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第53話 大妖精

評価&感想はページ下部にございますので、是非宜しくお願いします。

 村に着いた俺達はまずはミコトを呼びにいく。


 幸いミコトは家に居てくれた。

 事情の説明を後回しにしてミコトを連れて長老宅へ向かう。

 出来ればダノン、ユキムラにも居て欲しいのだがいるだろうか。


 建て直した長老宅へはノッカーを付けておいた。

 俺達は慌て気味にノッカーを鳴らし訪問を告げる。

 直ぐに中に通して貰えたが、残念ながらダノンとユキムラはいなかった。


「長老殿、突然の訪問すみません。急ぎの用事がありまして伺いました」


「コースケ様、ウエノの町に行かれたはずでは?それにしては戻りが随分早いと思うのですが。それと関係が?」


「ええ、その通りです。ダノンさんとユキムラさんは近くにいますでしょうか」


「ユキムラは隣の建物の監督をしております。ダノンは恐らく作業場ではないかと……」


「分かりました、じゃあダノンさんを呼んでくるので、コトネ、ユキムラさんを呼んで来てくれるか?」


「わかった!」


 今入った長老宅を急いで出て行き、2人を呼びに行く。


 2人とも俺達の剣幕が普通ではない事を察してすぐに来てくれた。


「旦那、嬢ちゃんそんなに慌ててどうしたんだ。ウエノに行ってたんじゃないのか?」


「ええ、ウエノに行ってきました。コトネとリエを連れて3人で。それで今帰ってきた所です」


「随分早かったじゃないか。本当にウエノに行ってきたのか?」


「勿論です。ウエノに行き、予想外の事態に出くわして逃げて来たところです」


「コースケ殿が逃げ出すとは……。それ程の事があったという事か?」


「そうですね。俺がどうのこうのじゃありません。このままウエノと戦うとこのイリヤは無くなってしまうかも知れない。そう思ったので皆さんにお伝えしようと思って急ぎ戻りました。まずは話を聞いて下さい」


 俺は3人でウエノに向かう途中で起こった事、ウエノの町での監視中の出来事を伝える。

 その中で、コトネの精霊が録音して来た音を聞いていない事を思い出した。


「コトネ、あの音は今聞けるか?」


「うん、大丈夫。みんなで聞いても平気かな?」


「ああ、今さら何が出てきても、もう覚悟は出来てる。聞こう」


 コトネの精霊は上手くゴンザの声を拾えてるだろうか。皆が緊張の面持ちで精霊を見つめる。


 

『ゴンザ様、申し訳ありません。逃げ出した精霊使いはまだ見付かりません』


『お前達は何をやっておるのだ!あんな死にかけの小娘1人探せないで何の為にここにいるんだ!いいか、分かってるな。もし今日中に見付けられなかったら……』


『も、もちろんです!今すぐ見付け出します!』


『ゴンザ様、そこまであの娘に拘る理由はなんでしょうか』


『何、たいした事ではない。お前もあの娘が精霊使いなのは知っているな?』


『ええ、確か風の精霊を使うと思いましたが』


『アレはただの精霊ではない。妖精だ。それもその上になれる核を持った妖精だ。本当はあんな小娘に持たせておくのももったいないのだが、いかんせんまだあの妖精を手懐けられなかったからな』


『なんと……!妖精の上となると、大妖精か、魔神まであるのでしょうか』


『さあ、それはどうかな。俺も確かめる前に居なくなっちまったからな。とにかく、あの娘は殺さずに捕らえろ。あの妖精さえ手に入ればいつ殺しても構わんのだが、もう少し時間がかかる。分かったな、お前ら』


『畏まりました!』


『さて、俺にイタズラしに来た奴は誰だぁ?おい、そこのお前だよ。いい事を教えてやろうか、お前が使ったその力を俺は追い掛ける事が出来るんだ……。その意味、分かるよな?』


 音声はそこで途切れていた。

 その後恐らく音の妖精は俺達の所に戻って来たのだろう。


 それにしても今の言葉は……。


 やっぱりリエに聞かせるべきではなかったかも知れない。しかしもう今さらだ。

 すぐに対策を立てないと手遅れになってしまう。


「皆さん、今聞いて頂いて分かると思いますが、この村に危機が迫っています。恐らくゴンザと言われるウエノの重鎮はこの村に気付いたでしょう。そしてそいつは途轍もない力を持っている」


「あの、途轍もない力とはどの様なものでしょうか?」


「ミコトなら分かるかも知れないな。そいつは精霊の力で巨大な火の玉を作り出したんだ。直径10メートルはありそうや奴だ。」


「そ、そんなに大きいものですか……。それを操っていたのでしょうか」


「そうだよ、お姉。コトネも見てたんだけど、アレは普通じゃない。お姉の火の精霊に頼んでも、全力で力を渡しても出来る事じゃない。木は一瞬で炭になったし、地面も溶けてた」


「地面が溶ける程の熱量なんて、どうやったって無理ですよ……」


「そんな無理な事をゴンザという男はやったんだ。コトネやリエが言うには精霊の力らしい。ミコトは何かわかるか?」


「さっきの音声で話が出てましたけど、大妖精ならあり得るかも知れませんね。普通の妖精よりも遥かに強い力を持っているという事は聞いています。ただ、実際に見た事はないですし、ましてや使役した事なんて全くないですから、本当にそれかどうかも分かりません。」


「大妖精ならそんな途轍もない力を出せるのか?」


「恐らくとしか言えません。それについては私より詳しい人がいるので、後で聞いてみます」


 ミコトよりも詳しい人……。ああ、成る程。俺も一緒に連れて行って貰おう。


「それと、恐らくですがウエノの連中はコトネの精霊を追い掛けてこの村に向かって来ていると思います。俺達は妖精の力で高速移動してきましたが、奴らは多分馬車で来るでしょう」


「なんで奴らは馬車なんだ?」


「荷物を運ぶ為ですよ。この村を攻め落とすんです。相当数の人間を連れて来ますよ。そうすれば食料や水、物資を積んだ馬車で来るでしょう。アイツらはイリヤの村がこんな砦になっている事を知らない。食料が尽きるまで持ち堪えられれば一度は撤退するのではないかと考えられます」


「だが旦那、多分そうはならんだろうな」


「ああ、ダノンの言う通りだ。今の話でウエノのゴンザが出てくれば一撃でケリはついてしまう。食料がなくなるまで戦って決着が着かなければ、特大の一撃を用意するだろう」


「……やはりそうですよね。では我々はその特大の一撃を防がなくてはなりません。その為の方法を考えてみます」


 その後、ダノンとユキムラと相談しながら村の防衛方法を考えた。


今のままの装備では負ける。かといって一撃で決着を付けられるような決戦兵器もない。

さあどうする。


検討を重ねた結果、まず今回の基本的な戦略は籠城戦になった。

人数の少ないこの村では正面から戦う事は不可能だからな。

急拵えで作ったこの防壁で相手の攻撃を防ぐ。 攻撃を防ぎきり、相手の食糧が尽きたら本来は試合終了だが、先程言った通りウエノには一発逆転の手がある。 なのでこちらも二段構えにしたい。


通常の侵略を防ぎきる。これは防壁頼みだ。それ以外に強化した弓もあるが、クロスボウを保有しているウエノ相手ではなんとも心許ない。


出来れば何かあと一つくらい何か強力な武器を用意したいところだ。


そして特大の火球を防ぐ。これについて今はまだ案が浮かばない。

これからミコトと詳しい人に会いにいく。



その時に良い知恵を授けて貰えればいいのだが……




ここまで読んで頂きありがとうございます。


今後もよろしくお願いします。

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