表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/11

8 決裂


腹立ちまぎれに

怒鳴りつけて

そのまま君を

置いてきた


ここ何日か

僕と会うのを

ひたすら避けて

電話にも

出なかった君


打ちひしがれて

うつむいて

何よりも

ついこの前とは

全く違う

君の顔


良くないことが

起こったんだと

想像しない

訳がないだろ


「しばらくは

会えなくなる」と

切り出しかけて

それも辛くて


一瞬迷った

隙を突かれた


「もう会わない」と

君は一言

言ったっけ


「あなたと出逢って

冷たい人間に

なっちゃった」と


それは本心?


何日か前

僕の詩を

巧まず歌い

屈託なく

笑い転げて

僕の家族を

気づかった君と


今しがた

無表情に

僕を拒んだ

陰鬱な君と


いったいどっちが

本物なんだ?


それでも

今までは

明日があった


何事も

なかったように

言葉を交わせる

明日があった


でも今回は

明日がない


だからこそ君を

呼び止めた


「僕はしばらく

国を離れる」

そう言わなければ

ならなかった


「でも遠からず

きっと戻る」と

言いたかった


黙ったままで

去りたくなかった


なのにとうとう

言えずじまいで

お決まりの

けんか別れ


どんな事情

だったかなんて

僕には到底

わからないけど


怒りとも

口惜しさとも

つかない顔で

君は何を

言いたかった?


今でもまだ

“理性が感情に

負ける”と困る?


今でもまだ

僕の前で

心に理屈の

鎧を着たい?


そんなもの

蹴っ飛ばして

君らしく

体当たりして

来ればいいのに


子供っぽい

屁理屈なら

からかって

笑い飛ばして

やったのに


魂が

よじれるような

苦痛なら

黙って隣りに

いてあげたのに


結局僕は

何もして

やれずじまいで

さよならだ


まして


僕の想いを

伝えるなんて

論外だった


笑うなら笑え

君を愛してる


   


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ