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2、こりす、葉山を嫌いになる

 小六の男女混合バスケの球技大会の後、気まずくなった私と葉山は……。 


 最悪なことに十月の修学旅行で、同じグループになってしまった。


 男女三人ずつの六人グループで、くじ引きだからどうにも出来なかった。


 女子は私の他は、以前葉山と噂のあった奈々ちゃんと、もう一人もちっちゃくて大人しいタイプの美緒ちゃんだった。


 男子も葉山を筆頭に、小粒男子がそろっていた。


 六人で一緒にいると、頭一つ大きい私が引率の教師に見えてしまう。


(最悪だ……)


 しかも小粒男子は葉山と仲良しのうるさいヤツらで、一方の女子は私以外はとても大人しくて男子と話も出来ないような子たちだった。


 奈々ちゃんと美緒ちゃんは、声の大きい葉山に話しかけられただけでプルプル震えてる感じだ。

 できる事なら、私もプルプル震えて葉山と話したくなかったのだが、それでは話が進まない。


 そう気付いた葉山は、この数ヶ月の気まずさが無かったかのように話しかけてきた。


「見学ルートだけどさ、俺たちこのBコースがいいんだけど、女子はどれがいい、こりす?」


「私もBコースでいいと思うよ。いいよね、奈々ちゃん、美緒ちゃん」

 私もなるべく自然な感じを装って答えた。

 奈々ちゃんと美緒ちゃんは、すべて私に任せますという顔でうなずいている。


「あと新幹線の座席順と、二日目の昼食の店は……」

「うん、うん……」


 いろいろ話している内に、いつの間にかすっかり元通り話せるようになっていた。


「お前さあ、デカ過ぎて神社の鳥居に頭ぶつけんじゃねえの?」

「うるさい。あんたこそ幼稚園児と間違われて迷子センターに連れていかれないでよ」


 だから最初は嫌だと思ったけれど、一緒のグループになれて良かったと思った。

 

 でも、やはり月日の流れと共に、微妙にいろんな事が変わっている。

 以前と同じようになる事など出来なかった。


 そもそも男子三人は奈々ちゃんと美緒ちゃんには気を遣うくせに、私には気遣いゼロだった。


「こりす班長やってくれよな」

「こりすだとデカいから目印になるしな」

「そうそう。集まりやすいじゃん」

 男子三人は、すっかり葉山と同じ口ぶりで私に面倒な事を押し付ける。


 この頃には、「デカい」と言われるのが結構グサグサ刺さってたのだが、そんなのお構いなしだ。


 そしていよいよ修学旅行当日。


 行く先々で三回も引率の教師に間違われた。

 そのたび男子三人は大爆笑して「こりす先生」と私を呼んだ。


 奈々ちゃんと美緒ちゃんは、大人しい子同士落ち着くのか、すっかり二人の世界を作っていて、私は男子三人にからかわれながら、浮いた感じになっていた。


「こりす、あんまり急いで歩くなよ。女子二人がついて来れないだろ? 巨人のお前とは歩幅が違うんだからさ」

「あ、ごめん」

 話す相手もなくドンドン歩いてたら、葉山に注意された。


 そしてお土産みやげを大量に買い込むと、帰り道は荷物持ちのじゃんけんをしようと言い出した。


 六人のお土産をまとめると、紙袋三つ分になった。

 奈々ちゃんと美緒ちゃんは、泣きそうな顔で持てないから嫌だと言った。


 それならと……。


 なぜか奈々ちゃんと美緒ちゃんは免除されて、私だけじゃんけんに加えられた。


 そして十回ぐらいやってほとんど負けた。


「ちょっとずるいわよ。持ってよ」

「全然ずるくないだろ。お前がじゃんけんで負けるから悪いんじゃんか」

「じゃあもう一回じゃんけんやり直して」

「えー、じゃあもう一回だけだぞ」


 そして私一人だけパーを出して負けるのだ。

 葉山たちは私が負けるたび大笑いをして、結局ホテルまでほとんど私一人が荷物を持った。


「えー、こりすちゃんずっと六人分の荷物持たされたの? かわいそう」

「こりすちゃんのグループって葉山たちガキんちょ揃いだもんね」

「うちらは男子がすごい優しかったよ」


 なんだ、この差は! と思うと泣きたくなった。

 両手は重い荷物で赤くなって、すでに筋肉痛の痛みが出ている。


 部屋に帰ると、奈々ちゃんと美緒ちゃんが申し訳なさそうに「持たせてごめんね」と謝った。

 どうせなら持ってる時に自分の分は持つよと声をかけて欲しかった。

 たぶん葉山たちに反論する勇気がなかったんだろうが、分かっていても腹が立った。


 だから「そう思うなら手伝ってくれたらいいのに」と言ってふて腐れた。

 奈々ちゃんと美緒ちゃんは、それだけで蒼白になってもう一度「ごめんね」と呟いた。


 なんだか私がすごく意地悪な事を言ったような感じになってしまった。

 ホテルの三人部屋は二対一になったようで、ひどく居心地が悪くなった。


 なんなんだ、この修学旅行は。

 小学校の修学旅行なんて一生の思い出なのに。

 そう思うと、こんな惨めな一生の思い出になった事にイライラが止まらない。


「なにお前、他の女子と喧嘩したのか?」


 翌日のグループ行動で、葉山はすぐにぎくしゃくしている女子三人に気付いた。

 私の惨めな乙女心には全然気付かないくせに、余計な事だけよく気付く。


「別にそういうわけじゃ……」

「なんか知んないけどさ、他の二人が怖がってるじゃん。お前デカいから少し不機嫌なだけでも怖いんだよ。班の空気が悪くなるから、仲直りしてやれよ」


 ムカッとした。

 誰のせいで気まずくなったと思ってるのよ!

 それに何でもかんでもデカいせいにしないでよね。

 そう叫んでやりたい所をグッと我慢した。


「別に喧嘩してるわけじゃないわよ。ねえ、奈々ちゃん、美緒ちゃん」

 私が作り笑顔で見ると、二人は怯えたような引きつった笑顔で「うん」と頷いた。


「絶対無理して言わされてるじゃん。こええ。お前ら、こりすにイジメられたら俺らに言えよ」


 葉山が奈々ちゃんたちに言うと、二人はプルプルと首を振っている。

 それは私にイジメられてないプルプルなのか、恐ろしくてそんな事言えないプルプルなのか分からない。ここはハッキリ「イジメられてなんてない」と言って欲しいのに。


 大人しくてハッキリしない奈々ちゃん達にも、二人ばかりかばう葉山にも腹が立った。

 

 私のイライラは頂点に達していた。


 そして翌日の最終日は、最悪な事に暴風雨だった。


 バスに乗って観光地の見学をするのだが、カッパと傘をさしてもびしょぬれになるほど横風が強くて、観光地に着くたび散々な目に合った。


「おい、ここにちょうどいい風避かぜよけがあるぞ! みんな隠れろ」

 葉山は外に出るたび、私の後ろに回って雨風をしのいでいた。


「もう! ずるいじゃない! 私ばっかりビシャビシャになるじゃない!」

 最初はムカッとしながらも、辛うじて作り笑顔で返していた。


 奈々ちゃんと美緒ちゃんは、二人で手を取って突風が吹くたび「きゃあ!」と小さな悲鳴を上げて歩いていた。

「おい、お前らもこっちに来いよ。この風避け、最強だからさ」

 葉山はそんな二人に声をかけた。

 私の心がぞわりと嫌な感情に満たされていく。


「で、でも……」

 奈々ちゃんと美緒ちゃんは、申し訳なさそうに首を振っている。


「いいって、いいって。こいつデカいからホント雨があたらないんだよ。ほら、こっち、こっち」


 葉山は奈々ちゃん達二人を私の真後ろに連れてきて、自分達はそのさらに後ろについた。


「なんで私ばっかり風避けにならなきゃならないのよっ!!」

 同じ女子なのに扱いの違う葉山にも、言われるままに私の後ろに隠れる奈々ちゃん達にも腹が立った。だから、わざとジグザグに歩いて、後ろに入れないようにした。


「うわっ! この風避け、変則移動するぞ! みんな振り落とされるな!」

 葉山はかえって面白がって、みんなできゃあ、わあ、言いながら私の後ろについてくる。


 男子三人ばかりか、奈々ちゃんと美緒ちゃんも楽しそうにしているのがイライラする。


 きっといつもだったら。

 私が葉山に恋心なんてなかったら。

 女子二人とぎくしゃくしてなかったら。

 こんな暴風雨でびしょ濡れじゃなかったら。

 葉山が奈々ちゃんを好きだなんて噂を聞いてなかったら。

 奈々ちゃんももしかして葉山を好きになったんじゃないかなんて思わなかったら。


 いつも通り「もういいかげんにしてよね!」と笑いながら一緒に楽しめたのだ。


 でも、すべてが臨界点に達していた。

 

 この数日のイライラなのか、小五で葉山と同じクラスになってから続いていたイライラなのか……。

 それらのすべてが、この瞬間に凝縮されて沸点に達していた。


 だから……。


 私は後ろに振り返ると、力いっぱいに葉山を突き飛ばした。


 葉山の傘が吹き飛び、葉山自身は水溜りにひっくり返った。

 164センチの巨体から140センチそこそこの葉山を突き飛ばしたのだから、悲しいぐらいに見事に吹き飛んだ。


 葉山は泥まみれで暴風雨に晒されて一瞬呆然としていたが、すぐに我に返った。

「な! なにすんだよっ!! お前、ふざけんなよっ!!」


 初めて見るぐらい怒っていた。

 だが、私はもっと怒っていた。


「大っきらい!! あんたなんか大っきらい!!」

「な!」


 言い返そうとした葉山だったが、私が涙でボロボロの顔をしているのに気付いて言葉を失った。


 そして騒ぎに気付いた先生やクラスメートが雨の中集まってきた。


「ちょっとどうしたの?」

「うわ、葉山泥だらけじゃん」

「え? こりすちゃんがやったの?」

「ひでえ、葉山かわいそう」


 みんなの声を聞きながら、私はもうどうしていいか分からなかった。

 そして止めることも出来ないままに「うわ――んっっ!!」と泣いてしまった。


「え? こりすちゃんが泣いてる」

「どうしたの? 葉山がなにかしたの?」

「ちょっと、あんたこりすちゃんに何したのよ!」

「こりすちゃんがこんなに泣くなんて、ひどいわよ、葉山!」

「謝りなさいよ、葉山!」


 駆けつけた私の友達によって、なぜか葉山が全部悪いことになってしまった。


「……」

 葉山は何も答えないまま立ち上がって、先生に連れられて服を着替えに行った。

 私は友達に囲まれて、泣き止むまで慰めてもらった。

 

 その後、私と葉山は先生に呼び出されたが、葉山は「足がすべって転んだだけです」と答えたし、私は「ビックリして泣いただけです」と答えた。


 こうして散々な修学旅行は幕を閉じた。


 そして。


 どんな話になったのか、葉山は卒業まで女子全員から無視されて、嫌なヤツの烙印を押されてしまった。


 葉山はそれっきり、二度と私に話しかけることはなかった。



 そして現在……。


 小学校を卒業してから二年の月日が過ぎていた。

 私達は同じ中学に進んだが、近隣の三つの小学校から入学してくるマンモス校のため、クラスが離れているとまったく顔を合わせることもなかった。


 一、二年はクラスも教室も離れていたので、ほとんど見かける事もなかった。

 ……というより、私は葉山を記憶から追い出した。


 気まずい小学校の思い出を封印して、私は中学から新たに始めたかった。

 そのためには葉山は邪魔な存在だった。


 なぜなら。


 私にとって苦い初恋の相手である以前に……。

 葉山はきっと私を憎んでいるから。


 葉山にとったら、いきなり突き倒されて泥水の中に投げ出され、おまけに女子から非難されて、そのまま卒業まで女子全員からシカトされたのだ。

 踏んだり蹴ったりもいいところだろう。


 私のせいで最悪の小学校生活になったのだ。

 きっと二度と会いたくないと思っている。

 大嫌いだと思っている。


 だから私はもっと大嫌いになって、心の中から追い出す事にしたのだ。


 それなのに三年になって同じクラスに葉山の名前を見つけて、かなりショックだった。

 このまま忘れたようにフェードアウトして、赤の他人になりたかった。


 それがこの土壇場どたんばで同じクラスになってしまうなんて。


 私は教室のドアからそっと中を覗いた。


 ながらく見かけた事もなかったが、一年以上前にうっかり近くで見つけてしまった時は、驚くほど背が伸びていた。まだ私よりは低かったが、かなり目線が近かったような気がする。


 私は結局165センチで成長が止まってしまった。

 小五から2センチしか伸びなかった。


 それでも女子の中では大きい方だが、デカ女と呼ばれる事はなくなった。

 頭一つ飛び出る事もなく、すっかり普通の人に紛れるようになっていた。


「邪魔だから入るんなら入って欲しいんだけど」

 

 ふいに後ろから声をかけられて、私は「ひゃっ!」と叫んだ。

 そして振り返ると、学ランの金ボタンが目に入った。


 恐る恐る目線を上げると……。


(は、葉山……)


 まさかとは思ったが、葉山だった。

 しかも目線が高い。


 顔は葉山のままなのに、背だけが見上げる高さになっていた。


「ご、ごめんなさい」

 あわてて教室に飛び込んだ。


 葉山は教室に入ると、さっさと友達を見つけて行ってしまった。


(え? 気付かなかった? あれ? 私のこと忘れてる?)

 

 まったく無視するわけでも、馴れ馴れしく話しかけるでもなく、「普通」だった。

 普通に初めて会った女子に接するような態度だった。


「ね、ね、こりす。今の人カッコよくない?」


 たまたま同じクラスになった友人の麻衣が、私を見つけて話しかけてきた。

 彼女は違う小学校から来た、中学になってから出来た友達だ。

 だから葉山のことも、私たちの「事件」も知らない。


「そ、そう? 私はタイプじゃないけどね」

「えー、うそ。絶対いいって。名前なんていうんだろ」

「さ、さあ……」


 向こうが忘れてるんなら、ちょうど良かった。

 私も忘れたことにして、この一年を乗り越えよう。


 そう思ったが……。

 よく考えたら同じハ行で出席番号が近いんだった。


 案の定、席は隣だし、日直もこの流れでいくと一緒になってしまう。


(ああ、最悪……)


「わあ、いいなあ、こりす。彼と隣なんて。葉山……健吾くんだっけ?」

 休み時間になると、麻衣が羨ましそうに耳打ちした。


「良くないわよ。出来れば代わって欲しいぐらいよ」

「え、そうなの? こりすってイケメン嫌いなの?」

「イ、イケメンってほどかなあ……」

「いや、イケメンでしょ」


 確かに葉山は、背が伸びたくせに、顔は小五の面影が充分残るぐらいベビーフェイスで、サラサラの黒髪も二重の茶色が混じった目も変わってない。

 古くさいと言われている学ランも、葉山が着るとやたらにカッコよく見える。

 反則だろうというぐらいイケメンに育っていた。


 そんな事実知りたくなかった。

 イケメンに育つなら、私の知らない所で静かにイケメンになってて欲しかった。


 だって私はこのイケメンに、きっと人生最大の屈辱を味あわせているのだ。

 泥水に突き飛ばされて女子全員にシカトされる経験なんて、この先きっと二度とない。

 一生に一度の暗黒時代を私が築いてしまったのだ。


(苦い初恋相手の、憎まれているに違いないイケメン男との一年……)

 詰んだな、と思った。


「日村」


 そんな葉山にホームルーム中、突然名前を呼ばれてドキリとした。


「は、はい? な、なに? 葉山くん(・・)


 こりすと呼ばないあたり、やっぱり赤の他人のフリをするつもりなのだと心得た。

 

 しかし葉山に「ふ……」と笑われたような気がする。

 

「そこ。筆箱落ちそうになってるよ」

「え?」


 私は机の端に寄せていた筆箱が、机から半分はみ出ている事に気付いて、あわてて受け止めようとして、逆に弾いてしまった。


 ガラガラガッシャーンという音と共に筆箱が床に散らばった。

 クラス中が何事かと私に注目する。


「す、すみません」

 私は謝りながら慌てて文具を拾い集めた。


 隣で葉山は片ひじをついて笑いをこらえている。


(な、なに? このバカにした感じ……)


 私は筆箱を元に戻しながら、嫌な予感にとらわれていた。


(まさか……)


『復讐』という言葉が頭に浮かんだ。


(あの日の復讐をしようと思ってるんじゃ……)


 イケメンになって、背も私より高くなって、力ももう勝ち目なんかあるはずがない。


(まさかこの時を待ってた?)


 どう足掻あがいても勝ち目がなくなった私に、いつか復讐しようと?


「日村」


 再び名前を呼ばれて、ビクリと肩を震わせた。


「な、なんですか? 葉山くん」

 思わず敬語になってしまった。


「名前ペン持ってる? 俺、忘れたんだけど」


 気付けば周りのみんなは、もらった教科書に名前を書いている。


「に、二本あるからどうぞ。差し上げます」

 こうなったら賄賂わいろだ、と新しい方のペンを差し出した。


「え? いいの? 悪いな」

「気にしないで下さい。一年お世話になりますから」

 だからどうか復讐なんてバカな考えはやめて下さい、と心の中で唱える。


 だが葉山は、そんな私の祈りをあざ笑うように毎日話しかけてきた。


「あちゃあ、消しゴム忘れた」

「どうぞ、半分に割って差し上げます」

「え? 悪いよ、そんなの」

「いいえお構いなく」

 だからどうか復讐なんてやめて下さい。


「うわ、その弁当うまそうだな。俺、カレーコロッケ好きなんだよな」

「これで良かったらどうぞ食べて下さい」

「え? うそ、いいのか? ラッキー」

「良ければ明日も多めに作ってきます」

 だからどうかもう過去の事は水に流して下さい。


 葉山は過去に触れるわけでもなく、よく分からないプレッシャーを私にかけてくる。

 日ごとにその回数が増えていくような気がしていた。


「なんか、こりすと葉山が付き合ってるって噂になってるよ」


 一ヶ月が過ぎた頃、麻衣に突然言われた。


「な、な、なんでっ? どこがっ?」

「だって毎日こりすが葉山にお弁当作ってるって聞いたけど」

「お、お弁当? い、いやそれは……」


 なんでかこの頃には「明日はハンバーグが食べたい」などと前日予約をされるようになっていた。

 そして私は断れば復讐されるんじゃないかという恐怖心から、作らずにいられない。

 『弁当かつあげ』というヤツだ。

 なんか美味しそうな弁当の名前に聞こえるが、要するにヤツはこんな復讐方法を思いついたのだ。


 人の弱みに付け込んで、ホントに嫌なヤツだ。

 ちょっとイケメンになったからと付け上がって、こんな嫌なヤツになったのだ。


 そして、いよいよ日直の日が来てしまった。




次話タイトルは「こりす、再び葉山に恋をする」です

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