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第19話 俺の力!

「コースケ様の力ってなーに?コトネは何か力になれるの?」


 コトネが質問してくる。

 ちょうど俺もコトネに聞こうと思っていたので、今日の狩りでの出来事を説明し、それからミコトの考え、俺の仮説を伝えたうえでコトネの考えを聞いてみる。


「へー!コースケ様って凄い力を持ってるんだね!そっか、お姉よりも強い生命の力を持ってるんだ。」


「そうなの?なんでミコトよりも強い力があるって分かるの?」


「だってお姉の精霊がコースケ様の中に入れなかったんでしょ?それはコースケ様の力の方が強いって事だよ。強い力で体の中が満たされてるから、その中に入るにはより強い力じゃないと入れないの。・・・コースケ様、私の中に入れてみる?」


 これは力の話だ、能力の話だ。

 ナニを入れるか言ってないから変に聞こえるんだ。


「な、なんでかな。どうやって入れればいいのかな。」


 超挙動不審だ。声が裏返ってる。コトネはゆっくり近づいてきた。

 しまった、こいつはタオルを巻いてない!近くに来たら色々大変だ!


 そんな事御構い無しにコトネは俺の手を取り、自分のお腹に当てさせる。


「ふふ。力を抜いて、緊張しないで。そう、ゆっくりと、上手だよコースケ様。」


 まだ何もしていない。お腹に手を当てただけだ。

 何が上手いもんか。


「冗談だよ、コースケ様。今コトネのお腹に当たってる手に力を込めるんだけど、感覚分かる?コトネの中にコースケ様の力が入って来たらコースケ様の方が力が強いって事。感覚が分からなければコトネがコースケ様の中に力を入れてみるけど。」


「力を入れる、かぁ。どういう感覚なんだろう。ちょっと分からないから悪いけどコトネが俺の中に入れてみてくれるか?」


「うん、いいよ。じゃあコースケ様背中向けてくれる?」


 そう言われたのでくるりと回り背中をコトネに向ける。

 コトネはさらに俺に近づくと、ガバッと抱き着いてきた!

 た、大変だ!さっき見えてた双丘と蕾が俺の背中に!


「・・・こっちの方が雰囲気出るでしょ?」


 ミコトとおんなじ事言って来やがる・・。

 だからなんの雰囲気だよ。


「あっ、ダメだー。私も弾かれた。コースケ様ってどんだけ力あるのよ。」


「コトネよりも力があるの?じゃあ俺も精霊100体使える?」


「いや、それはまだ分かんないかな。生命の力も質と量があって、今私よりも強いって言ったのは質の方なの。なんて言うのかな、密度の高い力がコースケ様に溢れてるって感じかな。精霊はそれぞれ求めるものが違うから、100体使役出来る力の量があるかはわかんないんだ。」


 電圧と電流の違いみたいなものか。じゃあ俺は高電圧派だな。


「その、力の量も測ることは出来るの?」


「出来る人はいるみたいなんだけど、この村にはいないと思うよ。あくまでもそういう人がいるって聞いた事があるだけだから。」


「そっか、じゃあそれがいつか分かれば俺も精霊を使えるようになるのかな。・・んで、コトネはいつまでその体勢でいるの?」


「ふふ、コースケ様の肌がスベスベで気持ちよくって・・。離れたくないの。」


 そろそろ俺も色々我慢の限界だ。ここは心を鬼にしてコトネには離れてもらう。


「はい、もうおしまいね。でもコトネありがとう。色々聞けて助かったよ。とりあえず俺は今あるこの力で何が出来るかじっくり確かめて見ることにするよ。」


「私もお手伝い致しますね。」


「もちろんコトネもするよ!これから楽しみー!」


 そんな事を言いながらお風呂を出る事にする。

 コトネはまだ身体を洗ってなかったからこれから洗うみたいだ。湯船を出る時は流石にタオルを巻いて出たが、洗う時には巻いているタオルを取る。


 コトネの後ろ姿を自然と凝視する。

 素晴らしい!ミコトよりもまだ幼く、なのに女性をしっかりと感じさせるスタイル!

 全ての水は肌が弾き玉になっている。しっかりとくびれたウエスト、将来を期待させるヒップライン、大人と子供の間のこの時期しか感じられない色香がなんとも言えず・・・・。


 痛い。ミコトに頬をつねられた。

 違うんだ、俺はあくまでも芸術品を見ている気持ちで見てただけであって、決してやましい気持ちで見ていた訳ではないんだ・・・!


 そんな事はミコトには関係ないみたいだ。無理矢理に腕を掴まれ脱衣場まで引き摺られる。

 力が強い、これが精霊の力か!


「コースケ様、早く体を拭かないと風邪をひいてしまいますよ。さあ、早く拭いてください。拭けたらお着替えしましょうね。」


「わかった、わかったから!自分で拭くし着替えられるから!あ、ダメ!やめて、押し付けないで!ああ、むしろ引っ張らないで!」


 お風呂は大変です。

 この後コトネが出てきてミコトVSコトネの仁義なき戦いが始まり、巻き込まれる前に逃げ出そうとしたが逃げ切れず、俺はボロ切れのようになりました。



 村に戻ると夕食の時間だ。

 俺たちは風呂場で遊びすぎてしまったのか、ほとんどの村人達が食事を終えていた。


 食事当番の女性から嫌味の様な、からかいの様な視線と言葉を浴びて食事を貰う。

 それを俺たちはミコトの家で食べる。・・当たり前のようにコトネが着いてくる。


「ねえコトネ、リリちゃんと同じ家で暮らしてるんだよね?」


「そうだよ?」


「ご飯とかもリリちゃんと食べなくていいの?」


「いつもは一緒だけど、今日は遅くなっちゃったしね。それにこれから巫女になったら一人暮らしが当たり前になるし。」


「ああ、まあ確かにそうか。ミコトも夕食とか一人で食べてたの?」


「そうですね、一人が多かったですね。仕方ないかも知れないですが、結構寂しいですよ。今はみんなでお食事出来て幸せです。」


「そうだね、みんなでご飯食べるの嬉しい!お姉とご飯食べたの久しぶりだね。」


「ふふ、そうですね。こうして家で一緒に食べるのはいつ以来でしょうか。お行儀良く食べなきゃいけませんよ?」


「はいはい、お姉はいつもそう言うんだから。コトネだってもう子供じゃないんだから大丈夫だよ。それにお姉とご飯食べるのはこれからはしばらくないしね。」


「え?どういうこと?」


「ふふん、これからはコトネがコースケ様と暮らすから、お姉はもうお払い箱だよ!心配しないで、コースケ様の事は昼も夜も手取り足取りお世話するから!まっかせておいて!」


「だ、ダメよそんなの!何勝手な事を言っているの?コースケ様のお世話は私の仕事です。コトネには譲りませんよ!」


 二人の会話に巻き込まれないように俺は無心で食事を取る。

 ああ、このスープ美味しいな。肉は今日獲れたイノシシのものだろうか。

 美味しい食事が取れるって幸せだな。


「それで、コースケ様はどう思うんですか?」


「そうだよ、コースケ様はっきりさせてよ!」


「ん?何が?」


「私とコトネとどちらがコースケ様のお世話係に相応しいか決めて下さい!」


「そ、そんな事言われても・・」


「コースケ様・・・。私では不満なのでしょうか・・・。」


 得意の上目遣いで攻めてくるミコト。


「コースケ様、コトネならきっとコースケ様を満足させてみせるよ。」


 流し目で胸元をはだけさせるコトネ。


 困った、非常に困った。

 どちらの魅力も捨てがたい。ここは初めから尽くしてくれたミコトを取るべきなのか、それとも若さ溢れるコトネを取るべきなのか・・・。


「じゃ、じゃあミコト・・」


 歓喜の表情を浮かべるミコトと死にそうな顔になるコトネ。


「じゃなくて、コトネ・・」


 コトネの表情が一気に光り輝くものになる。対照的にミコトは死んだ魚のような目をしている。


「・・・わかったよ!よし、お前達二人とも俺のお世話係!俺が決めた!今決めた!二人とも纏めて面倒みるから、二人で俺の面倒を見てくれ!ケンカせず仲良くな!」


 二人とも唖然としていたが、俺がそれを本気で言っていると察したらしく二人で顔を見合わせていた。


「コースケ様がそれを望むのであれば、私は巫女として謹んでお受けします。」


「コトネもコースケ様の希望ならいいよ。初めてがお姉と一緒って言うのは気になるけど、負けないように頑張るよ。」


 コトネの言葉をさっと流すべきか否か。

 まぁそもそも俺の出した答えが無謀だったんだ。

 二人とも俺の側にいろなんて、都合の良いように捉えられても仕方ない。昔の俺ならリア充爆発しろって言ってたもん。

 それでも二人が了承してくれたなら万々歳です。


 夕食を済ませてお盆を片付ける。

 俺とミコトはコトネに別れを告げ、自分の家に戻る。

 もちろんコトネは渋ったが物理的に二人以上は寝るスペースがないのでこればっかりは諦めて貰うしかなかった。


「コースケ様、早く家を建て直してね!そしたらコトネも同じ家で暮らすからね!」


 狭い村でそんな大声で言われたら嫌でもみんなに聞こえちゃうよ・・。

 美少女二人を侍らしてる得体の知れない男なんて、普通に考えたら嫉妬の対象以外の何者でもないよね。いつかはバレるにしてももう少し穏便にすすめたかった。

 まぁ気にしても仕方ない。俺はミコトと共に布団に入る。


「そう言えばミコト、借りた小刀なんだけど使う場面が無かったよ。ごめんねせっかく借りたのに。」


「いえ、そんなの気にしないでください。でもあれだけ獲物が獲れたのに使わなかったんですか?」


「ああ、ダノンさんが折角だから解体してみろって言ってくれたんだけど、言ってた割には全部ダノンさん達で解体しちゃったんだよね。だから俺は見てただけで何もしてないんだ。」


「ダノンさんらしいです。きっと悪気はないんだと思いますよ。説明してたら熱が入っちゃってそのまま全部終わらせてしまったとかそういう感じですか?」


「まさにその通り。見てるだけだったけど、説明して貰いながらだから勉強になったよ。いつかは自分でやってみたいな。」


「そのうちすぐに出来るタイミングがありますよ。その時は私もお手伝いしますね。」


「ああ、ありがとう。明日は俺は畑仕事をしてくるよ。ミコトは畑仕事はしたことあるか?」


「畑仕事はした事あるというか、収穫は主に女性の仕事ですよ。」


「ああ、そうか。じゃあ俺よりよっぽど経験者だね。男はどういう作業があるんだ?」


「そうですね、男性は畑の開墾が多いかも知れません。開墾の為の作業は多いですからね。とても大変だと思います。それ以外だと野菜を新しく植えたり、手入れしたりですね。畑仕事は意外と大変なんですよ?」


「そうだな、聞く限り大変そうだ。でもこれを頑張って行かないといつまでも野菜の収穫量が増えないからな。明日見てみて、少しでも何かみんなの役に立つようにしないと。」


「コースケ様、そのお考えは立派ですがあまり無理はされないで下さいね。狩りのような危険はないかも知れませんが大変な仕事なのは間違いないですから。」


「うん、ありがとうミコト。それなりに頑張るようにするよ。身体が痛くて動かなくなったらミコトが癒してね。じゃあおやすみ。」


「はい、おやすみなさいコースケ様。」


 明日は畑仕事の劇的な改善とか思いつけばいいけどな。

 そんな事はないんだろうな。


 俺の意識は夢の中に消えていった。


おはようございます。

皆さんの目に触れられ、少しでも読んで頂けてるのが力になります。

これからもよろしくお願いします。

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