心のありか
中二病全開!!!
俺が最初に人を殺したのは17歳の冬。相手は兄だった。
俺はちょっと変わっている。俺の中にはもう一人の俺がいる。すなわち多重人格だ。
俺の名は蒼崎文、そいつも男で名を「史」という。
兄を殺した動機はこの多重人格にも起因する。自分が多重人格だと気付いたのはその時。意識が俺に戻った時、さっきとは別の場所にいて俺の趣味じゃない物に囲まれていた。兄はそんな俺を異物を見るような目で見ていた。混乱した俺は咄嗟に包丁で兄の胸を突いた。
滴る赤い雫。
息を止めても残留する体温。
そして徐々に失う体温。
硬くなっていく骸。
人間の死を、俺は隅々まで感じた。
そして今、はたして何人目だろうな。
馬鹿馬鹿しくて数えるのをやめた。
俺は史が出てくる度にその場にいた人間を殺している。一人もいないときもあれば5人以上を殺した日もあった。
誰かに相談することもなく、独りで戦った。
ちなみに両親はいつか殺してしまった。今俺の歳は21。職につけるはずがなく、盗みとかでなんとか生き延びている。
「人殺し」
女の声を聴いた。
「その人殺しに話しかける勇気がよくあるね」
薄暗い夜の橋の下、俺の前にワンピースの少女が立っている。
「いつから見ていたんだい?」
答えによってはお前も対象だ。
「その肉塊が刺されたところから」
「そうか、ならお前は対象外だ」
「何の?」
「殺しだよ」
「それはどうも。ところであなたは殺しの現場を見られた訳だけれども、口封じとか、口止めとかしなくていいの?」
「捕まる時は捕まるさ。逃げはしないよ」
「警察が手錠をもって追いかけてきても?」
「それは逃げるよ。死に物狂いで」
「さっきと矛盾してる」
「俺が捕まるとしたら、きっとそれは捕まらなければいけないんだよ。そうなることになってしまっているんだ」
「運命を信じてるんだね。脱獄しようとか、考える?」
「たぶんね」
「運命を信じているようだけど、あなたが殺人鬼になってしまったのも運命なの?」
「おれはそう思ってるよ」
「馬鹿。そういうことは抗うことを諦めた人間が負け惜しみに使う言葉なんだから」
「俺が負けてないとでも言えるのか?殺人鬼に道徳を説くのは不可能なんだ」
「じゃああなたはなんの為に殺したの?」
「―――」
また途中放棄しないようがんばります。