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我が家の床下で築くハーレム王国  作者: りょう
覚悟と決断の夏休み 前編
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第50話カナヅチメイドと出会い

 ハナティアの水着姿に俺は感動を覚えながら、さっそくプールへと向かう。

 ここは屋内と屋外にそれぞれプールがあり、流れるプールやウォータースライダー、その他にもここでしか楽しめないようなものばかりがある。更にここの地下には温水プールもあり、かなり有名な場所だった。


「流石夏休みなだけあって、人もすごいな」


「ね、ねえ翔平」


「ん?」


挿絵(By みてみん)


「この水入っても大丈夫なの?」


「それがプールだからな。キャロルとサクヤも何も不安がる事ないからな」


「私は多少知識があるので心配ありませんし、キャロル様に至っては」


「わー、気持ち良い」


 いつの間にプールに入ったのか、キャロルは既に初プールを堪能していた。どうやら彼女には不安という言葉はどうも似合わないみたいだ。


(初めてなんだよな?)


 トリナディアにも水はあるので、抵抗を感じないのは当たり前だけど、その水の中を泳ぐという知識があるのか分からない。


「相変わらずキャロルはこういうの好きよね」


「冷静に言っているようだけど、お前も今にも入りたそうな顔をしているぞハナティア」


「わ、私は単純にキャロルを見て楽しそうに見えたから」


「まあつべこべ言わず入るぞ!」


「きゃっ」


 俺はハナティアを引っ張って、プールへと突入する。初めてプールへ入ったハナティアは、キャロルとは違って慎重なものの、すぐに身体が水に慣れたようだった。


「どうだ初めてのプールは」


「気持ち良い。ねえ、プールって具体的に何をやるの?」


「そうだな、例えばこんな風に」


 そう言いながらハナティアに水をかけてやる。不意打ちを受けたハナティアは、


「な、何をするのよ馬鹿!」


「こうやって水をかけたり……」


「お返しよ!」


 反撃と言わんばかりにプールの水を俺にかけてくる。


「やったなこの野郎!」


 そして俺は仕返しする。これをしばらくハナティアと繰り返した後、


「ハナちゃん、私も混ぜて!」


「ちょっ、キャロル、いきなり飛びつか」


 キャロルがハナティアに飛びつき、二人は完全にプールに潜ってしまう。折角なので俺も潜ってみる。すると二人は何故か水中で格闘していた。


(楽しそうで何よりだ)


 皆を連れてきてどうやら正解だったようだ。


「ひゃ、ひゃろふ、やへなはいよ」


「嫌だほ、はなひゃん」


 本当に楽しそうでよかった。


 ■□■□■□

 キャロルとハナティアが二人で本格的に遊び始めたので、一旦俺はプールから出る。そういえばさっきからサクヤがプールに入っていないのだが、どうしたのだろう。


「どうしたんだサクヤ。折角来たのに、一度も入ってないぞ」


「も、もうすぐ入りますよ」


「なんで動揺しているんだ?」


「ど、動揺なんかしていませんよ」


 益々怪しい様子を見せるサクヤ。ここに来て俺は全てを察した。


「もしかしてサクヤ、お前カナヅチなのか?」


「はい……」


 俺の問いに素直に答えるサクヤ。


「でもトリナディアにはプールとかないのに、どうして怖いんだ?」


「昔水の関連でちょっとしたトラウマがありまして。触れる事はでかかるのですが、全身で浴びる事や泳ぐのは駄目なんです」


「昔のトラウマ、ね」


 カナヅチだったら早めに言ってくれれば俺だって考え直したのに。


(ん? まさかとは思うけど)


「サクヤ、もしかして最近元気がなかったのって」


「はい、お恥ずかしながら」


 どうやら俺とハナティアは考えすぎだったようだ。


「どうしたのよサクヤ、一緒に泳がないの?」


 そこにヘトヘトになりながらハナティアがやって来る。キャロルはまだ泳いでいるようだ。


「あのさハナティア、サクヤは」


「今行こうと思っていたんですよ。一緒に行きましょうか」


「うん!」


「え、あ、ちょ」


 カナヅチだと明言しておきながら、何故かサクヤはハナティアと共にプールへと向かう。流石に二人だけで行くのは不安なので、俺もついて行くことにするが……。


「じゃあ、せーので潜ろう」


「は、はい」


「「せーの」」


 同時に二人は潜る。潜る直前身体がプルプル震えていたのを俺は見たけど大丈夫か?


 三十秒後。


「ぶはっ、あれ? サクヤまだ潜ってるの?」


 ハナティアが水の中から顔を出す。


「ってあれ、サクヤ体だけ浮いているけど」


「ハナティア、それ溺れてるから早く助けろ!」


「え?!」


 溺れるくらいなら、最初から正直に話せよ……。



 サクヤが溺れるという事件が起きたものの、その後は普通に俺達はプールを堪能した。サクヤを別の場所で休ませている間、ウォータースライダーや流れるプールを午前中だけでほぼ遊び尽くし、気がつけば昼の時間になっていた。


「ふう、楽しいね翔平」


「平ちゃん、お腹減った」


「そろそろ昼飯の時間か。サクヤを起こすついでに、ご飯にするか」


 とりあえずサクヤを起こして、俺達は四人で休憩所でサクヤお手製の昼飯を食べる事に。


「じゃあ俺、飲み物買ってくるから」


 食前、喉が渇いたので他の三人の飲み物を含めて一人で買いに行く。


「ハナティアも楽しめているようだし、今日は正解だな」


 飲み物を買いながら独り言を呟く。多少の不安はあったものの、楽しんでもらえているので俺は嬉しかった。頻繁に行く訳にはいかないが、こういう場所にどんどん皆を連れて行ってやりたい。


「ハナティア? 今あなたその名前を言わなかった?」


「え?」


 自販機で飲み物を買い終え、皆のところに戻ろうとしたところで見知らぬ女性に声をかけられる。振り返るとそこには、ハナティアと同じ髪色をした少し大人びた女性がいた。


「えっと、あなたは?」


「あ、ごめんなさい。今のは忘れて」


 何者か尋ねようとしたが、その前に女性は名乗りもせずどこかへ行ってしまった。


(誰だ今の。ハナティアを知っているみたいだけど)


 しかもハナティアとそっくりだったのは、俺の気のせいか?


 ただハナティアを知っているのは確実だった。

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