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我が家の床下で築くハーレム王国  作者: りょう
覚悟と決断の夏休み 前編
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第63話男のロマンス

 お風呂を上がった後は、俺が持ってきたボードゲームで日が暮れるまで遊び尽くした。途中何度もハナティアが実物大で遊びたいとは言っていたが、それは正志と雪音によって全力で阻止された。

 そして夕飯も食べ終え、すっかり夜に。


「じゃあ俺は帰ろうかな」


「あ、私も帰ります。翔平君はどうしますか?」


「俺はお盆の予定とかないし、しばらくはトリナディアに泊まろうかなと思っているよ。どうせ家に帰る予定もないし」


「本当? いいの? 翔平」


「どうせハナティアも夏休み退屈してるんだろ? だったら暇つぶしくらいには付き合ってやるよ」


「ありがとう」


「見ない間に熱々になられましたな、お二人」


「そうですね。今後ももっといい夫婦になるのではないでしょうか」


 俺達の裏で変なヒソヒソ話をする正志と雪音。


「さ、サラッと夫婦とか言うなよ二人とも。確かに子供はできたけどさ」


「生まれた時は是非私たちに紹介してくださいね」


「それは当たり前に決まっているだろ。あ、そうだ正志」


「どうかしたか?」


「今日はサンキューな。お前のおかげで、俺が何をするべきなのか分かってきた気がする」


「それならよかったよ。じゃあ雪音、行くか」


「はい」


「家の外まで送ってくよ」


 ハナティアに一言残して、俺も一度正志達とともに家に戻る。果たしてこの先こんな事があと何回あるか分からない。

 もうあと一ヶ月ちょっとの間で2人が何回トリナディアへやって来るれるか。その回数が多いか少ないかそれも分からない。


「じゃっ、またな翔平。久しぶりに楽しかったよ」


「お盆明けたらまたお会いしましょう」


「ああ、またな二人とも。また連絡する」


 正志と雪音は家を出て行く。残された俺は、そこはかとなく寂しさを感じていた。


(本当にあと何回なんだ、この日常風景が続くのも)


 この事を二人に話してしまった以上、もう時間が少ない事を自覚しなければならない。夏休みとはいえど、俺達は小学生ではない。それぞれにそれぞれの時間があり、毎日のように会うなんてことはもう出来ないのだ。


「あ、おかえり翔平」


「ただいま」


「どうしたの? 元気がないじゃない」


「ちょっとな」


 そんな事を考えている間にトリナディアへ帰ってきた俺は、ハナティアの前でため息を吐いてしまう。


「雪音から聞いたんだけど、翔平全部話したの?」


「昨日の夜にな。早めに話しておいて、二人にはじっくり考える時間をあげようかなって」


「雪音はともかく、正志は衝撃的だったんじゃない?」


「恐らくな。今日も何もなかったように遊んでいたけど、内心ではずっと不安だったと思う」


「誰だってそうよね。翔平もそうだったんでしょ?」


「まあな」


 部屋にでも行くのか、ハナティアは歩き出す。俺は彼女の後をついていく。


「ねえ翔平」


 その途中でハナティアが足を止めて、こんな事を言ってきた。


「どうした」


「今からら二人でお風呂に入らない?」


 それは何の前触れもなく、突然のハナティアからの誘いだった。


 ■□■□■□

(どうしてこうなった)


 五分後、俺はハナティアと一緒に女湯の脱衣所にいた。


「なあハナティア、これ完全にアウトだろ」


「何がアウトなの? 前の温泉旅行の時一緒にお風呂に入ったのに」


「あれはそういうお風呂なんだよ。それを普段から行ったらそれは完全に犯罪者だ」


「そうかな」


「サクヤが聞いたら怒るぞ絶対」


 と俺はそんな事言いながらも、服を脱ぎ終わっていた。いや、抵抗がないわけじゃないんだぞ。ただ俺は、水着に続いて一人でその彼女の裸を堪能するのが……。


「って、アウトー!」


「何一人で叫んでるの?」


「な、何でもない。それより着替え終わったか」


「うん。もうこっち向いていいよ」


 ハナティアが着替えている間、背中を向けていた俺は振り返る。そこにいたのは、七月の温泉の時よりも輝いて見えるハナティアの姿が(恐らく目の錯覚)。タオルを巻いているのが残念だが、その、胸がなくても十分彼女は可愛い。


「な、何ジロジロ見ているのよ! 恥ずかしいじゃない」


「何を今更言っているんだお前は」


 恥ずかしいなら普通、男と二人で温泉に入るなんて言いださない。これがまだトリナディアだから許し通せたかもしれないけど、地上に出たら完全にアウトです、はい。


「私もこれが普通ではない事は理解しているの。でも私、出来るだけ翔平と一緒にいたい」


「どうしたんだよ急にしおらしくなって」


「私だってたまにはそんな風になる日もあるの」


「そっか」


 それは俺も一緒だった。正志や雪音のことで不安になり始めていた俺は、誰かにこの気持ちを話したかった。そしてその気持ちを安心して打ち明けられるのは、今隣にいる人物。


「入るのはいいけど、本当にたまにだからな」


「ありがとう翔平」


 俺とハナティアは風呂に足を踏み入れる。


「あ」


「え?」


「ハナティア様に……翔平も様?!」


 だがそのお風呂には先客がいましたとさ。


「さ、サクヤこれはだな」


「お二人とも、お風呂から出たら説教ですからね」

 

「風呂は入っていいのか?」


「駄目です」


「いや、だってハナティアが不安だから……」


「問答無用!」


「すいません……」


 結局俺の夢は儚く散る事になったのであった。


「次このような事したらお風呂に入るの禁止にしますからね」


「そこまで?!」

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