1-1.勇者連合
『侍』笹木武良です。既婚です。自慢の愛妻です♪危険な案件の解決には、チームワークが大事だと思います……お〜い!そこ!何を(にへにへ)腐女子笑いして居るんだ?。
バオォオオォオォォオオオン!!!
追い込んだ結界の中に、追い込まれた中型魔族の咆哮が響き渡る。
頭二つは大きい中型魔族の咆哮は、鼓膜が敗れそうだ。
しかし『侍』笹木武良
は、涼しい顔で、目の前の中型魔族を見返している。
『侍』とは、私の師匠の海良 真 が開祖で発起人の、平和維持組織の「地球最強」の民間団体である。
ので『侍』の仲間内では、彼の事を「開祖シン」とか「開祖」と呼ぶ。
私は、その『侍』に所属しており、開祖シンが開発した『人造スーパーマン』を生業としている。つまり私も、平和維持活動をして居る。
その平和維持活動で必要なのだが、開祖シンは、どう言う手腕を使ったのか知らないが、地球世界政府より正式な「斬り捨て御免」と言う、生殺与奪の断罪権を『侍』に認証させて居た。
『侍』は、スーパーマンで、検察官で、裁判官で、処罰執行官でもある。
実際に各国軍より、はるかに強い人造スーパーマンが、ごろごろ所属する組織なので、『侍』は地球上すべてに、平和布武する事が可能だ。
ひとつ、しかたの無い事がある。
「斬り捨て御免」の断罪権のイメージからだろうか。『侍』は、無情な殺戮者だ、と言うレッテルを貼られてしまい、畏怖の対象とされて居た。
まぁ『侍』の内の一人が、地域紛争の現場に現れるだけで、紛争が止まるのはありがたい。
バオォオオォオォォオオオン!!!
おっと!取り込み中なので、さらなる詳細は、後ほどに。
「東郷。 光子」武良は、落ち着いた声音で合図する。
ドガンッ! メキメキ!!
武良の右側に、同様に自然体で立っていた東郷は、先祖伝来の強化外骨格スーツの瞬発力で、一瞬で距離を詰め、自分より倍大きい魔族の脇腹に重い右キックを叩き込む!
魔族の肋骨が、きしむ音が響く。
「グェッ!」
中々美男な魔族の顔が、驚きと苦悶に歪む。
武良の左側に佇んで居た光子はワザと一拍置いて、東郷と入れ替わる様に、低い姿勢で魔族の懐に一瞬にして潜り込む。
ドン!ドガンッ!! メキメキ、バキ!!
光子は魔族の鳩尾に、重い左右のワンツーパンチを叩き込む。魔族の太い骨が折れる音が響く。
東郷と光子は、この異世界に強制召喚された勇者の子孫や系譜が、運営する「勇者の里」出身だ。
さらにだが、その「勇者の里」自体が、あちこちに多い。
たとえば東郷と光子の里は、変身ベルトを腰に装着して変身アクションをすると、強化外骨格スーツが全身装着される。そして強力な魔族を、退治出来る。
「グエェエ!!」
魔族の苦悶が強く成る。
バサバサッ!
魔族は打たれた脇腹とミゾオチを抑えながら、背中の魔族羽を羽ばたかせ、素早くほど高くまで浮き上がる。
「マイク。キャシー」武良の穏やかな声は、意外と響く。
ドンッ!
ドンッ!!
丁度魔族背後の、それぞれ離れた遮蔽物に隠れていた隠密近接静殺傷班二人は、中空に浮かぶ魔族の背後左右から火線を交差させ、魔族の左右の腎臓当たりに魔式スラッグ弾が突き刺さる。
マイクとキャシー兄妹の里は、まんま特殊部隊が召喚された様な里だ。隠密近接静殺傷方の腕前は、ピカイチだ。
「ウガァ! 卑怯なリ!」
「フッ。卑怯本家の魔族に、言われたくないなぁ」武良は、穏やかに苦笑いする。
ドズン!
魔族は、その巨体を地面に叩き付ける。
グゥウウゥ。傷の痛みにのたうち回る。
見ると魔族背後の傷口から、赤いカゲロウのような光がドクドク溢れ、中空に消えて行く。魔力が傷口から、ダダ漏れして仕舞って居る様だ。
魔族はドンドン動きを弱らせて行く。
「タケヨシ。そいつは如何する?」
武良の後方から、案外若い女性の声がする。
「犠牲者甚大だ。任せるよ」武良は、のたうつ魔族に冷やかな視線を送る。
「任されたっ♪ 浄化!!」
さっ、と武良の右側に立った神官衣装の茶髪碧眼色白美少女が、浄化聖句を美しいソプラノで唱え始る。
のたうつ魔族の体表面が、青白い聖なる光に輝き出す。魔族の周りに、聖句陣が拡がる。
「グアッ!……この転移先はッ!! グアァ! いやダ! 神の査問は、イヤダ!!」
「貴方の犯した罰を見すえなさい。神の査問で貴方は、何億年の地獄刑を喰らうのでしょうね♪」
「イヤだ! 折角魔族に成って、やっと欲望を謳歌出来ルト言うのに!!」
「処置無しねー。査問の間に転移!」
イヤだ!!
バギャン!!
重い硝子が砕ける様な音がして、聖句陣が砕け散る。同時に魔族が飛び上がる。
「あっ!」
茶髪美少女神官は焦る。
魔族の悪あがきの強さに、聖句陣が弾かれて仕舞った。
「御前ノ身体を貰ウ!」
魔族は、幽体に成りながら、茶髪美少女神官に飛び掛かる!
「きゃッ!」
グアアアァアアア!
魔族が、絶叫した。
魔族ノ背中から、青白く光る、聖なる光の剣が生えて居た。
武良がさり気無く、茶髪美少女神官の前に周り、無唱和で聖光剣を出し、幽体化しかけた魔族を貫き現世に縫い止めた。
「魔族インフィス。いや……ジョイス・ターン……ターン叔母さんは昨夜も御前の分の夕飯を作って、御前の帰りを待って居た。旨そうな『肉と青菜の蒸煮』だったぞ……今夜も御前の分の夕飯を、作るだろう」
武良の低い柔らかな声が魔族インフィス、いやジョイス・ターンを包む。
「ウガァ! ババアの事ハいうナ!!……」
しかし魔族インフィスの赤い目から、急に涙がこぼれる。赤い目が、ゆっくり青い目に変わる。
「母さん」ジョイス・ターンは、呟く。
「もう一度、やり直してみな」
「……」彼の頭は、力が抜けた様に下がって行く。
「往生せよ」
バシュ!
聖なる光が、強く輝く。
光が収まると、魔族は完全に消えて居た。
武良は瞑目したまま、魔族を貫いたままの残心を取って居る。
しかし、先程までの禍々しく重苦しい空気は消え去る。
まんまる四十四と申します。初心者マークです。右も左も分かりませんが、精進します。宜しくお願い致します。
2016`2/20(土)、リフォーム的、改稿。