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我が家の床下で築くハーレム王国  作者: りょう
覚悟と決断の夏休み 前編
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第65話トリナディア大改革計画 準備編

 多少気になることが残ったものの、俺は風呂上がりのハナティアと合流して彼女の部屋へと向かった。


「え? この国を変えたい?」


 彼女の部屋に入って、ハナティアが発した最初の言葉は、私の力で今のトリナディアを変えたいという事だった。


「うん。今日雪音に言われたの。子供以外にも人口を増やす方法ならいくらでもあるんじゃないかなって」


「まあ同じ女子のあいつからしたら、国のためになんて聞いたら納得するわけないよな。それに関しては俺も勿論賛成だけど、何か具体的な考えでもあるのか?」


「それはこれから考えよう思って」


「これから、か。でもその考えは大事かもな」


 必ずしも道は一本ではない事を理解していたので、ハナティアがこう言いだしてくれたのは少しだけ嬉しかった。


(雪音のおかげでもあるけど、それ以上に)


 ハナティアが大きく変化し始めている。


「そうでしょ? それに雪音は言ってたの。私達だっていくらでも力を貸すことができるって」


 この話をしなくたって雪音は多分協力する気でいたと俺は思う。はたから見ればお節介にも見えるかもしれないけど、雪音はそういう人間なのだ。それは正志にも同じ事が言える。


「多分正志も協力してくれると思うよ」


「本当に?」


「二人は根からそういう人間だからさ」


「トリナディアの人口を増やすきっかけを作るなら、まずは祭りとか開催してみるのもいいかもな。とりあえず人目をひくような何かをやれば、もしかしたらいい印象を与えられるし」


「でも一つ問題があるのよね」


「問題?」


「ほら、地上の人を簡単に呼ぶわけにはいかないから」


「ああ、なるほど」


 呼ぶ人も限定されてしまうのか。俺も全てを把握できていないから詳しくは分からないけど、この地下の世界ががどれだけの広さでどの位の数の人が住んでいるかによっては人を簡単集める事ができるとも限らない。


「そのあたりもちょっと問題だよな。もし本当にハナティアが本気なら、計画を一から作っていく必要があるな」


「私は本気だよ。だからこうして翔平に話しているんだし」


「そうだよな。なら、まずは計画を立てる事から始めようとするか」


「うん!」


 その後俺とハナティアは、夜が明けるまで色々な意見を話し合い、さっそくそれを実行に移すと決めて眠りについた。


『トリナディア大改革計画』


 のちにこれが、俺の人生を大きく変える事になるとはこの時は知る由もなかった。


 ■□■□■□

 朝まで話した影響で、俺達が起きたのはお昼頃だった。それでも若干ながら寝不足なので眠い。


「昨日はいろいろ決めたけど、すぐに動き出すならまずはアレだろうな」


「アレ?」


「サクヤに陰で作らせていたアレを使った、娯楽施設だよ」


「えー、あのボードゲームは私達が楽しむだけのものでいいでしょ?」


「多分正志も雪音も二度とやりたくないぞあれ」


「!?」


 予想外だったのか、ハナティアは驚きのあまり口が開きっぱなしになっている。いや、昨日も言ったと思うけどあれは並の人間じゃ遊べないだろ。


「嘘、私が一生懸命作ったのに」


「作ったのはサクヤだ」


「で、でもその案を考えたのは私だし」


「だが作ったのはサクヤだ」


「翔平の意地悪」


 でもこれは妙案ではあるが、別に変な話ではないと俺は思っている。あれをもう少し規模を小さくすれば、一つの遊び場としては成り立つし、あんなに大きなボードゲームなんて普通は存在しないから、珍しがって来てくれる人もいるかもしれない。

 まあ問題をあげるとしたら、その施設の建設費用なわけだけど。


「これは俺達の手でリメイクするか」


「壊しちゃうの勿体無いよ」


「二度と使われないであろうものを、ずっとあの場に保管しておく方が俺は勿体無いと思うけど」


「それはそうかもしれないけど……」


 どこか腑に落ちない様子のハナティア。折角なのでサクヤにもこの件について話してみた。


「あれは確かに城の開かずの間として封印するのは勿体無いですよね」


「ふ、封印?」


「やっぱりそうだよな。あそこにずっと置いてたらゴミにしかならないし」


「ご、ゴミ?!」


「相変わらずハナちゃんの発想は斜め四十五度行くよね」


「な、斜め? って、何でさりげなくキャロルまでいるのよ!」


 ともかくあれを活用するとなると、何かしらの施設として建設する必要があるのは明確だった。木材とかその辺りは俺が地上から購入するなりして、全部自分達の手で作り上げる必要がある。

 大工なんて雇う金はこの国にないだろうしらそれが一番の選択だと俺は思った。


「盆休みが終われば雪音達も手伝ってくれるだろうし、大改革計画の第一歩として十分だろうから、まずはそこから手をつけるぞ」


「封印……ゴミ……。作ったのはサクヤなのにどうして私の胸はこんなに痛むの?」


「そこだけ都合よく責任転嫁するなよ」


 とりあえずこれで今からやるべき事は決まったし、早速作業に移りたいのだが、


「おいハナティア、そこをどいてくれないとあの部屋に入れないだろ?」


「だってゴミとか封印とか……皆酷いことばっかり言うんだもん」


「それだけで拗ねるなよ……」


 とりあえずハナティアをどかして部屋に入る。だが部屋には何故か先客がいた。


「誰かいるけど……あれは女の子?」


「怪我をしていますね。治療しましょうか」


「いやいや、何でそんなに冷静なの?!」


 女の子少しだけ血を流してますよ、お二人とも。

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