クリスマス特別編 床下で過ごすクリスマス
「え? クリスマスを知らないのか?」
「うん。有名な行事なの?」
「有名も何も」
十二月二十五日目、地上では聖夜が楽しまれている中、ハナティアがクリスマスとは何なのかと聞いてきたので、俺はどういうものかを説明してあげる。
「へえ、パーティとかプレゼント交換とか皆で集まってやるんだ」
「大体はそんな感じだよ」
「じゃあ今から開こうよ、そのクリスマスパーティ」
「え?」
「折角だから皆を集めたやろう、クリスマスパーティ」
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ハナティアの発案により急遽開かれる事になったクリスマスパーティ。皆とは言っても、サクヤやフウカ、キャロル達くらいしか人は集められないので、いつもの集まりと何にも代わり映えのしなかった。
「それで料理とか用意したけど、他に何をすればいいの?」
「プレゼントは……さすがに用意できていないだろうし、まあいつも通りのパーティをこういう特別な日に行うって事だと思って構わないよ」
「ふーん、そうなんだ」
いつものメンバーの集まりのせいか、クリスマスな感じがしない中、キャロルが食事を手に持ちながらこちらに寄って来た。
「ハナちゃんがいきなりパーティを開くって言うから何かなと思ったら、今日クリスマスなんだね」
「何だよキャロル、知っているのかクリスマスを」
「一応ね。それで平ちゃん、サンタさんはいつ来てくれるの?」
「え? サンタさん?」
「だってクリスマスといえば、どの家にもサンタさんが来るって聞いていたけど私」
子供のように目を輝かせながらそんな事を言うキャロル。確かキャロルは俺と年はさほど変わらないはずなんだけど、まさかその年で信じているのか? サンタを。
「いや、確かに、まあ、間違ってはいないけど」
実際外国に行けばサンタさんは存在するが、俺達日本人はサンタさんは親の事だと知っている。子供の頃は信じていたかもしれないが、今の年になって未だに信じているのは、ちょっとだけ引いてしまう。
「翔平、プレゼントちょうだい」
どう答えてあげればいいか困っていると、突然フウカ割って入って来る。彼女も俺たちの目の前に現れてから早三ヶ月が経つが、相変わらず俺達のことを呼び捨てで呼んでいる。
最初に出会った頃より幾分か感情とかを取り戻しているが、まだいまいち彼女のことについて掴めてない。
まあ、今はそんな話はどうでもいい。
「プレゼント? 誰からそんな事を聞いたんだよ」
「ハナティアが教えてくれた」
「あいつ、余計な事を」
プレゼント交換の話は確かにしたけど、そんな準備なんてできていない。
「ちょうだい、翔平」
だからこうしてねだられても、
「私もちょうだい、平ちゃん」
どうにもできないわけで。
「私もくれませんか? 翔平様」
「勿論くれるわよね、翔平」
こうして迫られてしまうと、余計に困ってしまうのだ。
「な、何で皆してそんなにプレゼント欲しがるんだよ! あとどさくさに紛れてサクヤまでねだるな!」
「えー、私ももらってもいいじゃないですか」
「そうだよ、翔平。差別は良くない」
「いや、差別とかそうじゃなくてだな、まず物を用意する事から」
「「「「プレゼント、ちょうだい(ください)!」」」」
どうやら俺の今年のクリスマスは、色々な意味でこの後も苦労してしまいそうだ。まあ、それは今は置いておいて、
メリークリスマス
あ、ちなみにこの後プレゼントを全員分しっかり買わされることになりました。
クリスマスってこんな感じだったっけ?