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我が家の床下で築くハーレム王国  作者: りょう
新婚生活と記憶喪失の11月
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第125話記憶の糸口

 翌日、決めていた通り俺達はあの場所へとやって来ていた。


「前回の儀式以来か」


「あれからまだ一ヶ月くらいしか経ってないのが不思議よね」


「だな」


 前回来た時は色々な事があった。儀式で俺達は怪我を負って、二度も最後までやり通す事ができなかった。その事は多分俺以上にハナティアが気にしている事だと思う。

 とはいえ、今はフウカの方が大切だ。


「……」


「どうだフウカ、何か思い出せそうか?」


 しばらく黙ったまま立ち尽くしているフウカに、俺は声をかけると彼女は何かを感じ取ったかのように顔を上げた。


「懐かしい香りがする」


「香り?」


「とても懐かしい……何かの……」


 その言葉が何の意味を示しているかは分からない。でも間違いなくこの場所に、フウカの記憶を解き明かす鍵がある事は間違いないようだ。


「なあハナティア、そろそろ教えてくれないか? どうしてあんなにも急いでいたのかを。俺達にも関係のある話って言っていたし」


「昨日も言ったけど、本当のことを知るためよ。フウカの記憶が、私達が知らない部分を埋めるかもしれないから」


「俺達が知らない記憶の部分?」


 あの現場にいたのは、俺のハナティアと俺の姉さんとその婚約者。そして恐らくであろうフウカ。現在生きているのは、俺とハナティアとフウカ。

 俺とハナティアの記憶は既に分かっている。でももしフウカが、俺達の知らない真実を知っているなら、ハナティアが知りたくなる気持ちも分かる。


「でもさ、あの日俺達がいたからあの事件は起きたんだろ?」


「それは間違いないんだけど、もしも」


「もしも?」


「別の原因があったらどうなるのかなって」


「別の原因? それがまさかフウカだって言いたいのか?」


「それは分からない。でももし本当にフウカがあの場所にいたら、彼女も既に……」


「そっか。だから」


「フウカが知ろうとしている真実はやっぱりあの過去にあったのね。でも一つ分からないのは……」


「フウカはどうやってこの世界にいるのか、か」


 ハナティアと俺が考えている可能性は、考えれば考えるほどあり得ないものになっていく。けど彼女との出会いから振り返ると、やはりそれが一番辻褄が合う。


(ただその分、考えなければならないのが……)


 彼女をこれから先どうするのかだ。


「とりあえず今は待つしかない、か」


「うん。記憶は無理やり引き出すものじゃないし、自然に任せるのが一番だと私は思うよ」


 二人でフウカを見る。彼女はずっと遠くを見つめて何かを考えているようだが、俺達には何を考えているのかは分からない。フウカは今この場所に来て、何を想い、何を考えているのだろうか。


「こう見てると子を見守る親みたいな気持ちになるな」


「でも来年には私達は本当にそうなるのよ」


「だな。でも大丈夫なのか? もう出産時期近づいてきているだろ?」


「まあ流石に今までのようにずっと立ってはいられなくなってきたかな。子供のことも考えると、そろそろこうして動き回るのも駄目かもね」


「そうか。じゃあそろそろ俺が頑張らないといけないな 」


「本当これからが大変なんだから頑張ったよね、翔平」


「分かっているよ」


 そろそろ父親としてのそしてこの国の王として本格的な準備を始めないといけないかもな。


 ■□■□■□

 結局半日以上あの場所にいたものの、大きな成果は得られずに気がつけば夕方近く。地上も冬が近づいていることもあったか、トリナディアもそこはかとなく寒く、俺はあの場所から戻るなりすぐお風呂に入り体を温めた。


「なんか翔平、おっさんみたい」


「おっさんとか言うなよ。少なくともお前とは同じ歳なんだから」


 夕食も終え、一度フウカのことをハナティアに任せた俺は、サクヤを訪ねていた。


「父親としてこれからやるべき事、ですか」


「ああ。トリナディアにやって来る前に色々と調べては見たんだけど、いざその時が近づいてきたって考えると、何かしないといけないと思ってさ」


「私としては常にハナティア様の側にいてくださるだけで、充分父親としてやれていると思いますが」


「それでも、だよ。本当だったらもうハナティアは歩き回らない方がいいんだろ?」


「はい。多少の運動は必要かと思いますが、そろそろ出産へ向けて体調の準備をしていただかないと」


「だろ? だから俺がその分だけ働かないと駄目だと思ってさ」


「それも、そうですが」


「何かないか?」


「なら、私のしている仕事を覚えてみます?」


「サクヤの?」


 つまりそれは男である俺が、メイドである彼女の仕事をこれから覚えろということか。


「俺にメイドになれと」


「そこまでは言っていません。むしろそれは勘弁してくれませんか、お願いします」


「頼まれた?!」


 そもそも俺にそんな趣味趣向はないから、問題はないんだけど。


(俺がサクヤの仕事をか……)


 王の仕事としてはいかがとは思うが、丁度いい機会だし彼女から仕事を請うのも悪くはないかもしれない。


「メイドになるのは冗談として、俺に教えてくれないか? サクヤの仕事」


「冗談だったんですか?!」


「むしろ本気だったのかよ……」

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