味覚が成長した娘
「お前、小さい頃はレバー食べれなかったのにな。成長したなぁ」
父が嬉しそうに、そう言う。
「本当よね。子供の頃はなんでもかんでも好き嫌いしてたのに」
母もつられて笑う。
「もぉ~パパ、ママ。私もうそんな子供じゃないわよぉ」
確かに、昔の私は好き嫌いが多かった。
ピーマン、ニンジン、レバー、魚全般、わかめ、納豆……。
味覚がまだ未熟だったせいだ。
今はもう、あまり好き嫌いがない。成長したものだ。自分でしみじみそう思う。
つい、得意げになる。
「ほんと、私ったら成長したものよね。今はもう、お父さんの精液だってゴクゴク飲めちゃうもんね!」
このあと、母が箸を取り落とし、父に激しく詰め寄り、緊急家族会議が行われた。