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昔の婆ちゃんの日常

短いです。

 ふよふよと天井を回る、親父の口から出た魂らしきものを虫取り網で捕まえて、親父の口の中にインした後。


 どうも不知火さんちの聖人です…。いつの間にか俺の腕は二本に戻っていて安心したが、さっきの光景は永遠のトラウマ確定だ…。

 新種のポケ○ンになった気分だった。

 ……………いや、腕四本のモンスターがいたな…。推しは皆、妖精タイプだから俺の好みとはほぼ真反対の姿だったぜ畜生。


「柊さん、聖人。大丈夫?身体に違和感はない?」


「僕は大丈夫だよ。聖人は?」

「まだ脇の下にもう一対腕があるような感覚が残ってるくらいで、他に違和感とかはないかな…。それにしても、俺と親父二人して怪奇現象に見舞われたな。新種の病気か?」


 腕が元の本数に戻ったのは嬉しいが、これからもまた突拍子もなく生えてくる可能性は十分にある。

 明日爺ちゃんの見舞いついでに、検査を受けた方がいいかもしれない…。世界初の奇病患者として隔離されることも覚悟せねば。


 しかし母さんと親父と三人で、病院で診てもらおうか相談していると、横から婆ちゃんが待ったをかけてきた。


「えっえっえっ。安心なさい。それは病気じゃないよ。ただの自然現象みたいなもんさ。病院に行ったって異状なんて見つからないよ」

「えっ?お義母さん、何を言ってるんですか?あんなのが自然現象な訳ないじゃないですか」


 婆ちゃんの言葉に親父が食い気味に反応する。

 俺も親父に同意見だ。あんなのが自然現象なら、俺ら以外にもあんな目に遭っている人たちがいるはずだ。

 当然だがそんなの見たことない。ついに婆ちゃんもボケ始めたか?


「えっえっえっ。確かに60年くらい、さっきみたいなことはそうそう起きなかったねぇ。でも、有り得ない光景なんて見慣れてるだろ?特に早苗。アンタは私と爺さん(・・・)の子どもなんだから、今更そんなに驚くこたぁないだろう。えっえっえっ」

「そ、それは……で、でも!あんなことは一度も―――」


 母さんたちが話している横で、俺は婆ちゃんの発言について考える。

 60年……てことは大体婆ちゃんと爺ちゃんが20代くらいか?あ。でも二人は9歳差だし、爺ちゃんは10代だったのかも。


 さっきみたいなことはそうそう起きなかった。そうそうってことは、何回か起きたってこと?

 その話が本当ならうちの家系が呪われてんじゃね?仙孤さんにお願いしてお祓いしてもらうか?

 お祓いっていくらするんだろ。今のところ、婆ちゃんの言ってることって戯言にしか聞こえないけど。


 でも、俺たちが有り得ない光景を見慣れているっていうのは気になるな。そんな光景見たっけ?

 この短い人生で見て来た記憶を呼び起こす。


 ―――あれ?爺ちゃん…?


 そういえば爺ちゃんのやってきたことって、すげぇ有り得ないことばっかりだった。てか、度々疑問に思っていることだ。

 昔から一緒にいたから慣れてしまっていたけど、プロ並みの料理が作れたり、凄い折り紙が作れたりするのはまだしも、他の伝説みたいな話はどう考えてもおかしい事柄ばかりだ!


 百メートルを10秒切る。大量の牛から逃げ延びて、屋根の上までひとっ飛び。この二つは俺がまだ産まれてない時の話だが、目の前に雷が落ちてくるっていう予言したのを俺は見ていた。

 この雷のことなんだが……実はその時、空は曇一つない快晴だった。

 当時の俺は幼稚園児で、爺ちゃんに「なんか面白いことして!」ってお願いしたら、「ああいいぞ。では予言してやろう。そこに今から雷が落ちて来るぞ!」って爺ちゃんが言ったら、本当に落ちてきた。


 幼稚園児だったこともあって「爺ちゃんすげぇ!」で終わってた。俺が目にした中で、あの予言が一番有り得ないことだったかも。

 小さい頃の刷り込みって怖いなぁ…。いや、明らかに刷り込みだけで解決出来ねぇな。


 今更になって爺ちゃんがどれだけぶっ飛んでたか認識させられたな…。


 そこまで考えて、ふとさっき婆ちゃんが言ったことを思い出す。


『えっえっえっ。まるで昔に戻ったかのような光景だね~。えっえっえっ』


 ……婆ちゃんは昔から、この光景を見慣れているものだったらしい。

 そして婆ちゃんの周りでは、これが普通だと……その要因は爺ちゃんと婆ちゃんということになる。


 でも婆ちゃんと二人っきりの時は、特に婆ちゃんが有り得ないことをして……いるけど、それでも走ったりする程度の光景しか見たことないし、爺ちゃん程じゃない。

 てことは……


「ねぇ婆ちゃん?」

「ん?なんだい聖人」

「もしかしてだけどさ……爺ちゃんも腕、生やせたりする?」


 俺がそう言うと、婆ちゃんはニヤリと悪そうな笑みを浮かべた。


「さぁね。()出来るかは知らないよ」


 婆ちゃん。それ、昔は出来たって言ってるようなもんだよ…。

短いって言っても、普段はこのくらい書いて終わってます。

前回までが長すぎた…。


この話が面白いと思ったらブクマ登録と高評価、いいねと感想をよろしくお願いいたします。


次は『陰キャ男子高校生と天真爛漫なアイドル』を投稿します。

https://ncode.syosetu.com/n8186go/

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