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第14話 コトネ

 お風呂を出てまた村に戻る。

 脱衣所を出る時にまたミコトと一悶着もとい、青春的イチャイチャを繰り広げた。

 そろそろ俺も調子に乗っているかも知れないからミコトに嫌われないように気をつけよう。



 村に戻るとちょうど夕食の炊き出し準備をしている所だった。炊き出しをしているご婦人は全部で20人程。その中にミコトの友達のリリと妹のコトネの姿もあった。


「リリちゃんコトネちゃん、こんにちは。夕食の用意?」


「あら、コースケ様どうもこんにちは。ええ、今日は私達も当番だったんです。朝食も私とコトネは作りましたよ。ミコトは村で一番遅くに朝食を取りに来ましたけど。昨晩は遅くまで楽しまれたのですか?ね、コースケ様?」


 いやに色っぽい仕草でリリが聞いてくる。

 いやいや、本人もいるし妹もいるのだからそういうのは答えにくいわぁ。

 当の本人のミコトは全く気付いてないみたいだが、コトネは耳まで真っ赤にしてる。


「リリちゃん、ミコトは兎も角コトネちゃんには少々刺激が強いみたいだ。そこまでにしようね。それで、何を作っているの?」


「ふふ、失礼致しました。今日は村の近くで兎が取れたみたいです。いつもは鍋とかにしてしまうんですが、今日はまだ時間も早いしキレイに捌いて焼き物にしたいと思います。香草とかはお嫌いですか?」


「兎の焼き物か。昨日は確か兎は鍋だったよね。少しだけ貰ったけど柔らかくて美味しい肉だった。香草は匂いの強すぎない物だったら好きかな。」


「それは良かったです。今日の香草はコトネが育てた物なのです。ね、コトネ。」


「え、あ。はい!コトネが育てました!今は5種類育ててます。今日はその中のハーブを持ってきました。」


「へえ、家庭菜園みたいなものかな?凄いじゃない。今度ぜひ見てみたいな。」


「ええ、勿論構いませんよ。いつでもお越し下さい。」


「ありがとうね、じゃあ今度お邪魔させて貰うね。そういえばコトネちゃん、今更だけどコトネちゃんのお姉ちゃんのミコトとは一緒に暮らしてないの?」


「ええぇ・・・。お姉と一緒に暮らしてるコースケ様に言われるとは思いませんでした。簡単なお話です。姉はこの村の巫女なので一人で住まう家を与えられました。場合によっては人を迎え入れる事もあるので、巫女は一人で暮らす義務もあります。なので一人暮らしです。そして今は人をお迎えする義務が発生している状況です。なのでコースケ様と一緒に暮らしています。そういう事です。」


「ふふ、そしてコトネは一人が怖いからリリと一緒に寝てるんだよね。もうそろそろ一人で寝られるようにならないと困っちゃうからね?次の巫女はコトネだし。」


「えぇ!そんなの聞いてないよ!なんでコトネなの?お姉はどうするの?」


「ん?私?私はコースケ様のお仕事を手伝うの。その為に巫女の仕事が出来ないの。だからコトネが巫女になる、分かった?」


「いやいやいや、わかんないし!じゃあ私がコースケ様のお仕事手伝うよ!そうしたらお姉が巫女のままでいいんでしょ?」


「コースケ様の仕事を手伝うのは巫女の仕事なの!だから私しか出来ないの!」


「でもコトネが巫女になったらコトネが手伝えばいいんでしょ!?じゃあお姉がやる必要ないじゃん!私が巫女になるって・・?アレ?なんかわかんなくなってきちゃった・・。」


「二人とも、そこら辺でとりあえずやめようか。俺の仕事って言うけど、まだ何をどうするか具体的に決まってないんだから。とりあえず当面の目標はこの村を知る事。そしてこの村でみんなが困っている事を改善すること。その為にみんなの力が必要だし、その時は是非コトネちゃんにも協力して欲しいんだ。手伝ってくれるかな?」


「う・・。まぁ勿論構いません。コトネは姉よりも役に立つとは思います。どうしても姉じゃ物足りなくなった時は是非声を掛けてください。必ず満足させて見せますので。」


 ・・・これは仕事の話だよな?仕事の能力の話だよな?

 この姉妹はなんか言葉選びが刺激的過ぎるんだよな。なんとなく内容が噛み合ってしまうし。


 それにしても。ミコトが美少女なのはこの二日で良く分かったが、その妹のコトネも大概美少女だ。どちらがとなると、もう後は好みの問題だろう。


 コトネはその年齢特有の甘酸っぱさが出ていると思う。顔の造作はミコトとよく似ている。

 切れ長なのにタレ目って言う特徴がそっくりだ。髪型がミコトはストレートのロングヘアーをそのまま垂らしているのに対し、コトネは同じくらい長い髪をポニーテールにしている。性格はコトネの方が気の強いイメージだな。ミコトがオットリお姉さんという感じならコトネはしゃっきり系の妹という雰囲気がある。

 初めて会った時あまり話さなかったのは、ただ単に人見知りと俺を警戒していたみたいだ。

 そんな怪しい人間じゃないんだけどな。


 そんな事を考えてたら思ったよりコトネを凝視してしまっていたみたいだ。コトネから憐憫の目で見られる。


「もしかしてもうお姉じゃ満足出来なくなってしまいましたか?じゃあ今晩はコトネが閨にお邪魔しますね・・。」


「え!そうなんですか、コースケ様!そんな、私とは遊びだったのですね・・。初めても純潔も捧げたのに・・。いつか来ると思ってはいましたが、余りにも早すぎます・・・。それに後釜が実の妹なんて、納得できません!」


 俺が悪かった、俺がコトネを凝視してたのが悪かった。だからもうやめて下さい。

 村のご婦人から凄い目で見られています。明日から食事が貰えないかも知れません。初めても純潔もまだそのままだよ!俺も清いままだよ!


「本当にもう二人ともやめてください・・。この村にいられなくなってしまうから・・。コトネちゃん、お姉ちゃんで満足出来ないとかないから。そう言う言葉さっき恥ずかしがってなかった?これ以上は俺が恥ずかしいので勘弁してください・・・。」


「ごめんなさい、コースケ様。ちょっとはしゃいじゃいました。なんかコースケ様って思ったより話しやすくて。もっと砕けた感じでもいいですか?」


「・・・ああ、もちろんそれは構わないよ。俺は偉人でも英雄でもないからね。ただ変態紳士みたいな扱いだけはしないで欲しいな・・・。」


「ふふ、やっぱり面白い人だったんだね。じゃあコースケ様、変態紳士の噂はコトネがちゃんと消しておくから、コトネとも仲良くしてね!」


「もちろんだ。でも変態紳士の噂って怖いな。ここにきて二日でそんな噂が流れてるなんて。その噂はどこから聞いたの?」


「コースケ様、その噂はコトネが一生懸命みんなに言っておりましたわよ。なんでも自分の姉が悪逆非道の変態紳士に騙されてるって。コトネったらとても姉思いですのね。」


 ふーん。犯人見つけたなぁ。さぁてどうしようかなぁ。俺ってば悪逆非道の変態紳士みたいだから、か弱い若い女の子は何されるか分からないもんね。恥辱の限りが尽くされるかも知れないね!


「・・・・リリの話は嘘です、コースケ様!」


 さっそく足元にコトネが縋ってきた。

 彼女の変わり身は大したものだな。でもこの場面を他の人に見られたらやはり変態紳士が独り歩きしてしまう。これはまずい。


「はぁ・・。もういいよ、大丈夫。みんなが分かってくれればいいから。コトネちゃんももうそれやめて。多分というか狙ってやってるでしょ。俺の足に若い女の子が縋るって、側からみたらとんでもない見た目だからね。本当に変態紳士になっちゃうよ。だからね、もうお終い。」


「・・コースケ様ってなんというか、意外。こういう状況にも慌てないんだね。というか私の考えを一瞬で見抜くってちょっとびっくりだったよ。もしかして物凄く女慣れしてるとか・・?」


「はいはい、コトネちゃんの中の俺はそれでいいよ。別に女慣れしてなくても人の考えわかる人はいるでしょ。それは男でも女でも一緒だよ。コトネちゃんは特に分かり易かっただけだよ。」


「へぇ、コースケ様凄いね。そういう人の心を読む力があるんだね。あんまり私の中を覗かないでねっ!」


 コトネは体をクネクネさせているが、勿論俺にそんなスキルはない。買い被り過ぎである。

 そんなスキルがあればこの歳まで独り身やってないわ。

 ただ、恐らくは営業職で鍛えた、人の機微を読む力が役に立ったのだろう。普段はお客さんにしか使ってなかったが、女性に対しても使えるもんなんだな。


「さあ、そんな冗談は終わりにしよう。夕食の用意をしているんだろ?みんなの邪魔しちゃいけないから、何か手伝える事はない?」


「そうですね、じゃあ井戸から水を汲んできて貰えますか?」


 リリは一足先に調理に戻っていて冷静に指示をくれた。

 彼女は煽るだけ煽って、いざ火がついたら自分はさっさとその火の輪の外に出るのが得意なようだ。乗せられないように気をつけよう・・・。


 言われた通り井戸に向かい水を汲む。

 いくら村の中にあると言えども水を汲むのは中々に重労働だ。一杯二杯程度なら問題ないが、80人分の調理用の水となればそれなりの量が必要になる。

 村の水事情も検討の余地有りだな。



 その日の夕食も十分満足出来るものだった。

 宴の時のように沢山の種類が並ぶ事はないが、それでも味・量ともに大満足だ。欲を言えばアルコールがもう少し飲めると良いな。それも村が豊かになってくれば解消されるだろう。


 食事を終え洗い物を手伝ってから自分の家もといミコトの家に戻る。

 昼間長老に布団をもう一組欲しいとお願いをしていた通り、ミコトの家には布団がもう一組用意されていた。割と特大の。


 ミコトの家に元々あった布団は普通のシングルサイズよりも小さく、だから昨日二人で寝るには明らかに窮屈だった。

 対して今日届けられたものはダブルサイズに近いもので、二人で寝ろと言わんばかりのものだ。むしろこの布団を敷いたらミコトの布団が敷けない。


 俺の隣で「これなら二人でもゆっくり寝られる・・」とミコトが言っていたのが印象的だった。


 こうして二日目も俺は自制心と戦いながら夜を過ごすのだった。


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