をしている瞬間が1番輝けて1番自分らしく居られるのだろう

だけどそれは本当に輝けているか

他人を蹴落とし馬鹿にして嘲笑う、そんな事で輝いて満足してる奴をとても哀れに思う、自分自身の輝きが歪んで汚れていることにも気づけない、そんな奴の意見を聞く必要はない」


「……輝ける場所」


「うん、私もそう思う、誰に何にを言われても今いる場所を離れるつもりはない、だってそのが1番輝けて皆んなを笑顔にできる場所だから」


「でも気になるんだよね…どうしても翼さんみたいにメンタル強くないから」


「気にしないのが1番だよ、心臓の手術が終わってネットを見たら酷い事しか目に入らなかった、やっと死んだとか自分が可愛いと思ってるのが気色悪いとか、どうせ彼氏だろとか

私っていつもヘラヘラニコニコしてたから、みんな殴っても良い人だなんて思ったみたいで容赦なく私をストレス発散のサンドバッグにしてくる、気にするななんて無理な話だよね」


「う うん」


「そう言う人って本当にただ叩きたいだけなんだよね、もし私が辞めても別の人を叩き出す、そう言う人間は本当に輝けているとは思えない、だから気にする必要なんてないんだよ、そんな人のためにわざわざ自分が舞台から降りる必要なんてないんだから」


「気にしないか…出来るかわからないけどが 頑張るよ」


 今の会話で気分が晴れたのか穂乃果の表情は少し明るくなっていた、まるでつきものが取れたような表情を見て翼は少し笑顔を浮かべながら頷く。


「うんうん頑張れ頑張れ」


「所で話戻すけど可愛いだけなの?」


「え?なにが」


「ほら私と遊んでくれる理由って 他のメンバーにも可愛くて楽しい人はいるじゃん 私みたいな捻くれた性格の人じゃないいい人が」


「確かに他にも友達はいるけど…その…リーたんは特別だからさ」


「特別?」


「ひ、ひかないで聞いてくれる、自分でも恥ずかしいし情けない理由だから、できれば聞かないで欲しいかな」


「別にひかないよ その特別な理由ってなに」


「実は私子供を産めないんだ、悪かったのは心臓だけじゃなかったの、私さ…アイドルだから子供は作らない結婚はしないとか思ってたんだけど…その事を聞かされた時に気づいたんだ

やっぱり結婚して子供が欲しかったんだなって、心のどこかではずっと願ってた、引退したら結婚するとか考えてたけど…それはもう叶わない」


「そうだったんだ それが理由と何の関係があるの?」


「その…ひかないでよ」


「ひかないよ」


「リーたんのことを自分の娘のように思っちゃう時があるんだ、へへへごめんね他人の子供を自分の娘って…馬鹿馬鹿しいよね本当何言ってるんだがハハハハ、恥ずかし」


「別にいいよ」


「え?」


「私は…その…翼さんが私の事を娘だと思ってても気にしないよ だって一緒にいて楽しいし私に色々教えてくれた人だから 笑ったり馬鹿にしたりしないよ」


「リーたん」


 翼は涙を浮かべながら穂乃果に抱きつく。


「ちょ暑いしきついよ と言うか泣いてる?」


「うぅぅ…だってさリーたんが私の事ママだって」


「言ってないよ 別に娘と思っててもいいとは言ったけど ママだと思ってはいないって」


「ぐずんうぅぅ……」


「もう泣かないでよいい大人が!! もう離れてってよもう はぁ…本当に最悪」


 そう言いながらも穂乃果はニッコリと笑っていた。

どうも最近描き終わるのが23:30分とかで後書きを書く時間がない作者です、書いてて思いましたが今回のエピソードは今までの話の中で1番長い話になるかもしれませんね、平均8話ぐらいで終わってる今作ですが今回のエピソード戦闘シーンに入っていないのに7話も経っているんですよ。


まだ次回を書いてないのでアレですが次回の最後でやっと戦う感じになりそうですし、今回ほぼ全ての幹部が集結してるので自然の話が長くなりそうなんですよね、もしかすると歴代最長になるかもしれません、こうなったら前半後半で分けた方がいいのでしょうか、ここら辺は完結してから考えますね。

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