主人公死す!
〜国王視点〜
「陛下、勇者召喚の準備が完了しました」
王城の地下室で、召喚の儀を行うことになった。理由としては簡単、地下室ならば、他国の偵察用魔道具も簡単には入ってこれず、大きな音が出ても、バレない可能性の方が高くなるからだ。
「ふむ、ご苦労。では、すぐに召喚せよ!」
ちなみに、勇者召喚の魔法陣はこの国に古くからある魔道書に書いてあった。
しかも、召喚した者は少しずつ隷属化状態になるそうだ。
まだこの魔法陣についての説明はまだ全ては解読できてはいないが‥‥まぁ、問題はなかろう。
これで我に従順な、そして最強の手駒が手に入るのだ。
我が世界を手に入れる日も遠くはないだろう。
そして、突然魔法陣が光り出した。
その中にいたのは四人の少年であった。なぜか一人は殴られた跡があり、しかも気絶しておるようだが‥‥まぁ、死んでないならば問題はなかろう。
「うっ‥‥ここは‥‥」
気絶しているものを除く三人の少年が目を開けた。その後、すぐに気絶している少年も目を覚ました。
「勇者達よ、よくぞ召喚に応じてくれた。感謝する。我はロガトス王国の国王、エイブラム・ロガトスという」
少年達は困惑しているようだ。
どうせすぐに奴隷になるが反逆でもされたら面倒だ。
今だけは優しくしておかねばな…‥‥
「やはり突然のことで混乱しているようだな。しばし待て、今説明させるのでな」
説明中に少年達が罵倒を浴びせてきたが近くにいた兵士が何かを囁いた後はさっきとは打って変わり、静かに話を聞くようになった。
ふむ、あやつには後で褒美をやるか‥‥。金品を与えるなど勿体無いし、別のものでよいか。
説明も終わりステータス確認に移るようだ。
記録には魔神に匹敵するほどの強さにもなると書いてあったが‥‥今はどれだけ強いのか‥‥
力也とやらが魔蹴闘士、大介が賢者、武志が勇者のようだ。
どれもとてもレアな職業だ。しかもステータスが高く、保有スキル数も多い。
やはり、召喚して正解だった。これで、我が世界を支配する日も遠くないな。あの憎たらしい魔族ども、そして、それに味方する者どもも、すぐに始末してやる。
最後の一人がステータス確認をするようだ。
正直、あの三人より小柄で弱そうであったので期待はしてないが‥‥まぁ、いないよりはマシだろうな‥‥
そう思いながらステータスを見てみると……
「なっ!魔職だと‥‥いや、こいつにもあれが効いているはず‥‥うむ、問題は無いな‥‥」
そう、こいつは魔職と呼ばれる職業を持っていた。
詳しくは知らぬが魔職とは数千年前にあったらしい職業で、強力な魔物に変身したり、魔物を召喚したり、魔物のスキルを使ったりしていたらしい。
神に匹敵する程の強さとも聞くが‥‥まぁ、こやつにも隷属化魔法は効いておるはず。これで世界征服の夢も近くなったな。
勇者達が部屋に入った後我は一人で笑っていた。
「くっくっく、これでこの世界は我の者。いや、魔職がいるのだ、神界だって支配できるかもしれん」
世界を支配する妄想をしていたら魔道士の一人が入ってきた。
「陛下、勇者召喚の魔法陣の説明の解読が終わりました」
「うむ、ご苦労。さて、結果を早く見せるがいい」
その文章はこう書いてあった。
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この魔法陣は異世界から15才以上の者を召喚することができる。
召喚された者は少しずつ隷属化状態になり、24時間後には完全に隷属化状態になる。
ただし、召喚時気絶状態、または睡眠状態の者には効果が無効化される。
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「なっ!?」
最後の文だけはまだ解けていなかったのだが‥‥まさか、こんなことが書いてあるとは‥‥確か鷲一‥‥といったか。あの者は召喚時に気絶していた筈だ。
「くっ、なんてことだ。まさか、よりにもよって魔職が‥‥全部解読してから召喚するべきだったか‥‥?いや、今となってはそんなことはどうでもいい。反逆される前に早くあいつを始末せねば。おい」
近くにいた兵士を呼び出す。
「は、お呼びですか、陛下」
「うむ、今すぐ鷲一‥‥といったか?あやつを始末して参れ」
「始末‥‥ですか?しかし――」
「ええい、我の命令に背く気か!とっとと始末してこい!」
「は、はい、了解しました。死体の方はどう致しましょう?」
うーむ、誰かにバレると面倒だからな‥‥モンスターに喰わせれば良いだろう。
「地下にある迷宮の奈落にでも捨てておけ」
しかし、国王は職業にばかり気がいっていて、大事なことを忘れていた。
鷲一が不死スキルを持っていることを‥‥
〜主人公視点〜
「うわっ!」
今僕は何故か兵士さんに殺されかけていた。この世界に来てから殺気?みたいなのに敏感になっているお陰でギリギリ避けれたけど‥‥
「えーっと兵士さん?なんで剣なんか振り回してるんですかね?危ないのでその剣をおろしていただけるとありがたいのですが‥‥」
「うるさい!これは陛下のご命令だ!しかし、さすが勇者といったところか‥‥寝ているからといって油断していた。だが、もう終わりだ」
兵士がそう言って斬りかってきた瞬間、僕の意識は途絶えた‥‥
〜兵士視点〜
なぜだかよくわからないが召喚された鷲一‥‥という奴を始末してくるように言われた。
俺はそっーとドアを開けた。おっと、寝ているようだな。これならすぐに終えれるだろうな。そう思いながら俺は剣を振り下ろした‥‥が、ギリギリで回避されてしまった。
「えーっと兵士さん?なんで剣なんか振り回してるんですかね?危ないのでその剣をおろしていただけるとありがたいのですが‥‥」
「うるさい!これは陛下のご命令だ!しかし、さすがだな‥‥寝ているからといって油断していた。だが、もう終わりだ。」
そう言って俺はこいつの首を斬り飛ばして、殺した。さて、さっさと捨ててくるか。