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第47話 開戦前準備

評価&感想はページ下部にありますのでよろしくお願いします。

 翌日以降も俺の作業は続く。


 まずは昨日作った炉と鉄で道具を作って行く。

 一番最初に作った物は金槌だ。鉄で作る、正真正銘の金槌だった。

 これに樫の木のようなもので柄を作り、他の道具を作る為の道具とする。

 その金槌を使って、金床と火鋏を作る。

 さあこれで準備万端だ。


 まずは跳ね上げ式の橋の為の滑車を作る。

 ここで作り方を覚えれば今後滑車を使った設備なども簡単に作れるので、しっかりとした物を作りたい。


 試行錯誤の末、なんとか満足いく品質の滑車が出来た。出来上がった直後倒れる程の痛みを胸に感じたが、歯を食いしばりスキルアップの喜びと思い込んで堪える。


 そのおかげで俺の冶金技術は一流の物となった。


 今度は村人達が使う為の道具を作る。

 本当は鋸や鍬等生活に役に立つ物から作りたいが、今は緊急時だ。先に武器を作る事にする。



 ダノンに予め頼んでおき、槍を希望する者は自分で自分の槍の柄を用意しておくように伝えてある。


 その柄に見合った穂先、所謂刀身を俺が作る。


 槍を希望した者が20人居たので今回は20本作った。

 ある程度形にして、ざっと研いだ物を本人に渡し、後は自分で納得行くまで研いで貰った。




 但し、ダノンのだけは別だ。最後まで俺が作る。


 通常30センチ程度の長さの刀身をダノンの物は50センチ程と1.5倍の長さだ。

 気合いを入れて鍛造し、研ぐ。仕上げまで俺が研ぐ。

 しっかりと研ぎ上げた刀身は顔が映り込み、触れただけで全てが切れそうだ。


 早速ダノンに渡す。


「旦那、こりゃなんだ?」


「見ての通り槍です。ダノンさん用に俺が作りました。気に入らなかったですか?」


「いや、そうじゃねえんだが……。危なすぎて使えなさそうだと思ってよ。鉄の槍を使うのも初めてだが、その初めてが旦那が気合い入れて作った奴だろ?使い方に失敗したら腕ぐらい落としそうだな」


「そんな事はないと思いますよ。石槍よりは切れ味いいですけど、それでも普通だと思います。でもどれくらいの物が出来たのか見てみたいので、後ででも試し切りしてみて下さいね!」



 ダノンに槍を押し付けて、俺は続いて弓の制作に掛かる。


 弓を作るにあたっては色々悩んだが、全て鉄の弓を作るより、弓の中央部分のみ鉄で補強した方が効率的に強化できると思ったので、各自今使っている弓を持ってきて貰った。


 弓のサイズに調整した鉄板を用意し、それを留め具で固定していく。

 これだけで全く同じ弓なのに弓力が上がり、初速が上がる。初速が上がれば射程が伸びるので、結果威力が上がった事になる。


 本当はクロスボウなんかを作りたかったが、発射機構が複雑で今の俺だと作製は不可能だった。いつかスキル任せでそういう物が作れるようになったら是非挑戦してみたい。


 実は念の為全て鉄で作った弓も1つだけ用意していた。

 これについてはまず全体が重く、また弓力も通常の3倍程必要になる事が分かったので、実用は諦めた。

 これも槍を渡す時に一緒にダノンに預けてある。ダノンなら使えるかも知れないからな。




 弓の次は矢だ。鉄で鏃を作る。

 これはそんなに難しくなく、スキルのレベルが上がってきた事により、この程度なら金槌の一振りで10個程纏めて出来上がる。

 矢の本体も丸太に鉈の一振りで一気に100本ほど出来上がる。

 出来上がった素材を渡して、後は村人たちに仕上げて貰う。




 さあ、これで大体の武器は揃った。

 後は鉄の設備だと思っていたが、その前に1つ作っていなかった。


 刀である。日本刀。


 ダノンには槍を渡したが、ユキムラには何も作っていない。

 なんとなく俺のイメージではユキムラには刀が似合う。

 だから刀を作ってユキムラに贈る事にする。



 日本刀本来の素材から作る訳ではないが、そこは俺のスキルでカバーしよう。

 ここに辿り着くまでに幾度と無く感じた胸の痛みは全て俺の力に変わっている。


 鉄を熱し、一心不乱に叩く。形が出来たら刀身を研ぐ。

 土を置き、焼きを入れる。

 最後に仕上げの研ぎを行い、拵を作る。

 拵は流石に凝ったものは作れなかったが、実戦用として考えれば十分だ。


 出来上がった刀を早速ユキムラに贈ると、意外そうな表情をしていた。


「ユキムラさん、どうしましたか?」


「いや、コースケ殿がわざわざ俺の為に自分で武器を作ってくれるとは思ってなかったので驚いただけだ。正直俺はダノンの様にコースケ殿とは親しくなれていなかったと思っていたからな」


「そんな事ないですよ、ユキムラさん。ユキムラさんとダノンさんは確かに性格も見た目も違いますけど、二人とも村の事を真剣に考えているじゃないですか。俺も同じつもりです。だから俺達は、偉そうに言えば仲間だと思ってます。その仲間の為に最高の武器を作りました。だから遠慮せずに受け取って貰えたら嬉しいです」


「……そうか、仲間か。ありがたい。コースケ殿、大切に使わせて頂く。出来ればこれを使う機会がないと、本当はいいんだがな。」


「ええ、その通りですね。まずは先方が来たら交渉を上手く進めたいですね。その為にはユキムラさんの頭脳が必要だと思ってます。宜しくお願いしますね」


「ああ、期待に応えるよう努力しよう」


 ユキムラは珍しくニッコリ笑うと自分の持ち場に戻って行った。


ここまで読んで頂きありがとうございます。


連休最終日、体調管理に気をつけて明日からお仕事頑張ってくださいね。

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