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第54話 最終的な作戦

評価&感想はページ下部にありますので、是非宜しくお願い致します。

 俺達は一度長老宅を出てミコト、コトネ、リエと共に村はずれの道を歩く。

この道は既に3回目だ。事あるごとに尋ねていて申し訳ないな。

 今度ちゃんと御供物をしよう。


 そんな事を考えていると目的地に着いた。


 ミコトがいつもの通り祈りを捧げると、ミコトとコトネの両親が顕現する。



 ……なんてこった!そんな場合じゃないのに!

 今回はなんと柴犬の親子だ!

 ダメだ、そんな事をしてはいけない!ダメなのに……!


 俺は子供の柴犬をナデナデする。今回は普通のナデナデだ。これならヤマトも怒らないだろう。


「コースケ君、これはどういう事かな?私は男に撫でられて喜ぶ趣味はないよ?」


 その声はいつもの通り落ち着いているが、やはり表現出来ない恐ろしさを孕んでいる。


「す、すいません……。今回は自重したつもりだったのですが……」


「まあいいよ。さて、君と会うのも3回目だ。今回は全員連れてどうしたんだい?また何か大変な事でもあったのかい?」


子柴犬はその見た目に似合わない落ち着いた声で尋ねてくる。


「いつもすみません、ヤマトさん。今日は今までの中でも一番問題かも知れません。この間ウエノの話をした事は覚えていますか?」


「ああ、もちろんだ。そのウエノがどうしたんだ」


「ええ、実は昨日コトネとリエを連れてウエノに行って参りました。その際にウエノのゴンザという人物に襲われました。奴は非常に強力な精霊使いのようでした。ゴンザという人物をご存じですか?」


「ウエノのゴンザか?勿論知っている。彼はその昔はウエノの有力な精霊使いに仕えていて非常に真面目な男だった。だがその精霊使いの夫婦がいなくなってしまってな。暫くすると彼は豹変した。その後は私達とは反りが合わずにいつも揉めていたのだ」


「それはいつくらいの事なのですか?」


「確か8、9年くらい前だったか。私達が天に召される5年くらい前の事だったからな。その精霊使いの夫婦がいなくなってからは町を我が物のように仕切るようになったみたいだ」


「なるほど、今回私達が遭遇したゴンザで間違いなさそうですね。彼が使役した精霊は非常に強力で、10m大の火の玉を放ってきました。火の玉が落ちた場所は、木は炭になり、土はドロドロに溶けている程です。私達はどうやらこれからそいつらと戦わなくてはなりません。どうかお知恵をお借りできないでしょうか」


「火の玉でそれ程の威力とは……。それはただの精霊ではないね。恐らく妖精、もしかしたら大妖精じゃないかな。」


「ミコトも大妖精の可能性があると言っていました。その大妖精とはどれくらいの力を持っているものなのでしょうか」


「言葉では非常に説明が難しいが……。コースケ君は精霊を知っているな。その精霊が10体集まった程の力が妖精だ。そして、大妖精はその妖精がまた10体集まった程の力だと思ってくれ。だから精霊で計算すると100体分の力だ」


「大妖精一体でそんなに強力なんですか……。でもそれならコトネだったら対抗出来るんでしょうか。精霊を100体使役出来ると聞いていますが……」


「コースケ君、分かっているとは思うが大妖精の方が強力だ。針で100回刺されるのと槍で1回刺されるのはどちらが痛いかね?大妖精とはそういう存在だ」


俺の想像以上だった。 まずい。このままではゴンザ一人にイリヤの村は壊滅させられてしまうかも知れない。


「あの、ヤマトさん。大妖精を使役するのにデメリットはないのでしょうか。あんな魔法みたいな力を何発も喰らったらこの村は消し炭になってしまいます。弱点の様なものはないのでしょうか」


「デメリットというか……。大妖精の力は非常に強力だ。だが、それを使役するのに必要な力も多い。普通の人間であれば大妖精の力は扱えないし、コトネ程大きな力を持っていても、その力を使うのであれば1日に1回か2回が限度だろう」


「ゴンザはどれくらいの力の強さなんでしょうか」


「隠していたら分からない部分もあるが、前に見た時だとコトネよりも小さいと思う。正確に測れる訳ではないので、あくまでも私個人の感想だけどね」


じゃあゴンザが放てるあの火球は1日1発が限度と考えれば良いのか。 これを防ぎ切れればこちらにも勝機が見えてくる。防ぎ切れればの話だけどな。


「わかりました、有難う御座います。少しだけですが希望が見えました。ちなみに、ヤマトさんとマツリさんはこの場は離れられないですよね?後、生前の様な力は使えないですよね……」


「顕現させているミコトの側にはいる事は出来るが、その間ミコトの力はどんどん削られていく事になる。後、私達の生前の力は残念ながら無理だ。生命の力そのものが無いからな。役に立てなくてすまない」


「いえ、とんでもない。色々思いつく事はありました。こちらこそ有難う御座います。これから急いで準備します」


そう言って慌ただしく俺達は村に戻る。呼び出したり離れたり、ミコト両親には申し訳ない。ただ、時間がないのは事実だ。限られた時間で最大限の準備をしなくては。


村に戻り再度戦の準備を始める。



 奴らは弓よりも強いボウガンもしくはバリスタを持っていた。

 アレがあれば防壁の外からもこちらを狙う事が出来る。


 なのでこちらもバリスタを作る。

 防壁の上に固定式の物を作るので、機構が比較的簡単でこれなら今のスキルでも作れる。

 そして固定式は当たり前の様に狙われるので、合わせて盾を作る。


 普通の板では間違いなく抜かれるので、板を複合させて作る。間に薄く伸ばした鉄板を挟みそれを二重にする。ボウガンなどでは流石にこれは抜けないだろう。


 盾で覆われた固定式のバリスタは二人一組で操る。これが防壁上かな4組用意した。

 ただ、全方向から攻めてくる事はないと思うので、6人で4組のバリスタを操作して貰う事にした。


 敵が近づいてバリスタが使えなくなった時の備えとして、火炎瓶を用意した。

 瓶を粘土で薄く作り、村の中で比較的燃えやすい油で100個程作った。


 村人用に手持ちの盾と胸当ても急ぎで作った。

 不恰好ではあるが、致命傷だけは避ける為に作ったのだ。


 あちらの想定以上の兵器への対策はした。後は大将のゴンザ対策をしなくては。

 実は一か八かではあるが、1つの案を考えていた。その為にミコトとコトネ、リエに声を掛ける。


「3人とも、ゴンザと戦うに当たって話したい事がある。とても危険だと思うんだが、3人の力がないと勝てない。協力してくれるか?」


「勿論です、コースケ様。いつでも貴方の側におります」


「この戦いでコースケ様がやられちゃったら、どっちにしてもイリヤに未来はないよね。コトネの本気見せてあげる」


「オレの所為で危険な目に合わせてるのだ。本当ならオレ一人でも戦うつもりだった。何でも言ってくれ、全力で応えよう」


 3人とも覚悟を決めた顔をしている。心強い仲間だ。

 3人を寄せて俺は作戦を伝えた。


おはようございます。


二度寝してしまい投稿が遅れてしまいました…



今日もよろしくお願いします!

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