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短編シリーズ

ロベルト王子は何も知らなくていい

作者: だるは

 あるところにロベルトという王子がいました。優しいお母様と厳しいけど温かいお父様に見守られながら幸せに暮らしていました。


 ロベルトは国を治める王様であるお父様と、お母様がとっても大好きで誇りに思っていました。


 雷の音がうるさい夜も、二人に抱き締められて怖がることなく眠ることができました。


 ある日、通っている学校でロベルトは友達に両親のことを自慢しました。


 『ねぇねぇ、僕のお父様とお母様ね、いつも一緒に寝て抱き締めてくれるんだよ!』


 ロベルトは満面の笑みで話しかけます。


 『……良かったね。』


 話しかけられた友達は少し嫌そうな顔をしました。


 『どうしたの?』


 その反応に不安になってしまったロベルトは慌てて聞きます。


 『ロベルトはいつも王様自慢してるけど、僕王様好きじゃないんだよね。』


 ロベルトは驚いてお父さんのことを必死に考えますが、笑ったのお父さんの顔しか思い出すことができません。

 

 『な、なんで……?』


 『だってあいつお母さんが病気のときも助けてくれなかったし……』


 お父様はいつも忙しいから間に合わなかったんだと伝えますが、その友達は納得しないでどこかに行ってしまいました。 


 その日の夜はお父様とお母様に包まれながら寝ても何故だか不安な気持ちで一杯でした。


 次の日、ロベルトが学校に行くとその友達が来ていませんでした。『どうしてですか?』と先生に聞いても何も答えてくれません。


 クラスの中でもその噂が広まっていましたが、誰も休んだ理由を知らないようでした。


 お城に帰るとすぐにお父様の部屋に駆け込んで、その日の事を全部話しました。


 『ロベルト、お前は何も気にしなくて良いんだよ。』


 お父様はそう言いますが、ロベルトは気になって仕方がなく、何度も聞きました。


 『大丈夫、大人になったら分かるよ。ほら、お勉強に行ってきなさい。』


 お父様が少し寂しそうな顔をしましたが、悲しいことは早く忘れたいので、急いで勉強に向かいました。


 ―――その後、長い年月が経ち、ロベルトはお父様から冠を譲り受けました。民の誰もが、一人残らず称賛する素晴らしい王になったそうです。


 友達が減ってしまったことを気にする様子もなく―――

お読みくださりありがとうございました。

不定期に短編を投稿しております、だるはです。

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